経営者の人格。

「会社、組織は、トップの器以上のものにはなりません。立派な会社や組織にしたいならば、まずリーダーが、自分の人間性、人格を高めることが何より大事です。経営を伸ばしたいと思うなら、心を高めなさいと、盛和塾でもずっと言ってきました」(『週刊朝日』2013年10月25日号)

京セラ、第二電電(現KDDI)を創業し、日本航空を再建した稲盛和夫氏の言葉です。

いろいろなシーンで引用される有名な言葉ですが、実に共感できる内容だと思います。この「立派な」というのは、必ずしも「大きさ」という意味ではないと私は受け止めています。「誰かのためになる、必要とされる、喜ばれる」くらいの意味かなと。そうした時に稲盛氏の言葉がスッと心に沁み入ってくるのです。

これまでに私が仕えたボスには、常識の上を行き強烈な業績を残すぶっ飛んだカリスマもいれば、大組織の1チームを率いる人望あるリーダーや、逆に裸の王様のような哀しき零細企業の社長もいたのですが、つくづくリーダーの人間性というのは組織の活力や生み出す価値に直接影響するものだと感じます。

人間性を言い換えるならば「志」ということでしょうか。志あるリーダーの下で働いていると、メンバーは皆、目の前にあるこの仕事をもっとよくしようと、誰に指示されるでもなく取り組みます。結果、誰かのためになる仕事が次々に生まれていきます。

逆に、仕事への忠誠心はあっても、ボスの人間性に疑念を抱いてしまうと、目の前の仕事の質を高めることが会社の利益となりそのボスを利することになるので、頑張ることが悲しくなってきてしまいます。自らのプライドに賭けて仕事には全力投球するものの、モチベーションを維持することが難しい。

つまりリーダーの志は、着いていくメンバーの「気持ち」を左右するわけです。組織が生み出す価値は、リーダーが指し示す方向性も重要ですが、その下で多くのメンバーがたくさんの良質なアウトプットを作り出せるかにかかっています。メンバーが誇り高く、モチベーションを高めて仕事に邁進できる状態にさせられるかは、リーダーの志、人間性が少なからぬ影響を与えると言っていいかもしれません。単なる人心掌握術ではなく、人間の根幹に関わる部分だと思います。

転職先の企業は、果たして良いサービスを生み出す会社なんだろうか? 企業選びをする際は、経営者がどんな人なのか気にしてみることをおすすめします。最終面接などで直接話す機会があれば、感じられる情報も多いでしょう。また選考途中の、経営者自身が出席していない場で、社員に「社長はどういう人ですか?」と聞いてみてもいいかもしれません。

その会社が掲げるミッションやビジョンに志が表れていることもあるでしょう。求職者の皆さんが迷いなく仕事に打ち込めるように、少しでも多くのそうした情報提供ができるように努めたいと思います。

ちなみに私は今、とても清々しい気持ちで仕事に取り組むことができています(^^)。幸せなことです。

(この投稿はnote開始前のブログで2019年7月7日に発信した内容です)

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