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室外機の中の宇宙人


夜が更ける、蝉も鳴かない夜遅い時間。
かすかに聞こえるのはコオロギの鈴のような鳴き声や風が通り過ぎる音。

おおむね静寂に包まれながら、私はベランダに出て洗濯物をせっせと干していました。

するとどこからか、小さな機械音のような、誰かがうわさ話をしているような、そしてとても早口で話しているような、そんな音が聞こえてきました。

甲高くて、耳をつんざくようにも聞こえるその声が、私には宇宙人がなにやら分からない宇宙語で話しかけているようにも聞こえました。

音はすぐ近くから聞こえている。

音の出所を探すと、おそらく足元の室外機の中から。


「ふふっ、こんなところに宇宙人がいるはずがないのに。」

室外機の中で生活をしている宇宙人の姿を想像すると思わず笑みが出てしまって、ベランダで独り言をつぶやく。


そういえば蜂は室外機や換気扇の中にも巣を作るらしいですね。
今日初めて聞きました。
蜂からすると理想のマイホームかもしれません。
雨風しのげるし、定期的に換気されるし、外敵に襲われる心配もない(人間以外は)

話に聞いた蜂のように、宇宙人たちもふらふら室外機の中に入っていくかもしれないな。

夜だからきっと油断をして大きな声で話していたんだろう。


もしそうなら私にバレバレだったけどね。





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