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新分野

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アジアやアフリカを中心とする、新興国および新分野での挑戦や価値創造を提供するコンサルティング及び投資会社AAIC https://www.aa-ic.com の新分野(新規事業、… もっと読む
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東南アジアの最新オンラインリテール事情

※Global Angle(GA)はAAICグループのマーケット調査会社です。本記事はGAの執筆記事です。 アジアの中では中国が最もEC化が進んでいることは周知の通りですが、東南アジア諸国もパンデミックを通して小売のオンライン化が急激に進んでいます。各国、アパレルや美容分野ではオンライン比率が10%を超え、主要なECで公式ブランドストアを設けています。 2024年1月、GAはアウンコンサルティング株式会社とデジタルマーケティングに関する業務提携致しました。これにより、アウ

アフリカでメガネが売れる!?50店舗以上を展開するアフリカのJINSモデルに出資

“アフリカでメガネ売れるの?”、”アフリカの人って、目がいいんじゃない?” と思われる方が多いかもしれません。昔、日本の眼科の先生に「ケニア(マサイの村)に行って、視力が回復して帰ってきた人がいるという噂があった」という怪しい話も聞かされたことがありました。また、アフリカの街中を歩いている人は、あまりメガネをかけていないように見えるかもしれません。 しかし実際の状況は異なります。特に都市部では先進国と同様、携帯電話やパソコンの普及に伴い、視力の低下が増えています。ただし、目

先行きが不透明な中でも大きな期待:IT立国ウクライナの魅力

【上記写真:Presentation of the Diia portal and mobile application】 (出典) Anton Filonenko, Ministry of Digital Transformation of Ukraine いつ戦争は終わるのか?そんな戦時下でもITセクターは成長2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻以降、ウクライナがニュースにならない日はないほど、世界が戦況を日々追いかけています。しかし、実はウクライナは知られ

アフリカにおけるスポーツのポテンシャルを解放するWazi Waziプロジェクト

※waziはスワヒリ語でopenの意味です。 アフリカスポーツのポテンシャルみなさんも、普段スポーツをしている・していないに関わらず、世界中のスポーツ界でアフリカ出身の選手の活躍していることを、一度は見聞きされたことがあるかと思います。 アフリカが持つスポーツのポテンシャルは半端ではないと思います。世界トップクラスの選手が、陸上中長距離やサッカーを始め、あらゆるスポーツで輩出されています。 ➀陸上中長距離 世界選手権やオリンピックの決勝はもはやアフリカ選手権状態です。

VUCA時代に必要な中長期戦略!「シナリオプラニングの勧め」

2022年は「米中対立の激化」、「ロシアのウクライナ侵攻」、「リセッション(景気後退)の可能性」など波乱の1年となりました。今年に入ってからは、シリコンバレーバンク(SVB)の破綻やクレディスイス(CS)の経営問題に代表される金融不安など、昨年時点では予期していなかった出来事をきっかけとした世界的な景気後退への懸念が広がっています。 VUCA(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)の時代と言

南アフリカECの急成長に見る、海外企業のチャンスは?!

南アフリカのECは大きな成長期 南アフリカ(以降、南ア)最大の銀行、First National Bank (FNB)のカード決済を手掛ける部署、 Marchant Serviceの調べでは南アのEコマース(以下、EC)市場は急激に拡大しており、2021年時点で約11.3 billion USD(現為替レートで日本円で1.6兆円程度)の市場規模だったのが、2025年には倍の22.6 billion USD(約3.2兆円規模)、年平均成長率が19%と予想されています。  同社

ASEAN市場はどう変わったか? 「コロナがもたらしたヘルスケア業界の今」

 再び日本、アジアで新型コロナが猛威を振るっています。私が住んでいるシンガポールは、人口約545万人(2021年9月)ですが、1日に1万人を超える新規感染者が出ています。一方で、外食制限やイベント規制などはなく、ASEAN諸国を始め、海外への移動もほぼ自由に出来るようになりました。Withコロナ時代に突入したASEANですが、ヘルスケア業界では新型コロナによりいくつもの観点で大きく時計の針を進めることになりました。  今回は新型コロナによってもたらされたヘルスケア業界の変化

シンガポールで食糧自給は進むのか?(下) 「近年の食料自給に向けた先進的な取り組み」

 前回はシンガポールの経済発展の歴史を振り返りつつ、どのようにシンガポールが課題に向き合い、発展してきたかを考察しました。今回はいまだ解決に至らない課題である食糧自給率を上げるための政府方針である「30by30」(2030年までに(特定の食料の)食料自給率を30%にする)について、具体的な政府取り組みと消費者意識の両視点でみていきたいと思います。 食料自給率の改善は可能なのか? 人、水、エネルギーについては、当初は諸外国の助けを借りつつも、近年は自立に向け外国への依存度を徐

シンガポールで食糧自給は進むのか?(上) 「経済発展の振り返り」

 シンガポールは、人口545万人(2021年6月)で、東京23区より少し大きい国土(724平方キロメートル、2018年)を保有する都市国家です。1人当たりGDPは7.2万ドルで、日本の3.9万ドルを大きく超え、経済的に発展しています(2021年IMF推計)。その理由について断片的にご存じの方も多いかと思いますが、今回は簡単にシンガポールの経済発展の歴史を振り返りつつ、近年の政府方針の1つである「30by30」(2030年までに食料自給率を高める取り組み)について、具体的な政府

初のフランス語圏アフリカから生まれたユニコーン企業、WAVEとは

今週からスタートアップ関連のカンファレンスに出席するために西アフリカのセネガル、ダカールに来ています。新型コロナもあり、このような対面のイベントがここ2年ほどありませんでしたが、久しぶりにアフリカのスタートアップ関連の起業家、投資家、関係者が集まる機会となりました。 先日、MagnittがQ1 2022 Africa Venture Reportを公開しましたが、22年第1四半期(22年1-3月期)のアフリカのスタートアップ投資額は1,200百万米ドルを記録しました。昨年対

スマートシティ先進国シンガポールの最新取り組み

去年11月、世界のスマートシティのランキングの一つであるIMD Smart City Indexにおいて、シンガポールが3年連続で1位の座を獲得しました。シンガポールは他にもEden Strategy InstituteのSmart City Government Rankingで1位、2thinknowのInnovation Cities Indexで5位と、都市別スマートシティおよびイノベーション関連のランキングにおいて必ず上位に現れます。 私自身、今年でシンガポール在

中国ビジネスにおいて、「従業員が提供するサービス品質」を高い水準で維持しつづけることは可能なのか?

 中国に住んでいる(いた)方や、中国とのビジネスを経験する中で何度か訪問した方なら、体感的にご理解いただけるかもしれませんが、このお題、中国でビジネスをする上で、終わることのない(≒日々ご苦労される、悩まされる、改善を続けていくしかない)重要なテーマです。私も2002年から、事ある度に考えてきました。  残念ながら、結論、答えには辿り着いておりません。そもそも、時代や経営環境、競争戦略上、常に正しい答えはないという前提かもしれません。そのような中で、少しでも答えに近づける、

プライマリケアを担う薬局をDX化することでアフリカのヘルスケアの未来が変わる

 昨年の11月の記事で取り上げたナイジェリアでオンラインの医療保険サービスを展開するReliance Health(リライアンス・ヘルス)が今月、アフリカのヘルステックで最大規模の40百万米ドルの資金調達をシリーズBで行いました。リード投資家は米国の老舗のVenture CapitalであるGeneral Atlanticで、同社にとって初めてアフリカのスタートアップへの投資案件ということでも話題となりました。  アフリカのスタートアップ投資は引き続きフィンテックの分野に多

2022年はメタバース元年? 「化粧品業界のメタバースへの取り組み」

 2021年10月、フェイスブック(Facebook)社が社名をメタ(Meta)に変更したことで、「メタバース(Metaverse)」という言葉が市民権を得ることになりました。数年前から、フェイスブックに限らずマイクロソフト(Microsoft)やソニーといった企業はAR(Augmented Reality、拡張現実)/VR(Virtual Reality、仮想現実)領域に投資をしていましたし、世界的な大人気ゲームであるエピックゲームズ(Epic Games)のフォートナイト