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5. 汚れ落としのメカニズム

洗剤による「汚れ落としのメカニズム」について学びます。それによって洗剤メーカーが洗剤に込めた意図を正しく理解し、最適な洗剤選びができるようになります。

(1)「中性洗剤」による汚れ落とし
一般家庭にある洗剤の多くは中性洗剤です。中性洗剤には界面活性剤が含まれていて「界面活性効果」でいろんな汚れを穏やかに落とします。「界面活性効果」とは、水と油のように本来混ざり合わない物質同士を結合しやすくする働きのことです。界面活性剤は汚れ成分(=油成分)を包み込むようにして水との境界面に入り込み水との親和性を高め、水で洗いながしやすくします。また、中性洗剤は手肌にも優しく安全性が高いので毎日のお掃除には適しています。

界面活性効果

(2)「アルカリ性洗剤」や「酸性洗剤」による汚れ落とし
中性洗剤では落ちにくい汚れを落とす方法に、アルカリ性洗剤や酸性洗剤を使う方法があります。この方法をうまく使うと
・頑固な酸性汚れ(浴室の皮脂汚れ、キッチンの油汚れなど)
・頑固なアルカリ性汚れ(浴室の水垢、トイレの尿や便よごれなど)
を楽に落とすことができます。
アルカリ性洗剤や酸性洗剤は、直接汚れを溶かすようにして汚れ落としをします。泡がでることはなく、化学反応のようにして汚れを水で洗い流しやすくします。
具体的には、汚れと反対の液性を使用してよごれを落とします。
   酸性汚れ    ⇒ アルカリ性洗剤を使用
   アルカリ性汚れ ⇒ 酸性洗剤を使用

アルカリ性洗剤のメカニズム
どんな油も脂肪酸からできています。脂肪酸がアルカリ性と反応すると「乳化」します。「乳化」すると水で洗い流しやすくなります。これがアルカリ洗剤のメカニズムです。

乳化

《ご参考》自動食器洗い機用の洗剤は「アルカリ性洗剤」です。
自動食器洗い機は直接手で洗剤に触れることはないので、肌荒れの心配はありません。したがって「アルカリ性洗剤」を使って、安全に頑固な油汚れを落とすことができます。うまくできています。

(3)「塩素系洗剤」による汚れ落とし黒かびは塩素で系洗剤で汚れ落します。塩素系洗剤を使用する時は、他の洗剤と一緒に使うことはしてはいけません。酸性の洗剤と混ざると有毒な塩素を発生し危険です。

前回学んだ7つの汚れで具体的に見てみましょう。

    ①皮脂よごれ ・・・酸性汚れ     ⇒アルカリ性洗剤を使用
    ②油よごれ  ・・・酸性汚れ     ⇒アルカリ性洗剤を使用
    ③ぬめり   ・・・酸性汚れ     ⇒アルカリ性洗剤を使用
    ④ほこり   
・・・酸性汚れ     ⇒アルカリ性洗剤を使用
    ⑤水垢    
・・・アルカリ性汚れ  ⇒酸性洗剤を使用
    ⑥
尿や便   ・・・アルカリ性汚れ  ⇒酸性洗剤を使用
 ⑦黒かび   ・・・酸性汚れ     塩素系洗剤を使用

となります。


汚れおとしにあたっては、注意点が2つあります。

注意点1:肌荒れ防止
「アルカリ性洗剤」や「酸性洗剤」は強い洗浄力がありますので手などにつくと肌荒れの原因になります。また、気化したものを吸い込んだりすると健康に害を及ぼす可能性があります。したがって、使用する時にはゴム手袋、マスク、メガネなどを着用します。もし、直接手で触れたり、目に入ってしまった場合には、流水でよく水で洗いします。

注意点2:混ぜるな危険
「酸性洗剤」は「塩素系洗剤」と混じり合うと有毒な塩素ガスが発生して危険です。特に、お風呂やトイレはカビを落とすために「塩素系洗剤」を使うことがありますが、「酸性洗剤」と「塩素系洗剤」は同時に使ってはいけません。商品のパッケージには「まぜるな危険」と表示されています。使う前によく確認しましょう。


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