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【2021年12月30日のこと】ミニシアターあまず、濱口竜介監督「偶然と想像」

  1. もうすぐで2021年が終わってしまうよ、年末バタバタ文学。

  2. 途中でやめるの山下陽光さんが年末に福岡から東京へUターン(引っ越し)されたらしい。わたしも去年、東京から茨城にUターンしたから、とても不思議な感じ。引越し先が、自分の住んでた東京のエリアにも近いから入れ違いの感じがした。

  3. 茨城に暮らして1年が経つのか、、、。

  4. わたしは、濱口竜介監督の大ファンで、レトロスペクティブしかり、濱口監督の映画はアマチュア時代の頃も含めてがっつり観ているくらい好き。

  5. しかし、楽しみにしていた濱口監督の新作「ドライブ・マイ・カー」は観られず嘆いていた。近くに映画館(シネコン)は2館しかなく、わたしの好きなミニシアターはない。東京時代は多いときは、週に3回はミニシアターへ映画を観に行っていたから、楽しみの喪失は大きい。

  6. ミニシアターで映画を観る感覚に飢えている。こうなったら、東京にまで映画を観に行かねばなるまいか、と思っていた矢先、なんと3年前に茨城県にも一館だけミニシアターが出来ていたことを偶然、知る。

  7. そして、そこで今、濱口監督の「偶然と想像」が上映されていて、調べたら、映画館はわたしでも運転して行ける場所にあり、久しぶりに鳥肌が立った。なんというミラクルだ!

  8. 年の瀬に色々あって、気持ちが沈んでいたけれど、テンションは一気に上がる。早速、ネットで予約したが、興奮しすぎて前の日はあまり眠れなかった。

  9. 茨城県の瓜連にあるミニシアターあまず座で無事に、濱口竜介監督の映画「偶然と想像」を観ることができた。幸せの余韻が今もずっと続いている。

  10. あまず座は座席が40席しかないとても小さな小屋だけど、映画愛に溢れた愛すべき映画館だった。こんなに交通の便が悪く、小さな映画館なのに、多くの映画監督や俳優さんたちが来館するというのもムネアツ。

  11. 入り口では、今は亡き大林宣彦監督のサイン色紙もあり、これまたきゅんとなる。なぜか、映画「転校生」のラストを思い出し(瓜連の街に8ミリをビデオフィルムにダビングします、という古い看板を見たせいかも)頭の中にシューマンのトロイメライが流れた。

  12. だから、その直後に観た濱口映画の中で、偶然にもトロイメライが流れきたシンクロにはびっくりした。なんか鳥肌が立った。それ以来、ずっとシューマンのピアノ曲「子どもの情景」シリーズばかり聴いている。

  13. 映画『偶然と想像』は、いままでの濱口監督のエッセンスがぎゅうと詰まった短編のオムニバス映画だった。なにより、濱口監督のオリジナル脚本がたまらなくいい。絶対に濱口監督は小説も書くべきだと思っている。それくらいに会話の絶妙に研ぎ澄まされた言葉の選び方が神!

  14. 濱口映画と言えば、乗り物が登場することが多いけれど、今回も車にバス、エスカレーターが登場した。カフェやリビングで向き合って話すのも、朗読も濱口映画定番なシークエンス。

  15. その中でのガチで向かい合う会話劇は、これは毎回そうだけれど、決して無傷ではすまされず、いつもやりとりを聞きながら、胸を痛くしたり、シニカルな笑い声をあげてしまったり、眉をしかめ、身を乗り出し、映画にかかわってしまう。自分も映画の中の登場人物のひとりのような、近しい距離感となる。

  16. 濱口映画は、終わりよければ全てよしな、ハッピーエンドではなく、残酷な感じの幕引きもあるけれど、それはそれで嫌な感じはせず、それでも前を見て生きていこうとするひとのタフが常にありパワーをもらう。

  17. 今回は、オムニバスの第3話が刺さりまくった。ぐっとくるシーンが何度もあって、思わず泣いてしまった。これは、主人公たちの会話に、わたしの人生も浮かび上がり、共振してしまった結果だ。主人公たちに感情移入して泣くのとはまた違う感覚で、自分も身に覚えのある感情に刺激を受けてしまうみたいだ。

  18. 思えば、映画の中に、わたしの個人的に思い出の深い大切な場所、工事中の東京渋谷の街、仙台の青葉通りが出てきたのも、わたしをセンチメンタルにさせた。

  19. と、全く、映画の内容には触れていないけれど、具体的な話を語ったら「魔法が溶けてしまいそう」で、だからやめておく。映画『偶然と想像』が観られ良かった。

  20. さて、さて、わたしはこのテキストの中で何回、「偶然」という言葉を使ったでしょうか(笑)

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