第三話 とあるランプへの発見
忙しい日々を過ごしながらも、暇を見つけてはネットであのランプを探していたある日、ついに同じあのランプを過去に取り扱っていた日本のショップを見つけた。
アンティーク界隈ではよくあることだが、個人で仕入れて販売している類のネットショップだった。
アンティーク特有のシャビー感はなく、磨かれているものだが、確かにあのランプであった。
しかし販売されたのは1年以上前のようで既に誰かに買われていたが、何よりも同じランプが存在しているということが判明したのが大きな収穫だった。
というのも、最初に見つけたランプは、販売にあたり店主によるリメイクが施されていると記載されていたため、本来の姿がどういうものか定かではなかったからだ。
それがこの日の発見で、ほぼ同じ姿で造られているということがわかったことで、以後の検索にも力が入るようになる。
勿論、この店にもDMを送ってみたのは言うまでもない。
「このランプをずっと探しているんです」
店主は「フランスの蚤の市とかでたまに出てるとは思いますよ」と。
この情報も大きな収穫だ。
現地にいけば、運良く出会える可能性があることと、つまり誰かしらがまた仕入れる可能性があるということだ。
ここから毎夜の検索にも力が入るようになる。
存在する以上、世界のどこかで誰かがネットで販売するかもしれないからだ。
検索方法にも長けていき、このように同タイプのランプの画像を見つけることもあったが、いずれも販売されているものではなかった。
様々な検索ワード、言語、サイトをめぐる日々が続いていたある日、あのランプを扱っていたFIVE FROM THE GROUNDさんがガレージセールをすると報された。
「もしかすると、あのランプが出るかもしれない、、。」
わずかな期待を胸に、彼はその日を待った。
セール当日、ネットショップのオープン前からページ更新の準備をし待った。
朝8時半、その時刻が訪れると彼は更新を繰り返し、ページが表示されてすぐに商品リストからあのフォルムを探す。
そこにはおそらく素敵な商品が並んでいるのだろうが、目的はただ1つだったので脇目も振らずにリストを上から下へとチェックする。
すぐに2ページ目へと移り、果たして奇跡的にあのランプを見つけた。
否、ぱっと見は同じものに思えたが、正確にはそれに近い形のランプで、しかも製品として未完成な素材売りのような形であった。
しかし、彼にとってはあのランプに出会って以来、その店のセールで、最もあのランプに近づいた気がする瞬間であった。
そして何よりも値段が破格といえるほど安い。
スタンド付きで6050円。
セールの恩恵に感謝である。
彼は即座にカートに入れ、決済を完了した。
「勝った(買った)。。」
ー第三話 完ー
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