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只の日本人、日本の山を歩く

風が吹く。

一人の男が日本の山を歩いていた。

日本の西。

海と山がある県。

みかん、うめが名産地の自然豊かな地方。

その古道を草薙悠弥は歩いていた。

(山水か……)

山水が流れている。

水は透明、空気は清澄。

自然の素朴な美しさがそこにはあった。

山水をいく。

豊かな自然が目に入った。

日本の風景。自然の風景。

コケむした道を歩く。

清廉な山の空気を全身に感じた。

(いい空気だ……)

山。

日本の山。

流れる山水を手ですくった。

山の水は喉をうるおした。

(いいな)

草薙は俳句をよんだ。

日本の山、なんでもない山だ。

だが――

――それもまた良し。

草薙は山道を歩く。

緑の山に爽やかな風が吹いた。

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