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読点「、」を適切に打って情報を読み取りやすくしよう

クイズ

読点(、)を打つ目的は何でしょうか? 何のために読点を打つと思いますか?

ア.息継ぎのため
イ.意味のまとまりを示すため
ウ.読み間違いを防ぐため

たかが読点、されど読点

携帯メールが普及し始めた頃からでしょうか。読点がまったく打たれていない文章(特に大学生の文章)を目にするようになりました。携帯メールの短い文章ならば読点がなくてもよいかもしれません。しかし、読点が打たれていないレポートは、本当に読みにくいのです。
逆に、読点が適切に打たれている文章はとても読みやすい。たかが「、」ですが、とても大切な「、」なのです。

読点を打って意味のまとまりを示すことにより、情報を読み取りやすくする

例文をみてみましょう。

例A-1
オンライン会議システムを使うとよりディスカッションを効率的に進めることができる。

例A-2
オンライン会議システムを使うと、ディスカッションをより効率的に進めることができる。

冨永敦子(2021)『鹿児島大学理学部 日本語テクニカルライティング テキスト』

例A-1は読点がないので、どこからどこまでが意味のまとまりなのかがよくわかりません。
一方、例A-2は読点が打たれているため、前半「オンライン会議システムを使うと」までが条件、後半「ディスカッションをより効率的に進めることができる」がその効果であることがわかります。その結果、情報を読み取りやすくなっています。

読み手に勘違いさせないために読点を打つ

「読み間違い」というと、なんだか読み手がいけないような感じがありますね。しかし、本当は書き手が読点を適切に打っていないために、読み手に「勘違いさせている」のです。
以下の例文は、読み手に勘違いさせてしまう文章です。

例B-1
パトカーはフルスピードで逃げるバイクを追いかけた。

例B-2
パトカーは、フルスピードで逃げるバイクを追いかけた。

阿部圭一・冨永敦子(2016)『「伝わる日本語」練習帳』近代科学社

例B-1は読点がないので、「パトカーはフルスピードで逃げる」と一瞬読んでしまいます。最後まで読んでやっと「フルスピードで逃げるのはバイク」であることがわかります。
この文は短いし、パトカーの役割を知っているので、私たちは意味を理解できます。しかし、専門的な内容で、かつ文が長くなると、どうでしょうか?何度も読み直すかもしれませんし、意味を勘違いしてしまうかもしれません。

オススメの書籍

テクニカルコミュニケーター協会編(2016)『日本語スタイルガイド第3版』テクニカルコミュニケーター協会

読点の打ち方のルール「漢字やひらがなが続いていて、読みにくいときに打つ」「語句の係り受けをはっきりさせるために打つ」「文頭の副詞や接続詞のあとに打つ」などが例文とともに紹介されています。

見延庄士郎(2016)『新版 理系のためのレポート・論文』講談社

とても良い本です。「理系のため」となっていますが、文系学生にも役に立つ本です。具体例が豊富でわかりやすいです。この本の中でも「読点で構造を明確に」と説明されています。読点、大事!


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