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片付けられない男、ひたすら片付ける日々

子供の頃から片付けが苦手だった。
いま1人で家に存在するあらゆるものを一斉に掃除しているが、如何せん進まない。
着実に物を減らし、整頓もしているのだが、一向に終りが見えてこない。
静かな部屋でやれどもやれども終わらず、片付けた先に一緒に喜ぶ人もいないので、ただただしんどい。苦役でしかない。
いつまでも若いつもりでいたけれど、気づけば随分と時間が過ぎていた。
それだけ時代も変わっているのだろう。
道を踏み外し、迷走していた20代。
取り戻そうとしてがむしゃらに働いたけど、壊れてしまった30代。
壊れてしまったけど、まだやれると一念発起してできることを地道に向き合ってきた40代前半。
積み上げることができず、それでも自分を奮い立たせ、前向きに生きてきたつもりだった。
でも、そばにいる人からすればどんどん魅力がなくなっていき、ずっと同じような悩みを吐き続けている、成長しない貧乏神のように映るのだろう。
このことが悔しくて、また情けなくてたまらない。
まじめに一生懸命生きて、一番信じている人に全否定されるという苦痛。
そして大切な人たちが離れて行ってしまった苦痛が、地震の後の津波の様に押し寄せて来た。
僕の心の港町は、もう壊滅状態だ。
こういう類の喪失がやって来るなんて思いもしなかった。
喪失感の中で瓦礫をかたすだけの日々。いつ復興するのかわからないけれどライフ・ゴーズ・オン、気を確かに進んていくしかない。
心はとっくに折れてしまっているけど、打ちひしがれたままでいることがより悪い事態しか生まないことだけは確かだ。
だこら無様にもがくしかない。もがくことに意味は無いかもしれないけれど。
瓦礫を片付けながら、待つのみだ。もう待ちに人は戻らないかもしれない、いつになるかもわからない。
それでも、ふたたびあたたかい明かりが灯る日がくるように信じて過ごすのみ。
つらい日々が続く。

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