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保育園のふじいふみやくんとバイオハザード鬼ごっこの話

保育園の時「ふじいふみや」くんっていう子がおってみんなに避けられてた。

そん時流行ってた私考案のバイオハザード鬼ごっこも、ももこちゃんが「ふみやくんは何言ってるか分からんしルール守られへんしおもんないから」ってよすの許さんかって(私はももこちゃんがちょっと怖かった)確かになってそれに従ってた。

ある日の帰りの時間、続々とお母さんが迎えにきて、ももこちゃんもふうかちゃんもフライパン君(似てたからそう呼んでた)も帰って、私とおばちゃんの先生と新任のかわいい先生(人気者で取り合いになる)と私の初恋のきむらけんたくんとふみやくんと今まで全然遊んだことない子らだけになって、いつもももこちゃん仕切りやし、ウチらだけでバイオハザード鬼ごっこしよやってなって、ふみやくんも初めて一緒に遊んだ。

「バイオハザード鬼ごっこ」とは、鬼はゾンビで、3回タッチされたらゾンビになるというゲーム。(走りの遅い自分でも楽しめるものを、と私が考えた道ずれ系鬼ごっこ)

ルールは、1回目のゾンビからのタッチで肩を抑えるポーズ、2回目は肩を抑えながら脚を引きずるポーズ(caution)、3回目は2回目のポーズ+他の誰かが肩を貸しくれないと動けない(danger)or他の誰かのライフを1もらってcautionになって逃げる、鬼のゾンビは一応「あ"〜あ"〜」って言いながらキョンシーのポーズ(両腕をゆるく前に突き出す)で追いかける。

私はどん臭く、足が遅くてすぐdangerになるし、更にすぐ泣く(ももこちゃんにいつもキレられる)やつだったのだが、いつもけんたくんが肩を貸してサバイブしてくれたのでそれはそれで楽しかった。

夕方も少し過ぎて暗くなりつつある保育園でいつもと違うメンバーでするバイオハザード鬼ごっこはすごく楽しかった。
私は真っ先にdangerになったけど、ふみやくんが肩を貸してくれた。そしたらふみやくんもdangerになって、次はけんたくんが肩を貸してくれた。一瞬で保育園はゾンビ化して、ウチらは負けた。めっちゃくちゃ楽しかったのに、ふみやくんは余韻に浸ることなく何かぶつぶつ独り言を言いながら私らと距離をとった。こうなるとふみやくんには近寄り難くなる。

次の日からもふみやくんはバイオハザード鬼ごっこによされることは無かった。
私に肩を貸してくれるのはけんたくんだけになった(肩を貸すのはものすごいリスク)。あの時ふみやくんは迷わず真っ先に肩を貸してくれて、必死にゾンビから逃げてくれた。めっちゃええやつなんやな、と私はそれからふみやくんのことを好きになった。あと無理にふみやくんをバイオハザード鬼ごっこに誘おうとするのもやめた。

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秋乃ゆに
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