憧れのアーティストに会えた話 〜LUNA SEA編⑥〜
まさかこんなに早くその機会が訪れるなんて思ってもみなかった。
慣れないローディー業の話とREDЯUMのステージについては今回の主旨から外れるので割愛するが、本番が終わり、メンバーがステージから捌けてから機材を片付けてる最中、KANZがアイコンタクトと共に俺にささやく
「来てる来てる」
正直、その瞬間は片付けに意識を集中した。
ここで浮かれても仕方のないことだし、あくまで自分はREDЯUMのローディーであり、メンバーに迷惑をかけたくなかった。
きっちりと仕事をしたかった。
TSUYOSHIさんのエフェクターを片付け、ステージすぐ横にある楽屋へ運ぶ。
そこにはREDЯUMのメンバーと談笑するSUGIZOさんがいた。
さらっと見ただけで、すぐにステージに戻り、他の片付けを手伝う。
この時の心境は、逆に冷静だった。ただしかし、脈は確実に早かったと思う笑
だって、あのSUGIZOさんが、LUNA SEAのSUGIZOさんが、すぐそこにいる。
これまでは、ライブで肉眼で見れることはあっても、はるか遠い存在。
高校時代に出会ってからずっと聴いてきたあのLUNA SEAのSUGIZOさんである。
INORANファンだったが、あくまでも今で言うところの推しであり、そもそもはLUNA SEA自体が好きで、メンバー全員のことが好きだった。
それに、コピーバンドをやっていた時は、自分がSUGIZOさんパートも耳コピしていたので、プレイも体に入っているし、エフェクティブなプレイスタイルは、その後、自分がギターシンセを導入するに至るほど、表現の仕方について多大な影響を受けているのである。
そんなSUGIZOさんが、すぐそこにいる。
この現実を、高校生時代の自分に教えてあげたい。
そして、片付けも終わり、ちゃっかり楽屋の隅に陣取りREDЯUMのメンバーとSUGIZOさんの談笑を眺めていた。
SUGIZOさんの口調は、とても丁寧で優しく、終わったばかりのライブ内容について話していた。
やがて、唐突にその瞬間が訪れた。
KAZIさんが
「SUGIZOさん、実はうちにもローディーがつきまして・・」
といってSUGIZOさんの目線がこちらに
俺は多分、「はじめまして」とか当たり障りなく、そして無理な主張もしない挨拶をしたと思う。
SUGIZOさんはKAZIさんに向かって
「よかったじゃん!絶対いたほうがいいよ、メンバーだけじゃ出来ないこととかあるしねぇ」
といってから、こちらに向かって
「よろしくね、頑張ってね」
と言った。
つづく
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?