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足のない虹 生田亜々子 橙色ののうぜんかずらゆるやかな風にも揺れて眼の奥を射る 花…
戻れない旅 生田亜々子 わからないことがあふれる日々にいて真夏日という言葉明るし …
そっちのコンテンツから鬼が来る 生田亜々子 まばたきの後も消えずに…
在処 生田亜々子 削れるにまかせるものを沈みゆくガムシロップを眺め補…
Y字路の 生田亜々子 読んでいてつい眠くなり本を置く胸安らかに上下したまえ …
揺 生田亜々子 艶やかな 四月の夜が 二度までも 強く揺られて その揺れを 例…
餞 生田亜々子 ひとくちを残したコーラでつなぎとめもうしばらくを此岸で暮らす 目を閉じてまた開く時明るさが増して私にはまだ開くまぶたがある 秋雨は静かに降っていくつかの記憶の端も濡らしてしまう 声が似ていて これは旅を終えた人から渡された餞のひとつ 封筒の自分の名前の部首までもわからないよう殺す 生きるため 撮るだけで終わる風景ばっかりのカメラロールに私がいない すぐさみしい方向に行く魂の矯正 街の右岸に降り立つ 胎児、否 屈葬の形で眠れば圧迫
君たちと 生田亜々子 歌声は耳になじんで 心地よい響きの中を今日はもう行く 旅立ち…
空壜 生田亜々子 ジャムを煮て入れようと出す空壜の中に去年の空気があって …
かみもほとけもあなたの中から旅立ってどんなに小さくても火は火と呼んで …
8首連作。 Kaleidoscope 生田亜々子 知ったことかと脳底を這いずる魚の好きに…