アルニコ&ウッドコーンのスピーカーユニット PARC Audio DCU-F104W
今日はPARC AudioさんのDCU-F104Wというアルニコのウッドコーン8cmフルレンジスピーカーユニットのお話しです。
この記事を書いている今は8cmユニットは購入できませんが、同じアルニコウッドコーンの10cmユニットのDCU-F126Wが購入可能でしたのでリンクを張っておきます。
直径8cmのフルレンジスピーカーPARC Audio DCU-F104Wスピーカー。小さいですが、明るい音色でアルトサックスのような中低音がとても滑らかに響き、気分の良さを味わえています。
このスピーカーの音を一言で表すならば「まさしく音を楽しめる」解像度と軽やかさ華やかさを感じるスピーカーユニットだと思います。
もちろん、8cmのフルレンジユニットですから音の迫力、低域の響き、広域の伸びはそれほどではありません。それでも、なんというかこの1本だけで聞いていると耳が聴き疲れしません。
楽器もオーディオも全然疎い割りに、良い音をお金を掛けずに聴きたいという欲ばりな自分にぴったりでした。
現状
iPhoneのApple audioやSpotify、Radikoなどの音源をBluetooth経由でTube 7の真空管アンプ兼Bluetoothレシーバーへ飛ばし、マランツのアンプへRCA接続し、0.7SqのOFCスピーカーケーブルでPARC Audio DCU-F104Wスピーカーへ繋いでいます。マランツのアンプはスピーカーへの出力が2系統あり、後述するSOLIDというネオジムのスピーカーと選択もしくは同時に鳴らせまたアンプのトレバスバランスをスキップしてスピーカーへDIRECT接続する機能を使うことも出来ます。
結論から言うと
きれいな音楽を聴くのが楽しくなり、家に居る間ずっと、とくに中低音が良いサックスのジャズを流すことが多くなりました。
すごく良くなったけど、さらにもっと良い音で聴きたくなりました。「良い音のためには相応のコストは出すべきだな」と思うようになりました。
とはいえ、産まれてこのかたうん十年、ウサギ小屋生活ばかりで、大きなスピーカーを鳴らせるような環境に無かった。。。
これまで所有したスピーカー
。
ただ、見たとおりのミニマムデザインでバスレフのエンクロージャーの対極にあります。
キンキンツイーターだけみたいな音のスピーカーで高音からボイスまでの高い音ばかりで低音の無い生活をしていました。何を聞いても耳の横でキンキンしちゃうのですぐに聴き疲れしちゃう。
年を重ねて高音が聴き取りづらくなってきた自分にはこれはこれでテレビの音声を聴きとりやすくて気に入ってました。
実際、私の耳はこの高音に慣れてしまっていました。
最初PARC AudioのDCU-F104Wスピーカーを聞き始めた時
高音が聞こえなくて音が小さく聞こえました。
ボリュームを上げてみても同じ感覚。正直ボヤけたように聞こえていたのです。
次に、このPARC AudioのDCU-F104Wスピーカーとネオジムのスピーカーと2系統を同時に鳴らしてみると、ネオジムの強い高音とアルニコの低音が強調しあってそれはそれで解像度の高い音が聞こえていました。
しかし、どうしてもSOLIDのネオジムのスピーカーの方が勝ってしまって、安いイヤフォンの圧迫感やドンシャリでやっぱり疲れちゃう。
次にしたこと
このPARC AudioのDCU-F104Wだけで色々な音楽を聴くこと。やはり音量は大きいままでした。
自分の耳のおかしさに気付かず、うーん。どうしよう失敗したのか?と思っていました。
ところが
まだ陽の出る前の静かな時間帯に、周囲に気を遣うように小さな音でHeat is ONしか知らなかったグレン・フライの晩年のAfterHoursというアルバムからFor Sentimental Reasonsというラウンジで歌われているようなムードのある曲を流した時に気付きました。
「あれれ?!本当にラウンジにいるみたい!」
ボリューム音をとても絞っているのに、音がずっとふくよかで、立体的に見えるようです。心地よいグレンフライの歌声とピアノとベースの音もそれぞれがきれいに聴こえるではありませんか!
同じくグレン・フライの「You belong to the City」をかけてみると。いきなりステージでサックスにスポットライトが当たるのが目に見えた気がしました。しかも音は、ごく小さな音量なのに。
このサックスはBill Bergmanという方が吹いているそうです。ブルースブラザーズ2000で演奏している
ただ、いかにもデトロイトなSmuggler's Bluesはちょっと眠たくなってしまいます。
サックスの腹をしめつけるような響き、グレン・フライの声と共に染み入ります。
このPARC AudioのDCU-F104Wスピーカーは音を選ぶのですね。
ボーカル、ピアノやサックス、特にコントラバスの音がじつに良く聞こえます。
小柳ゆきさんがEVEの廻廻奇譚をボーカルとピアノとコントラバスという最小構成で歌う曲は最高です。
とりわけジャズは合います
例えば、Art Blakey & the Jazz Messengers のMoanin' サックスのパート全域や、ベースの弦をつま弾く低音の一音一音が目の前に見えるように立ち上がり思わず身震いしました。
スピーカーの正面に座ってさあ聞くぞというよりは、ラウンジで流れるBGMとしてを聞き流してもライブのように聴こえている。あえてBGMのように流しててもずっと流せる。なのに演奏を立体的に表現ひてくれるそんなスピーカーユニットでした。
ジャズにはピッタリですね。特にボーカルジャズ、トランペット、ピアノ、ドラムスと合わせたChet Bakerなどは水を得た魚のように描き出してくれます。
中低音のテナーサックスのジョン・コルトレーンのBlue Trainをレコードの手間なくストリーミングでBGM程度の音量で流すなんて贅沢な時間を過ごせる。最高です!
低音が綺麗に聞こえるため、トランペットよりもテナーサックスと相性が良いので、SHORTY ROGERS AND HIS GIANTSのThe Lady is a Trampピッタリはまります。ネオジム磁石のSOLIDスピーカーでは考えもしなかったジャズ喫茶にでも行ったような気分を味わうことが出来ます。
2018年限定でドリームクリエイション株式会社さんが生産されたこのPARC Audio のDCU-F104Wスピーカーユニット
優れた低音再生能力(F0=80.2Hz)、アルニコマグネット採用(内磁型磁気回路)特有の艶のある音色、使いやすい8Ωにバージョンアップ、出力音圧レベル84db/W/m、Mms : 2.993g Vas : 1.816L 再生周波数 f0~20kHz f0 80.2Hz Qts 0.624、多層構造ウッドコーン、アルミ製フェイズプラグ、ショートリング採用低歪磁気回路、アルミダイキャストフレーム、金メッキ端子、ゴムエッジ採用フルレンジスピーカー、最大入力20W、RoHS対応といった特徴を持ちます。
希少金属となったアルニコ(アルミ、ニッケル、コバルト)芯の芯材を使ったスピーカーということもありますが、JBLやFOSTEXではない選択をしたかったこと、単純にブルーのリングがカッコ良い。さらにコスト的にも自作ユニットの一番高い部類だけど高級スピーカーの半額ぐらい。
私のスピーカー遍歴の中でBOSEではなく、かつ、明らかにアルニコ磁石のスピーカーの音だったのが、記憶の片隅にありました。
8CMのフルレンジのアルニコでウッドコーンで真空管アンプと相性の良い8Ωをバスレフユニットに付けたスピーカーの音。ある意味全部入りだけど音量は控えめ(大音量で減磁しちゃうから)で、かつ得意な楽器も選びます。
歳を取ると人生最後かもしれないならば好きなジャズ専用のスピーカーで贅沢(プチ贅沢)をしてみたいそんなニーズにぴったりのスピーカーだったなぁ。
最後に
前回、オーディオアンプを車のエンジンに例えたところ自分の中でのポジションがハッキリ見えたのをいいことに、今日のスピーカーは車のタイヤに相当するポジションなんじゃないかと思ってみました。もちろんタイヤは消耗品なのである程度走ると終わってしまう寿命に比べればスピーカーはずっと長持ちするある意味終わらないタイヤ。
スポーツ走行向きのタイヤもあれば、燃費の良いエコタイヤもある。そんな中でこのPARC AudioさんのDCU-F104Wはどんな性格なのかというと、インチアップしないでむしろインチダウンしてクッション性や乗り心地を大切にしながらも静粛性と耐久性を併せ持った万能タイヤ。
その奥深さは一言では言い尽くせないが、確実にサーキット向きではありませんが、やればやれなくもないスポーツ性、ヘビーメタルは得意ではない。得意なのは弦楽四重奏やサックスのジャズ、ボーカルのジャズもイケます。耐久性はミシュランのPS2あたりかなぁ。静粛性とダンピング性能の高いBSのレグノでしょうか。とにかく楽しくてお出かけ(聴きたくなる)したくなる感じです。
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