Day 12
結局『花束のような恋をした』は劇場で3回観たことになる。
3回目は席運がよかったので、ゆっくり鑑賞できた。
1回目はラストで泣き、2回目は騒音妨害で泣くに泣けず話に集中できず、3回目は冒頭から揺さぶられた。
2人の楽しい思い出は、様々なカップルの歩んできた道を思い出させてくれるような、ありきたりな、一般的な男女の関係で。
私も「あぁ、似たようなことあったな」って。
大人になるって、責任って、生活って…を深く考える年齢のとき、私は結婚と出産を選んだから真剣に向き合うことはなかった。
出産という人生の巨大イベントとひとりで向き合っていたから、旦那が社会人1年目の大変な時期にいちいち旦那の行動や言動に一喜一憂する暇もなかったな、って。
お互いにお互いの人生の巨大イベントと向き合っていた。
だから、何も気にならなかった。
映画では、麦くんと絹ちゃんの変化がじわじわ伝わってきて、旦那もこんな感じだったのかな、とか。
私たち夫婦が同じタイミングで社会に出ていたら、こんな風な別れが待っていたのかな、とか。
選ばなかった方の人生を想像してしまった。
映画に出てくる場所が、私たち夫婦が過ごした街のすぐそばだったのも妙にリアルで。
旦那は地方出身で都内で一人暮らし、私は生まれも育ちも都内なので、麦くん絹ちゃんとそっくり。
あと数日で結婚10年目に突入するけど、真剣にお互いが向き合ってきたことってある?お互い好きなことを好きなようにやってきて、楽しいことは共有してきたけど、このままでいいの?って、夜中に話し合ってみた。
怒りと悲しみに隠れてしまっていた感情を、初めて話せた気がする。
それぞれが楽しく生きていくには。
ふたりが一緒に生活していくために、どうすれば楽しく過ごせるのか。
そもそも何で結婚を選んだのか。
何を覚悟して、何を諦めて、何に価値を見出していくのか。
ちゃんと、話し合ったら、落ち着くところに落ち着いた。