見出し画像

本心に耳を傾ける

幼い頃から負けず嫌いで目立ちたがり屋だった。何事でも自分自身が他人より劣っていると思われるのが嫌だった。勉強でもスポーツでもゲームでも負けて下に見られるのが辛いと感じていた。今思うと自分に自信がないから、結果として優位に立つことで、気持ちを安定させていたのだと思う。

柔道を始めたのは小学校入学直前の年長の時だった。3歳の頃から水泳を習っており、月曜日、水曜日、土曜日は柔道、火曜日、金曜日は水泳と分けて通うことにした。水泳では思うような結果を出すことができずに周りからも置いていかれる日々だった。柔道では体が大きいこともあり、なんとなくで勝てていた。柔道を通い始めてから1年が経った頃、母親に「柔道だけに集中したいから水泳は辞めたい」と伝えた。母親は、そこまで言うならと柔道だけに絞らせてくれた。そこからは、金曜日と日曜日以外は週5日間柔道に通うようになった。週5日間通うようになった柔道だったが、好きで通っているわけでもなく、楽しいと思える瞬間はあまりなかった。ただ、負けるのは悔しいし辛い、負けたら自然と涙が出てきた。小学校6年間続けた柔道だったので、中学校もなんとなく柔道を続けることにした。なんとなくで勝てると思っていたから。しかし、中学校に入ると周りの選手のレベルも上がり柔道に対して真面目に取り組んでいなかったおれは勝てなくなってしまった。苦しい、辛い、悔しい、負けたくない。後輩にも負けるようになり、自分の気持ちを安定させることができなくなった時、母親に「中学校で柔道はやめて高校からはアメフトをやる」と伝えた。母親は「いいよ」と言ってくれた。安心した、救われた。でも、救われたと同時に何かが自分の中で引っ掛かった気がした。自分自身が口にしている言葉は本心なのだろうか?幼い頃、水泳をやめた時心の中で柔道に集中したいと本当に思えていたのだろうか?今は?本当にアメフトをしたいと思っているのだろうか?そう自分に聞いた時に、やっと気づいた。おれはただ苦しい状況から逃げていただけだった。気づいたと同時に怖くなった。おれは一生このまま苦しいと思ったら自分にも人にも言い訳をして逃げ続けるのかと。そう思った時、自分の中で何かが変わった。中学校に入ってまで続けてきた柔道をまずは中学校3年間が終わるまでは全力で取り組んでみようと思った。それでもしも結果が出なかっとしても、苦しい状況から逃げないで立ち向かえば、新しい視点が見えてくるような気がした。そこからは練習に対して全力で取り組むだけでなく、練習以外の時間でランニングトレーニングやウェイトトレーニングを行うようになった。

その後、中学校3年生の関東大会で2位になることができた。決勝戦で負けたのは悔しかったが、柔道が心の底から好きと言えるようになった。「高校でも柔道を続けたい」と本心を言葉にすることができた。

何事でも悔しいと思う気持ちは重要だが気持ちだけが先行して行動しないと得れることは少ない。苦しい、辛い、悔しい、負けたくないと思うことがあったら、逃げずに自分の本心に耳を傾けてみる。そうすることで、次に踏み出す一歩が見えてくると自分の今までの人生を通して学ぶことができた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?