抽象度を意識すると、わかりやすい文章になる
クイズ
次のア~ウの中で、最も具体的な文はどれですか? 最も抽象度が高い文はどれですか?
抽象度順に文を並べる?
今回は抽象度のお話です。抽象度を意識しながら書くと、文章がわかりやすくなります。
まずは、クイズ内の言葉を抽象度の高い順に図にしてみました。図の上位層にある言葉ほど抽象度が高く、下位層にある言葉ほど抽象度が低く、具体的です。
わかりやすい文章は、この抽象度が上手にコントロールされています。クイズの文で試してみましょう。
いかがですか?
抽象度を無視した文章は、なんだかよくわからないですね(なんでこの順番なんだか!)
一方、抽象度順に並べた文章は、徐々に具体的になっています。”私”の好みがより詳しく説明されています。
抽象度を下げて、また上げて
別の例文を見てみましょう。(解説のために①~④の番号を振っています。文が長くなるので、途中は「~~」で省略しています。)
この例文の抽象度を図にすると、以下のようになります。
①「政策は効果がある」だけでは、どんな政策なのか、どんな効果なのかがわかりません。具体的でなく、抽象度は高いままです。
詳しく説明するために、政策例の1つ目として②「経済政策」とその効果を挙げています。抽象度が下がり、具体的になっています。③「福祉政策」とその効果は、政策例の2つ目なので「経済政策」と同じ抽象度です。
④はまとめの文です。①と同じことを述べているので、④の抽象度は①と同じです。
このように、抽象度に気を付けながら、抽象から具体へ、具体から抽象へと書くことにより、詳しく説得力のある文章にすることができます。
抽象度を意識するには?
まずは、言葉の抽象度に気をつけましょう。「政策」よりは「経済政策」「教育政策」のほうが具体的ですよね? 抽象度を上げた言葉、抽象度を下げた言葉(つまり具体的な言葉)はないかを考えてみましょう。
自分が書いた文章に抽象度の順番を付けてみましょう。たとえば、先ほどの例文は、以下のようになります。
抽象度1:新政権が実施した政策は効果があると言われている。
抽象度2:経済政策においては~~を行った。そのことにより~~。
抽象度2:福祉政策においては~~を導入した。その結果~~。
抽象度1:新政権による政策は着実に効果を上げている。
お勧めの書籍
佐渡島紗織・吉野亜矢子(2008)『これから研究を書くひとのためのガイドブック―ライティングの挑戦15週間』ひつじ書房
この書籍は、早稲田大学の大学院生を対象としたアカデミック・ライティング科目の教科書です。私も修士のときにこの授業を履修しました。
「抽象度123の文章を書きなさい」「抽象度1231231の文章を書きなさい」などの練習がとてもおもしろかったです。
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