カフェのクローバーさん2

今日私はプロポーズをする
相手は二年前まで妻だった女性だ 私達は二年前に離婚した 原因は私の浮気…弁解するつもりはない 
あの時は二人ともすれ違い私は仕事のストレスを妻にぶつけ家に帰らなくなり挙げ句別の女性に手をだした
妻にはすぐばれ そしてすぐ離婚を切り出された
ーこれ以上貴方を嫌いになりたくないの 私達他人の方がうまくいくみたい
離婚して彼女は私の親友に戻ってくれた
普通離れていくものだろうに彼女は私を親友として支えてくれた
彼女は常に私を想ってくれているそれは今も変わらない 愚かな私にはやはり彼女しかいなかった 
今日ー新しい一歩を彼女と踏み出すためについ最近オープンしたこの店で彼女にプロポーズをする
「お待たせしました」
今まで見てきたどんな人より端正な顔立ちをした若い男の店員はグツグツと煮えたぎるそれを私の前にごとりとおいた
「鍋焼うどんです」…頼んでない 私は何もまだ頼んでない 「間違えてるよ彼のではないかね」私は窓辺の席にいるサラリーマンを指差した他に客はない
「お客様…こちらサービスでございます」
いやサービスって…どこの店に鍋焼うどんをサービスに出すカフェがあるんだ 
「いらな…」
私はいいかけて口を閉じる 食欲をそそる香りが鼻腔をくすぐる
私は箸を手に取り…あぁ駄目だ…駄目なのに…
食欲に抗えない… 
ズルズルと音をたて私は太い麺をすすった
旨い 驚きのあまり私は一瞬かたまるなんなんだこの旨さは 異常じゃないか 練り込まれたこしのある麺 素朴な味わいだが上品で奥が深い鰹だし…
老舗のうどん屋にも負けない味だ何だこの完成度
カフェの完成度じゃないぞ 私は夢中で熱々のうどんをすすり気づけば匙で汁も飲み干して食べ終えていた 食べてしまった…
体はすっかり暖まりむしろ熱いくらいで私は両手で顔を覆った 食べてしまった…
「フゥ!いい汗かいたぜ!」
トイレから侍姿の中年の男とバニースーツに身を包んだ若い男という謎の組み合わせが出てきた 若い男は私を見て
「おっとダンディーないい男じゃねぇかそそるぜ!」「ハハッ!やめなさいよびびってるじゃないですか可哀想に!」
帰りたい…何だこの店…「お待たせ」妻が来てしまった!あ、まだ妻じゃないけど
「話したいことって…」妻の頬を赤く染まっている
彼女も薄々感づいているのだろう…私のプロポーズに
その時私はハッとした あのバニースーツが!ニコニコしながら妻の方に歩いてくる!やめろなにをするつもりだ!
妻にそれ以上近づくなー! 「奥さんかい?可愛いねぇ」「え?いえ…」妻は赤面する 私は内心冷や汗をかいたが…大丈夫そ 
「サービスのイナゴの佃煮でございます」
ギャアアアアこっちが大丈夫じゃなかったー!
「ハハッ!クローバーさん今日はえらく上機嫌だね!昨日はサプリメントしか出さなかったのに!」
店員は妻の前にイナゴの佃煮をおいた終わった…何てことだ…
妻は目を見開き涙が浮かぶ泣くほど嫌かそりゃそ

「あなた…私がイナゴの佃煮好きって覚えててくれたのね…付き合って一回目の時しか言わなかったのに」

…え?そうだっけ…思い出した私はそれが嫌だと言って妻はじゃあ二度と食べないと約束した…
「私のすべてを受け入れてくれるのね」
妻は涙を流したえー…「私の方こそ…こんな私で良ければ…」何かよくわからないがうまくいきそうなのでポケットにしまっていた指輪のケースを出し彼女に渡す
「今度こそ君を幸せにするもう一度やり直させてくれ」妻は頷いた 
「ヒュー!よかったねご両人!」「お似合いだぜ!」侍とバニースーツが祝福してくれるという異常な状況にも関わらず私も泣いた
ああ…良かった…もう一度彼女とやりなおせる
「サービスの納豆キムチ丼でございます」
「君どういう神経しているのかね?」うっだがこの鼻腔をくすぐ完

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