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ギャラリー,イベントで出逢った作品

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偶然の出逢いも含めた、ギャラリーやイベントで出逢った作品たちを紹介した記事をまとめたマガジンです。
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2024年1月の記事一覧

静寂の内的世界を彷徨う -MAMコレクション017:さわひらき

 MAMコレクション017:さわひらき(-3.31)@森美術館  六本木ヒルズ森タワー53階。そこは、光を遮断した空間。  空間の奥に大きなモニター。卓上に小型のモニターが後ろ向きに設置されている。  モニター同士は、こんな感じで向かい合っている。 インスタレーション×インスタレーション  本作は、見てのとおり、インスタレーションなのだけど  説明の通り、いわば、作家によるインスタレーション×インスタレーション。  時計の画像はカチカチと時を刻み、静寂な空間に音

弱い彫刻,強い絵画 -安井鷹之介「HOE」@六本木ヒルズ

 冬の快晴、六本木ヒルズ。  この案内に心惹かれて  安井鷹之介「HOE」へ。 彫刻? 絵画?  でこぼこした波が立ったような、立体的な表面が特徴的な絵画。そしてこのように印刷物となったとき、作品の特徴はより強調される。  絵画、いやもしかして彫刻なのだろうか? という疑問がわく。 遠目&間近、両方で楽しめるペインティング  遠目には、まるで点描画のように見えるペインティング。凹凸のある表面は、近寄ってみるとより迫力がある。 防波堤の様子を連想  これらの長

引用,その引力 -飯田美穂「m, △, 連続体」(-1/9)@京都 蔦屋書店

 年末に関西を訪れた際に鑑賞して、ふと思い出しては気になっている展覧会があった。  展示は終わってしまっているけれど、ここに。  アーティスト・飯田美穂 個展「m, △, 連続体」@京都 蔦屋書店(2023年12/23-2024年1/9) 既視感と「なぜか気になる」  作品は、例えば、このような聖母像であったり、  このようなポージングの兎であったり、  目は、まるで漫画のように点で描かれているけれど、作品のたたずまいから、「あえてやっている感」が強烈に漂ってきて

即興,インスタレーション -田中泯×名和晃平 初コラボ[彼岸より]@YCC県民文化ホール

 1月11日、甲府駅。  彫刻家の名和晃平、舞踏家の田中泯との初のコラボレーション舞台が、YCC県民文化ホール(山梨県民文化ホール)で開催されると知り、チケットを入手して心待ちにしていた。 名和晃平×田中泯、初のコラボ タイトルは、『彼岸より』。 舞踏?インスタレーション? 一切の予備知識なくして、まずは鑑賞することにしていた。  舞台構成は、かなりシンプルだ。舞台向かって左手に、一本のポールのようなもの(山?山と横向きの人間を象った何か? にも見えたりする)が置かれ

脳内補正の快感再び -中谷健一 虚歪民藝(きょわいみんげい)@京都(-12/27)

 年末、京都。  クラクラするような脳内補正ワールド、中谷健一「虚歪民藝(きょわいみんげい)」@京都 蔦屋書店 6F アートスクエア(-12/27)  作家の世界観にすっかりやられてしまったのは、6月、銀座シックスの展示。半年前のこととは思えないくらい、鮮やかに記憶に残っている。  作品は、たとえば、 ひかり福助 エフェクト招き猫 ポンプヒグマ アンビエントテクノなタヌキ 熊の手 ブリックベア 虚歪⺠藝(きょわいみんげい)とは  AMBIENT KYOT

届くことのない想いが舞う -塩田千春 @京都精華大学55周年記念展「FATHOM」

 京都精華大学55周年記念展(-2023.12.28)  10月に上洛した際に情報を知り、  会期末に駆け込みで観ようと決めて、それが叶った。 京都精華大 ギャラリーTerra-Sへ  2019年の塩田千春展@森美術館。当時、今のように写真は撮っていなかったけれど、年パスは持っており、何度も訪ねた。  今回の会場は作家の母校、京都精華大。京都市営地下鉄の終点、「国際会館」駅が最寄りだ。接続のバスを探して係員の方に聞いたところ、スクールバスが運行中で、大学関係者でなく