「転職成功おめでとう」とは言いません。

転職エージェントをやっていて、この仕事冥利に尽きると感じる瞬間がいくつかあります。

キャリア相談の面談で初めてお会いして以降、紆余曲折ありながらも伴走してきた求職者が志望企業の内定を得て、オファー承諾の連絡をもらう瞬間がその一つです。

これにてマッチングが成立し、求職者にとっては「転職先」が決まります。同時に企業にとっては「採用」が決まるわけです。どちらからも「ありがとう」という言葉を掛けていただき、胸がいっぱいになる瞬間です。

さてさて、内定承諾を伝えてくれた求職者に返事をします。「ご承諾を確かに承りました。企業にお伝えします」という内容に加え、お祝いの言葉を添えたくなるわけですが、私が密かにこだわっていることがあります。

私はここで「この度は転職成功おめでとうございます」とは決して言いません。

私はいつも「転職先ご決定おめでとうございます」とお伝えするのです。なぜなら、今回の転職が成功なのかどうかはまだ分からないから。言葉尻をとらえる面倒くさい奴だなと思われるかもしれませんが(苦笑)。

私もその人がそもそも転職した方がいいのか、現職に残った方がいいのかというところからご一緒に考え、後悔のない選択をしていただくために数カ月にわたり精一杯支援をします。転職成功へ向けた「入り口」にお連れすることに全霊を傾けます。

もちろん、その求職者が多忙のなか苦労して志望企業への切符を手にしたことはとてもめでたいことです。それを讃えたい、お祝いしたい。でも一方で、あくまでスタートラインに立ったにすぎないわけであり、目指すべきゴールは、入社後に活躍されて、ご自身も、採用した企業も「よかった」と感じられることだと思います。

そんなことを考えながら、「この度は転職先ご決定おめでとうございます。この転職を◯◯さんの手で成功に導いてください」と、ちょっとエモいメッセージを今日も添えさせてもらっています。

(この投稿はnote開始前のブログで2019年5月19日に発信した内容です)

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