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愛知県立芸術大学 講義棟/吉村順三 建築探訪 その14

伊勢神宮詣での3日目。この日は、家族は長久手市のジブリパークへ行くので、そこまで送迎。私は隣接する愛知県立芸術大学(以下略称、愛知県芸)へ吉村順三先生の作品を見に行く。これも30年来の念願成就であり、楽しみにしていた。

ジブリパークから10分も走ると、愛知県芸のキャンパスに着く。クルマを手前の小さな駐車場に停め。駐車場の反対側の丘には、吉村建築と一目で分かる2階建てがある。歩いて坂道のメインアプローチを上がって行く。


正面に管理棟、右手に有名な講義棟が段々と見えてくる。
何だか嬉しくなってくる。これから見れることにである。
キャンパスは平日の月曜日だが、閑散としている。もっと学生さんたちで混雑していると思っていたので、意外である。
事務で断るのも面倒なので、勝手に見ることにする。


講義棟。
余りに有名で、もっと大きいかと勝手に思っていたが、やはり吉村建築らしい素晴らしいスケール感を持つ。配置は南北軸細長い、3階建て。1階は、ピロティ、2階が廊下、トイレ、ホール階段、管理室、3階が講義室。ファサードは、縦のコンクリートのブラインド。天空光しか入らない。

1階ピロティ、2階廊下、3階講義室。
2階から見たピロティの柱。右手は廊下。

平面形式は、階段室型か?講義室は、2面開放で、採光・通風に優れている。ここが画期的である。開設当時は、空調も無かった。現在でも家庭用のエアコンしかついていない。暑い夏でも両サイドの窓を開ければ、通風が通り涼しかった。

空いている講義室内部を勝手に見たが、内装も天井はラワン合板の目透かし張り、壁は杉の羽目板横張りで、如何にも吉村建築らしい。
照明を点けなくても、十分明るい。流石に、プロジェクターは追加されていたが、既に50年丁寧に使われていた形跡があるが、素晴らしい。
ここで一般的な片廊下型教室を思い出して貰うと、この階段室型の素晴らしさがより深く理解できる。廊下が北側に有ると、採光は窓の有る南側が明るく、廊下のある北側は暗くなる。通風も、廊下側を開放できないので、あまり良くない。

明るい講義室


では、何故この階段室型が普及しなかったのか、理由は簡単、コストが掛かるから。この講義室も3階にしかない、1,2階は通路・トイレしか無い。
それでも、この講義室で、勉強できる学生さんは、気持ちがいい空間で講義に集中出来る。幸せなことである。

明日は、奏楽堂、芸術学専攻棟。




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