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三色選書〜10月のAoyama Book Colors〜

Aoyama Book Colors、それは青山ブックセンターコミュニティー支店による色々選書。本屋さんで出会って大切に読んできた本を、毎月メンバーのコメントと共に紹介します。

今回は「Amaoya Book Colors in ABC」と題して、初めて青山ブックセンター店内で選書を行いました(撮影の許可を得ています)。10月は月見団子の三色選書。いつもより大きな本棚で、色を探して歩き回りました。



文化の日の昼下がり。お店に集合して、まずはくじ引きを実施。お団子の串で、担当の色(ピンク/白/緑)を決めます。

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3名の参加者に、当たった色の本を2冊ずつ選んでもらいます(今回、支店長 松下は審査員?的な役回り)。制限時間は30分、ひたすら色縛りで本を探します。読んだことがなくてもOK。それでは、よーいスタート!!

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ピンクの本を探して、文芸新刊棚の前でじっと見定める。おや、それは山下店長おすすめの『フライデー・ブラック』(駒草出版)では?

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白い本を探索中。こちらは食の棚。『マツタケ 不確定な時代を生きる術』(みすず書房)を手に「欲しい…」と唸っておられました。

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緑担当。ビジネス棚の前で佇んでました。ちょっと青っぽいけど、『あやうく一生懸命生きるところだった』(ダイヤモンド社)いい本ですよね。

あっという間にタイムアップ。すでに普通に買う本を抱えている猛者も…せっかくなので、棚の前で選書理由をプレゼンしてもらいました。



【ピンク】グレイソン・ペリー『男らしさの終焉』(フィルムアート社)

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私が選んだのは、ピンク色の『男らしさの終焉』っていうグレイソン・ペリーさん、イギリスの方の本です。エッセイの棚にありました。

これ、一回読んでるんですけど、最近よく聞くフェミニズムって女性目線が多いなかで男性の話が少なかったので、それが目を引いて買いました。結構、僕もゴリゴリ体育会系のノリの業界にいるので、そこの違和感が解けてよかったです。


【白】三浦哲哉『食べたくなる本』(みすず書房)

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白の『食べたくなる本』、三浦哲哉さんの本です。食の棚にすごい目立つように置いてあって。ヒラクさんの本とかと並んで。まず、タイトルがいいですよね。何の本かっていうと、映画の評論家の方が書いている「料理本の批評本」っていう、なかなかマニアックな。「食べることの全てを愛し直そう」とか「まったく新しい料理哲学の誕生」ということで、食べるということをすごく不思議な観点から批評しています。

バックグラウンドが結構文化人類学寄りの方で、食べるっていう食文化、食べ物の表現とかいろんな観点から、すごく興味深いなって思いました。あと、1年で4回刷ってるんですよね、2019年に出たばかりなんですけど。その辺の注目度っていうのも気になります。


【緑】石川直樹『Manaslu』(SLANT)

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私が選んだのは、緑色の石川直樹さんという方の『Manaslu』っていう写真集になります。これはネパールの真ん中らへんにある山で、世界で8番目にデカい山です。

見本が青山ブックセンターにはあってですね、中が見れるようになってるんですけど、めっちゃカッコいいんですよ。やばくないですか!ネパールとか一生に一回行くか行かないだろうなって場所だと思うんですけど、これは…好き!なので、おすすめです。風景写真のコーナーにあります。


【ピンク】キティ・ハウザー『僕はベーコン』(パイインターナショナル)

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僕が選んだのは、ピンク色の『芸術家たちの素顔④僕はベーコン』です。フランシス・ベーコンという芸術家のことを書いた本なんですけど、選んだのは完全にタイトルですね。単純にこれは読みたいなって。

めくってみると、生い立ちとかを簡単にまとめていて、絵を入れたりしてキャッチーですごく読みやすくて、この画家のことがちゃんとしれるかなって。名前で選んだけど、意外と面白そうだなって思いました。これは…早助よう子さんの選書フェアで見つけました。『ジョン』を書いた方ですね。


【白】谷川俊太郎『普通の人々』(スイッチパブリッシング)

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詩の棚から、谷川俊太郎さんの『普通の人々』を選びました。2019年に出た詩集なんですけど、まず推したいポイント3つぐらいありまして…

1つ目が装丁なんですけど、パッと見は白じゃないですか。よく見るとここに公園みたいな絵が入ってるのと、装丁は白なんですけど中は微妙にピンク味がかかった紙っていうのがお洒落だなって。

2つ目が『普通の人々』っていうタイトル。この詩集にはいろんな人の固有名詞がめっちゃ出てくるのが谷川さんにしてはすごい珍しくて、たとえばこの「画面」では浅川さんって人が出てきたりとか、「人生」では穂積さんって人が出てきたりとか。いろんな人の名前が出てくることで、ちょっと身近な感じがして。普通の人々の普通の物語があって、「普通ってなんだろう」って考えさせられる詩集となっております。

あとは、ヤマグチカヨさんのイラストがちょこちょこ入ってて、谷川さんの詩集は写真とかは結構あるんですけど、イラストが入ってることはそんなにないんで、ゆるい感じの絵が可愛らしさを演出しています。


【緑】岩田リョウコ『週末フィンランド』(大和書房)

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私が選んだのは、緑色の『週末フィンランド』という本です。ここは、旅行系の棚が並びまくっている中のヨーロッパエリアで見つけました。

最近サウナに初めて行ってめっちゃハマって、そもそもフィンランドに行きたい。本場のフィンランドでヴィヒタをバシバシやって、ロウリュウでジュワッと…というので選びました。装丁も可愛いよね。



ひと通りプレゼンが終わり、審査員賞の発表です(一番気に入った本を買います)。本当は全部欲しかったのですが、迷った挙句「”今日は”これを買います」と条件付きで選んだのがこちら。

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ピンクの『男らしさの終焉』を買います。まず、単純にタイトルと表紙が気に入りました。固いテーマのはずなのに、表紙まわりがポップなのも手に取りやすいですよね。

あと、声が小さかったり、優柔不断なところがあったりすると「男らしく(男なんだからしっかり)しなさい」という声が飛んできそうですが…個人的に疑問に思うところもあって、そうじゃない部分がこの本には書かれてるんじゃないかと。これを読んで、自信を持って生きられるようになるんじゃないかと思ってます。



初めてのリアルAoyama Book Colors。本屋を散歩しながらお気に入りの本を紹介し合う体験も新鮮でした。積ん読に拍車がかかりそう…

気になった本があった方は、ぜひ店頭で「ピンク、ピンク…」と唱えながら探し歩いてみてください。きっと素敵な出会いがありますよ。


文・松下大樹


〜お知らせ〜

コミュニティで棚を作りました。青山ブックセンター本店にてフェア展開中ですので、ぜひお立ち寄りください。



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