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HTC Vive XR Elite 初期設定の覚え書き(購入~準備編)


はじめに

以前よりVR機器はHTC Vive CEからVive ProEyeを使用しておりました。
その後、諸事情から首を痛めてからは、軽いVR機でなくては負荷が辛いため約1kgにもなるProEyeから新たにPico4を購入しました。
しかしながらProEyeのアイトラッキングを使った楽しさが忘れられず……。
使わなかった間にケーブルやフェイスカバーなどの劣化なども進んでおり、一念発起、HTC Vive XREliteを購入することにしました。
アイトラッキングならQuestProという選択肢もありましたが……。
私がVRで入っているのはVRChatではなくバーチャルキャストがメインでしたので。どちらにも対応しているXREliteを選びました。

購入・準備したもの

  • HTC Vive XRElite

  • VIVEフェイシャルトラッカー

  • エレコム USB PD対応 65W USB-ACアダプター

  • VRリンクケーブル(USB-Cスプリットケーブル)

なぜUSB-ACアダプターを購入したのか

HTC Vive XREliteにはUSB-ACアダプターが同封されていません
別売なんですよね。ケーブルは付いてくるのですが。

XREliteは USB PD 対応 30W以上の電源 が必要です。
バッテリーパックを使うにしても、充電しながら使用するのには電源が必要なわけです。メガネモードであれば必須と言っても過言ではありません。
Quest2、Quest3、Pico4であれば18W(表記上は20W)のアダプターが付属するのですが……。QuestProは45Wのアダプターが付属します。

購入したエレコムのAC4465BKというUSB-ACアダプターの表記は65Wですが、複数ポートあり1ポートは45Wで動作します。そして30W以上を出すには45W以上のUSB-ACアダプターが必要なのでこちらを選びました。
メーカーはAnkerやAUKEYでも良かったと思うのですが……。比較的安くGaN使用したものを選びたかったのでこうなりました。

そもそも USB PD とはなんぞや?

USB PDという規格ですが、これも事前に知っておくために覚え書き。
USB規格では USB 2.0 や USB 3.x などがありますが、5W(5V1A)の電力出力しかありませんでした。(USB標準規格)
しかしそれでは電力が足りないというケースが多くなり USB Type-C を使用した15W(5V3A)の出力ができるようになりました。(USB 3.0A規格)

そしてさらに電力が必要ということで USB PD 規格が作られました。
これは最大100W(5V2A 10W、9V2A 18W、12V3A 36W、20V3A 60W、20V5A 100W)までの電力に対応して、USB Type-C 端子 を使用した規格になります。(USB PD 3.1 規格という最大240Wまで出せる最新規格もありますがここでは書きません)

USB PDは制御基板で出力を設定するため安全性も高いですね。

有線通信と充電を一緒にしたい!

やりたいですよね。やっぱり。ワイヤレス通信可能なのに。
でも PC の USB Type-C ポートは 最大15W の出力しかありません。
足りません。バッテリーを消費しながらであればできますが……。
(Thunderboltなどの USB PD 対応の規格であれば100Wも出せます)
通信と電力供給を同時にPCで行うことは難しいということになります。
スタンドアロンHMDは無線通信+有線充電が無難な気はしています。
ですが、以下は有線通信+有線充電のいくつか方法を書きます。

この際に事前情報として、USB Type-C 端子で 5Gbps(USB 3.x)以上の通信速度に対応していること。見た目は USB Type-C でも480Mbps(USB 2.0)までしか対応していない物もあるので注意が必要です……。見た目だけで性能がわからないのもUSBの欠点だと思うんですよね。

そして見た目が USB Type-A の 5Gbps(USB 3.x)もあります。
ただUSB Type-Aはポートに差し込む速度でUSB 2.0と3.xを切り替える仕様のため、知らないとゆっくり刺してしまいUSB 2.0になって認識しない使えないというような、安定性に欠けるという問題があります。
(端子の奥に追加でUSB 3.xの接点があるために、ゆっくり刺すと奥の接点を認識しないうちに手前の接点からUSB 2.0で認識するという仕様がある)

最大40Gbpsのケーブルなどがある中で、5Gbps以上なのはQuest2やPico4くらいの解像度なら十分だからという面があります。
XREliteに付属のリンクケーブルは10Gbps対応のものですが、XREliteも本体の性能はその範疇ではあるので大丈夫であろうと判断しました。
ただしフェイスとアイトラッキングの通信が増えるフェイシャルトラッカーを搭載した場合に通信速度が足りるのかは不安があります。
(Quest3やQuestProでは5Gbpsでは不安定だという話もあります)

続いて必要なのはPD対応であることです。
初代Questや一部のVR機ではPD非対応の2Aまででも十分だったことから、そのケーブルもまだ販売されています。(3A以上は保証されていない)
今回必要になるのは30W以上(3A以上)に対応していなければならない為、PD対応は必須となります。

1.USBスプリットケーブルを使用する

これは1本のケーブルを通信用と充電用に分岐させるケーブルです。
(名称はVRリンクケーブルとして発売しているものもあります)
そして私が購入したのは種類としてはこれになります。

後日試してみたいと思いますが、当たり外れが一番あるかと思います。
(PD18W対応と書いてあってもPD45WまでOKのものもある。むしろ30W以上のUSB-ACを繋がないと18Wにできないので当たり前ではある)
とりあえず通信と充電18Wまで(チェッカーで確認できたのは18Wでした)の両立は出来ました。ただし使用しながらの使用には不向きと感じました。
通信量はギリギリ。(エラーで画質低下の通知がでることあり)

追記:3週間ほどで電力が流れなくなりました。通信はできるのですが……。

このケーブルのほとんどは、電力部だけを抜き出して別端子にしている為に
電力供給が途切れると通信も一緒に途切れるものも多くなります。電源だけ抜き差しなどは安定せず、両方が十全ではじめて機能する感じですね。別ケーブルだから、ではなく全てそろって1本だと認識しないといけません。
またそんな仕様外のことをしている為に、USB Type-Cの利点である向きを気にせず刺せる機能は失われている場合があります。上手く動作しない場合には向きを変えて刺すと安定したりします。

このタイプではスマホやタブレット用で多くが販売しています。もちろん使える物もあるのですが、DAC(Digital to Analog Converterつまりイヤホンやヘッドホン用にUSB変換する機能)が付いている物は通信速度が遅い、もしくは繋げられる機器が限定されている物があるので注意が必要です。
OTG(On-The-Go)対応と書かれているものは、スマホとタブレットなどのUSB機器同士の接続もできるようになっているので、できればこちらを選びたいところです。

2.USB Type-CのUSBハブを使用する

これはノートPC用に販売されているUSB Type-Cで接続するUSBハブを使用する形になります。ホスト側にHMD、ポート側にPCを接続する形ですね。
Quest2やPico4ではよく使われる方法になります。対応したUSBハブも見つけやすいかと思います。Viveトラッカーを繋いでLighthouse対応にしたり、イヤホンを接続するために使う人もいますね。

注意点としては、ノートPC用のUSB-ACアダプターから給電できるもので、ホスト側へのPD給電を行えるものを選びます。USBポート側へのPD給電するものを使うのであればホスト側にPCを接続して使いましょう。

またホスト側とポート側で対応している通信速度も確認しましょう。前述していますが両方とも5Gbps以上が目安となります。

3.Thunderboltポートに接続する

一番確実な方法です。
Thunderbolt は USB Type-C と同形状の端子をもった規格の一つです。
Thunderbolt3とThunderbolt4の2種類ありますが、今回必要とするのはThunderbolt4になります。

Thunderbolt4はUSB2.0、USB3.2、USB PD、PCIe、DisplayPort、Thunderbolt3の機能を全部入れした規格です。40Gbpsの通信速度に100WのPD給電、8Kまでの映像通信に対応しています。
欲しいものが全部詰まっていると言っても過言ではありません。

欠点としては、搭載しているPCが限りなく少ないことです。搭載していればそれを使用すればいいだけなので問題ありません。搭載していないならどうするのか。PCを開けてPCIeにThunderbolt4拡張ボードを刺しましょう。
これが一番確実で簡単な方法になります。

残念なことに私のPCにはPCIeの空きがなかったために断念しました……。

4.Virtual Link対応の機器を使う

困難ではありますが不可能ではない方法です。
Virtual Linkはグラフィックボードに搭載されたUSB Type-Cポートです。
Virtualと付いているようにVRヘッドセット向けに用意された規格です。
nVIDIAAMD、 Oculus、 Valve、 Microsoftが開発にかかわっています。
2大グラフィックボードとVR、MRが合わさり最強にみえる……が。

Virtual Linkは最大10Gbpsの転送速度と最大27Wの給電能力を持ちます。
DP Alt Mode対応で映像を直接送ることができるので、ディスプレイに1本のケーブルで接続できるという利点がありました。DP Alt ModeはノートPCやタブレットなどでよく見かける外部ディスプレイ用のポートですね。

困難な点ですが……Virtual Linkは消えた規格ということです。
nVIDIAのGeForceGTX10xx、RTX20xxの上位機種には実装されていました。
しかしRTX30xx、40xxには実装はされませんでした。(サポート打ち切り)
現在もRTX2080や2090でUSB Type-Cポートがある機種をお使いの方は、そのまま使用できますね。

AMDのRadeonではRX6000、RX7000の一部の機種に実装されています。
しかしVirtual Linkという名称は使われず、USB Type-Cポートとされています。DP Alt Mode対応ではあるので最大100Wの給電があるかもしれません。
こちらであればThunderbolt3/4と同等の可能性があります。
既にVirtual Linkと性能が異なるのでもうThunderboltでしかないですね……。

購入・準備はここまで以下雑記

何を購入し準備したのかはここまでで。
あとは設定について次回に書いていきたいと思います。
ここから下はHMDで検討した一部と雑記を書き残したいと思います。

なぜ HTC Vive XRElite を選んだのか

はじめにでも書きましたが、軽いこと、アイトラッキング搭載であること、VRプラットフォームでの対応を検討した結果、XREliteに落ちつきました。

検討には同社のHTC Vive Focus3という選択肢もありました。
マイナス点を先に書かせてもらいます。
まず充電しながらの利用が出来ない価格が高い。アイトラッキングとフェイストラッキングのオプションパーツが別々である。2021年発売と今から買うには躊躇する。と言ったことが挙げられます。
プラスの点ももちろんあります。
まず解像度が5KとQuest3やQuestPro、XREliteよりも上であること。
比較的簡単にバッテリーを交換できること。アトラクションでの使用も前提とした堅牢性。XREliteよりも重量バランスが良いことが挙げられます。
中古価格であればFocus3は安いんですけどね。

フレネルレンズとパンケーキレンズ

Vive XREliteとFocus3の話をしたところなので、それぞれの違いである1点のフレネルレンズとパンケーキレンズについてもちょっと書いておきます。

パンケーキレンズとは、カメラなどにも使われている薄型レンズのこと。
VRのHMDには特殊な2枚のレンズで構成されています。

数年前にブレイクスルーがあり、枚数が少なく、レンズ経も小さく、光量の減少も抑えてプラスチックで作ることができるようになりました。
なによりVR側がOLED(有機EL)からLCD(液晶)に変わったことで、LCDは光量が強いので相性がよかったというのがありますね。
(光量が強く黒い部分も光って見えるので、LCDが必ずしも良いとはいえないのですけども。発色性もOLEDの方が良いですからね)

ただし欠点もあって、レンズ外周円のあたりは歪みが大きく、また光も屈折が強い分暗くなります。25%~95%の光量幅があるといわれていますね。
なのでやはりパンケーキレンズが特別優れているかというと、品質によっては微妙な部分になります。Quest3やPico4もパンケーキレンズですが差があります。周辺歪みが若干Quest3の方が大きいかな?でもキレイ?かなといった感じですが。歪みはPico4ではあまり感じませんでした。

フレネルレンズとは、プロジェクターなどにも使われる薄型のレンズです。
レンズ枚数はだいたい1枚から2枚で構成されていて、同心円状の模様がレンズに見えるのが特徴です。
同心円状の模様はプリズムになっていて、光を全体に広げることができ、またレンズとしては、平たいプラスチックの下敷きのようなものもレンズに出来るという特性があります。その分は大型化してしまうので適度にレンズ形状に曲げることで小型化を行っています。

光を全体に広げられる構造から、OLED(有機EL)のような発光量の少ないものでも全体に光がまわることから暗くならないという利点があります。
欠点としては、やはり特徴的な模様が視覚的な解像度を阻害すること。プリズムの影響で角度によってフレアが出やすいこと。
またLCD(液晶)に使うには明るすぎること。(プロジェクターに使うような光量は必要ありませんからね)生産品質にとても幅があること。それらが多くに上げられると思います。

初代ViveCEにはじまりVive Focus3、Valve INDEX、Quest2、SONY PSVRなどに採用されています。見比べると品質差があるのでとても面白いです。
ViveCEの同心円の模様が、INDEXではさらに細かい模様になることで、模様が見えづらくなって視覚的に高画質に見えるようになっています。PSVRなどは、フレネルレンズであることがわかりづらい程度に模様が細かいですね。
(某スマホVR機のレンズが最上の細かい模様のフレネルレンズであったことと、スマホVRだったので投げ売りされていたため、そのレンズを取り出してViveに取り付けると高画質化するという技術的な裏技なんかもあります)

品質の高いフレネルレンズは光学的にも十分通用する性能をもっていましたが、LCD(液晶)の採用と、最上のフレネルレンズより並のパンケーキレンズの方が価格帯が安くなったことで、パンケーキレンズを採用されるケースが多くなりました。
パンケーキレンズだから高画質!高性能!ではないことだけ知っておいてもよいかと思います。フレネルレンズだから低画質とは限らないとも。
個人的にはパンケーキレンズという理由は、購入する理由にはちょっと弱いかなと思っています。

※お詫びと訂正。SONY PSVR2はフレネルレンズの為修正しました。
申し訳ありませんでした。画質は良いのは本当です。

USBの種類が多すぎる件

USBの種類多すぎますよね。どれがどう対応しているのか……。
USB Type-Cを採用しているものだけでも
USB 2.0(USB Type-A、Type-B、Type-C)
USB 3.x(USB Type-A、Type-B、Type-C)
Thunderbolt3/4(Type-Cのみ)
とまちまちなものがありますし。
USB Type-Cだからといって性能が良いとは限らない例ですね。

それぞれの通信速度だけでも
通信速度 480Mbps
・USB 2.0
通信速度 5Gbps
・USB 3.0
・USB 3.1 Gen1(USB 3.0と同等)
・USB 3.2 Gen1(USB 3.1 Gen1と同等)
通信速度 10Gbps
・USB 3.1 Gen2
・USB 3.2 Gen2(USB 3.1 Gen2と同等)
通信速度 40Gbps
・USB 3.2 Gen2x2
・Thunderbolt3/4
と性能も表記もまちまちですからね。
USB 3.2に繋いでるからOKだろ……と見たらGen1だったというケースが見受けられますし。USB 3.1でも同様な事例がありますね……。
Quest3やXRElite、Focus3などは10Gbpsが推奨されているので、Gen2以上に繋がないといけないということになります。
Gen1だとかGen2なんて書いてない!というUSBポートは全てGen1だと思ってください。そういう仕様です

USB PDにいたっては補助規格なので、Thunderbolt3/4以外は実装されているかはそれぞれの機器によって違うという具合ですね。
対応しているかは説明書を読むのだ。としか言いようがありません。

終わりに

ここまで読んでいただけた方には感謝申し上げます。
noteに書くのがはじめてだったこともあり、乱文雑文かと思いますがこれからも変わらず乱文雑文になることでしょう。
次回にはXREliteのセットアップからの覚え書きを書いていくと思います。
エラーや失敗なども起こるでしょうし、その対処なども記録していく予定です。何もなかったらただのセットアップになりますね。そうあってくれたらとても楽なのですが。
以上、改めて読んで頂きありがとうございました。

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