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みちのく潮風トレイル冒険録3:阿武隈高地北端の縦走(坂元駅→逢隈駅)

 みちのく潮風トレイル(MCT)を歩く際に用いる地図について書いておく。以前は環境省が無償で地図を配布していたらしいが、現在は相馬から八戸までの全区間を10冊に分けたA5判のHiking Map Bookが販売されている。名取トレイルセンターなどで販売しているほか、オンラインショップでも購入できる。一冊1,650円とやや値は張るが、売り上げの一部はトレイル整備のために活用されるということなので、寄付だと思うことにしよう。意外と便利なのがMap Bookとあわせて販売されているData Book。Hiking Map Bookには掲載されていない、トイレや補給場所の位置、標高やその地点までの距離などの情報が表形式で詳細に載っていて、歩く計画を立てる際に役に立つ。私はHiking Map Bookのコピーに事前にData Bookから必要な情報を書き込んだものを携帯して歩くようにしている。
 冒険は計画を立てるときから始まっている。特にセクションハイクの場合、その日のスタート地点までとゴール地点からの交通手段の計画も立てておく必要があり、十分な情報収集が欠かせない。地図を読み、あれやこれやと試行錯誤しながら予定を組立てていく行為もまた楽しいものだと思う。

Day5:坂元駅→逢隈駅

2021年5月8日(土)
 週末は天気が良いらしい。常磐線に乗り、坂元駅をこの日のスタートとする。国道6号線を歩き、山元町役場を経由して深山山麓少年の森へ。ここには山元町区間のMCT案内看板が建っている(この看板、各市町村ごとに必ず建っているのかと思っていたのだが、石巻市まで歩いた現時点では相馬市・新地町・山元町の3か所でしか見つけることができていない)。

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 深山は標高286mの低山で、山麓少年の森から山頂までいくつかのハイキングコースが整備されている。家族連れのハイキング客で賑わう登山道を歩き、あっさりと山頂に到達する。山頂からは海岸線が良く見え、東日本大震災の犠牲者を追悼するための鎮魂の鐘というものが設置されているが、山頂は登山客がかなり多く気恥ずかしいので鐘は鳴らさず先に進む。

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 深山から明通峠までは阿武隈高地の尾根道の縦走になる。どんな道だろうかと心配していたのだが、意外と草刈などの整備が行き届いていて、道標となるブルーのリボンテープが随所に設置されていて歩きやすい。地元の人たちが丁寧にトレイルの整備をしてくれていることに感謝しながら歩く。

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 明通峠からいったん車道に降り、四方山の展望台までアスファルトの上を歩く。ここには以前来たことがあるが、展望台まで車で登れるので意外と訪れる人がいる。東屋で軽食をとり休憩する。
 四方山から鴻ノ巣峠までは再び尾根筋の縦走、とても快適な道だが登山者とは一人もすれ違わなかった。いつか、逆方向からMCTを歩いてきたハイカーとすれ違ったら話を聞いてみたいものだと思うが、まだその機会は訪れていない。天気も良く、トレイルから見える尾根筋の遠景が美しい。

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 鴻ノ巣峠から亘理町の市街地へ降りていく。亘理駅で終了でもいいかと思っていたが、もう一息逢隈駅まで足を延ばすことにした。山道を歩いていた時はそれほど疲労を感じていなかったが、逢隈までの平坦な道で脚に疲労を感じ始め、ペースが落ちてしまった。何とか夕暮れ時の逢隈駅に到着し、帰りの電車までの数十分をまったりと過ごす。 

 坂元交差点から逢隈駅までの26.79kmを、7時間15分かけて歩いた。ロングトレイル初心者にしてはちょっと無理をして距離を歩いた感はあるが、阿武隈高地の北端に近い尾根筋を縦走するという、本格的な山道の冒険を楽しみ、充実した気持ちで帰宅した。

03.坂元→逢隈

 南側のセクションは↓

 北側のセクションは↓


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