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【IVS2023 LAUNCHPAD 優勝】優勝に至った準備の裏側をお伝えします

こんにちは!株式会社abaの宇井です。

今年2023年6月に行われた、日本最大級のスタートアップピッチコンテスト「IVS2023 LAUNCHPAD」に登壇させていただきました。
詳細はこちらから

大変ありがたい事に「スタートアップ京都国際賞(=優勝)」と「オーディエンス審査員賞」をダブル受賞させていただきました!

今回のnoteでは、優勝を目指して私がどのような準備をしてきたのか、そして優勝後、私自身やabaに対してどのような変化が起きたかお伝えさせていただきます。

来年以降、IVS LAUNCHPADへ参加を検討されている方をはじめ全てのスタートアップ経営者の道標になれば大変嬉しいです。


そもそもIVS LAUNCHPADとは?

IVS LAUNCHPADは、「まだ世に出ていないアーリーステージのスタートアップの飛躍を支える発射台になりたい」という思いで立ち上がった、国内最大級のピッチイベントです。
過去に登壇されたスタートアップの多くが急成長を遂げていることから「スタートアップの登竜門」と呼ばれるようになっています。

受賞特典として、なんと今回の優勝者には最大1,000万円授与されます。

今回のIVS LAUNCHPADには、過去最大となる約400社の応募があり、その中から予選を勝ち抜いた14社の決勝進出者が各6分間のプレゼンテーションを行いました。


プレゼンテーションで、熱く、強い想いを伝える。

プレゼンテーションでは、今秋にリリース予定の「Helppad2( ヘルプパッド2)」についてお話しさせていただきました。
プレゼンテーションでは実際にベッドを用意させていただき、「おむつを変えてほしい」高齢者と「おむつを開けずに中が見たい」介護職を繋げるために開発した「Helppad2」のデモを、動画も交えながら行いました。

入念な準備の甲斐あってか、審査員の皆様から今回のプレゼンテーションの中でもっとも気に入ったという声を多くいただきました。審査員は錚々たる顔ぶれですから、審査員の方々のコメントを聞きながら、舞台裏でも小さくガッツポーズをしておりました。本当に嬉しかったです。

また、西脇京都府知事からは「IVS2023 KYOTOで得たネットワークをさらに広げて大きく成長されること、超高齢社会の社会課題の解決になることを心から期待しています」とコメントをいただき、大変光栄に思っています。

アーカイブはこちらから視聴できますので、ご覧いただけますと嬉しいです。

介護現場の救世主!においでわかる排泄センサー「ヘルプパッド2」┃IVS2023 LAUNCHPAD KYOTO


優勝に至るまでの準備

これだけ多くの方々に評価頂いたピッチでしたが、実は最終審査までは、資料の作成やプレゼンテーションの練習に、そこまで時間をかけられていませんでした。

準備不足は結果にもしっかり反映されており、実は最終審査では審査員の方々にボロクソに言われてました(笑)
審査員の方々が気づいていたか分かりませんが、私はパソコンの向こう側でちょっと泣いていました(苦笑)
30過ぎた大人がピッチでダメ出しされて泣くとか、本当にダサいのですが、でも準備不足故の、当然の結果でした。

なので最終審査の結果発表を待たずに、準備に関わってくれた人や、IVSに推薦してくれたi nest captitalさんに、「ごめんなさい、ダメでした」と先んじて謝っていたくらいです。

そんなダメダメな状態から、 今回優勝できた理由はどこにあるのか?
私なりに感じたことをまとめさせていただきます。


「スタートアップにはかっこよくあってほしい。」川村さんの熱量に絆され、本気で準備することを決める。

その後ありがたいことに決勝進出が決まり、ピッチのメンターが決まりました。それが川村さんでした。
事務局から川村さんは「ピッチ改良に定評がある」ことを教えていただき、私も日々準備を進めていました。

しかし一向にプレゼンストーリーが固まりませんでした。
「やばい」と頭の中で何度も反芻していました。「このままではなんの結果も持ち帰れないまま、プレゼンの舞台に立つことになる」
不安を抱えたまま、私は川村さんとの初回面談の日を迎えました。

オロオロしている中、私は川村さんがIVSに賭ける意気込みを聞き、自然と腹を括って行きました。
「スタートアップにはカッコよくあって欲しい」
畑は違うけど、私が介護職さんに願うことと同じだと思いました。
自分がリスペクトする人達のために、自分の全力を、惜しみなく賭ける。
そう思えたからこそ、プレゼンでの熱量が審査員の皆さんにも伝わったのではないかと思っています。

ここからの一ヶ月は、数年に一度のレベルで、準備に時間を投じたと思っています。
「Helppadを知って欲しい」「賞金が欲しい」など、覚悟を持って準備ができた理由は色々ありましたが、一番は、IVSの皆さんのスタートアップに賭ける想いにほだされたのが大きかったです。


第三者からフィードバックを受ける

その後本番まで、仲間のスタートアップ経営者やA種ラウンドの投資家の方などにフィードバックをもらいました。
川村さんからも資料提出直前にコメントをいただき、何度も何度も改善を繰り返しました。

プレゼンテーションにおいて当たり前のことですが、この小さな積み重ねが優勝に繋がったと感じています
本番まで、常にピッチのことを考えていて、子どもが寝た後の時間は全てピッチ準備に時間を当てていました。
夢でもピッチについて考えていたほどです。

臨場感を審査員に感じてもらう

 IVSの聴衆・審査員の方々は、介護現場に縁遠い方も多いので、どうやって介護現場の臨場感を持ち込むかを考えました。

その中で、代理店さんへの勉強会や施設様への説明会などでよく行っていた、ベッド上でデモをする方法でプレゼンすることにしました。

また、他にも臨場感を持って伝えるために、プレゼンスライドにも30年前の老人病院の写真を使ったり、できるだけ身近に感じてもらえる工夫ができたと思います。
これは介護だけでなく他のプロダクトでも真似できる工夫なので、参考になれば嬉しいです。


ピッチ資料を作り込む

資金調達の時に使用する資料は、ロジックと網羅性が命!と思って作っています。
A種ラウンドの調達では、100ページ以上の資料を作りました。

対してピッチイベントは感情に訴えかけるので、ロジックも大事ですが、それ以上にストーリー性を大事にしています。
最初はAラウンドの時の投資家向け資料をただ短くしていただけですが、決勝に向けてはチャレンジを始めて15年の全てを棚卸して構成し直しました

過去の写真も引っ張り出したり、技術陣にも動画を作ってもらいました。
ストーリーなので笑あり涙あり、臨場感と壮大感を掛け合わせて作れるように努力しました。
人はストーリーに共感するので、ストーリー性の作り込みは重要だと感じています。


リサーチできることは全部やる

審査員の方々の経歴や投資実績、やられている事業、関心があることなど、調べられることはとことん調べ尽くしました。

特に、過去の優勝者であるアダコテックの河邑さん、SHEの福田さん、PETOKOTOの大久保さんのプレゼンは何度も見直しました。
特に河邑さんに関しては、河邑さんのプレゼンスクリプトを書き出して成功要因を分析したほど。ほぼストーカーですね(笑)
でもこの作業のおかげで、「この掴みうまいな!」「abaだったらこう表現しようかな」と、ストーリーラインを考える上での弾みがつきました。
ストーリーライン作りの迷走から脱却できたのは、まさにこの真似大作戦のおかげでした。

左側に河邑さんのスクリプトを書き出して、右側に自分のスクリプトを書き出す。
各セリフが何秒かかるかも測定した。

プレゼンでのキーポイントはやはり「臨場感」

そのほか、臨場感を出すために実践したベッドでのデモに合わせたスライド構成や、Helppadで排泄をAIが検知しているのがわかる動画も、臨場感を出す上で重要なポイントでした。

「おむつを開けずに中が見たい」などの介護現場の声を落とし込んだプレゼンができたことで、介護現場へのリスペクトが審査員に伝わったのではないかと感じています。

繰り返しになりますが、いかにストーリー性や臨場感を出して、審査員に訴えかけるか。これが大切ですし、どんな業界の事業を展開している企業でも工夫できるポイントです。


優勝がきっかけで、確かに前に進んだ。

優勝した影響は思いのほか大きく、まず社内の雰囲気がより良い方向に変わり、「abaは勝てるチーム」だと思えるようになりました。

同時に、投資家や採用における候補者は、IVSを見てきた上で話が始まることが増えています。最初から熱量が高い状態なので、それが本当に有り難いです。
   
プレゼンテーションは介護施設の方も結構見られていたようで、嬉しいことに過去最短のリードタイムで大型受注も決まりました
介護業界への波及もあり、優勝して本当に良かったです。


最後に

ここまで偉そうに書いてきましたが、正直プレゼン直前までずっと不安で、会場のトイレに篭ってプレゼン練習をずっとしていました。
なによりも他の登壇者がすごかった。
リハの時から思っていましたが、みなさんの事業進捗の凄さや、ストーリーの作り込みのうまさ、そして個性。
どれも凄まじく、プレゼンに入るまで自信を持てずにいました。
しかも今はabaにとって一番大事な、Helppad2の発売直前の最後の実証期間。
プレゼン準備にばかり時間を割く状況に、私自身、abaメンバーに申し訳ない気持ちを持つこともありました。

でも、「もっとHelppadを知ってほしい」
いろんな思いから、逃げ出すことを何度も何度もやめて、舞台に立ちました。
15年かけたから見れる景色がきっとあると信じて、登り切った甲斐がありました。

応援してくれた皆さん、本当にありがとうございました!!!

また、ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
ぜひ少しでも参考になりましたら、シェアいただけると幸いです!

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