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答えは自分の奥底にある!? 『CROSS OVER』合宿編にみる未体感体験のススメ


少年マンガにテッパンの展開といえば、過去編と修行編。

特に、修行編は挫折(敗北)から這い上がり、困難を経て再び立ち上がる胸アツ展開が約束?されているとあって、始まると読んでいてテンションが上がる。

ところが、この修行編で、予想だにしない“スキル”獲得に乗り出した作品がある。

バスケ漫画『CROSS OVER』だ。

この漫画、後に『涼風』『君のいる街』を生み出し「カワイイ女の子を書かせたら天下一品」と評される瀬尾公治の作品だけあって、主人公もチームメイトも、とにかく色白で細身で清潔感があるイケメンばかり。

(言うまでもなくヒロインもその他メンバーもカワイイ子、色っぽい子、キレイな子が目白押しw)

物語としては、そんなメンバーが揃ったバスケ部(実は弱小高)が、高みを目指して強豪とぶつかり合う、少年誌らしいスポコン展開。

そして、「より強くなるためには、一度鍛え直さないといけない」となり、お約束の修行編へ。

普通なら、己の弱さを自覚したり、仲間との衝突を繰り返したり、厳しい特訓で己を鍛えたり、ということになるのだが、この作品で取り上げられたのは……

なんと、古武術!

江戸時代までの日本人の体の使い方を取り入れ、「最小限の動き」「効率的な使い方」それでいて「最大限のポテンシャル」を発揮する!

例えば――

・右手と左手を同じように振り上げ、腰のヒネリを減らすことでスタミナ減少を抑制する“ナンバ走り”
・肩全体を使うのではなく、肩甲骨を動かすことで、動作がコンパクトになる“手裏剣投げ”


などなど、現代生活ではなかなか遣わない部位を用いるとあって、作品内のキャラクターたちは悪戦苦闘するシーンが数多く描かれている。

しかし、繰り返しの動作の中で、彼らは自分を見つめ直し、体との対話を通して自分の本当の特性を知っていく。

そして、まだ見ぬ無限の可能性ではなく、自分の身に隠された可能性に目を向け、着実に顕在化させていく。

必殺技を会得するような、わかりやすい構図ではなく、やってることや身に着けたことは地味なものではあったが、それがかえって身近に感じたのを覚えている。

※ちなみにこの古武術は、桑田真澄氏や為末大氏が取り入れ、メディアでも取り上げられたことで、“取り入れられるスキル”として注目されている。

『CROSS OVER』は修行編を経て、新たな加入メンバーとの衝突や、決戦当日のトラブルなど数々の難関がバスケ部に降りかかるが、修行の成果を活かし、どのチームとも違う個性を発揮。
“古武術バスケ”と呼ばれる異色の存在となっていく。


「できたらいいな」

「あれば使う」

理想の姿を思い浮かべるのは大切なこと。

でも、それを掴み取るカギは、自分の体の使い方にあるかもしれない。

感情が行動を変えるのでない。

行動が、感情を変えるのだから。

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