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アイディアを見つけてもムキにならないこと <小説執筆◀実況中継>

私の悪い癖なのですが、「これは!」と思うアイディアを見つけたら、それを何が何でも実現してやろう、とムキになってしまいます。
ミステリ作家ですからアイディアは謎そのものか、謎を解くトリックであることが多いのですが、面白いエンターテインメントを書くには、何らかの謎と答えが必要だと思います(読者の立場でそう思います)。

私はそのアイディアを成立させたいと思うあまりに、ストーリーに無理をさせてしまったり、設定に負荷をかけすぎるのです。その結果、リアリティーがなくなり、登場人物を都合良く動かしてしまうことになりがちです。

成功したときのブレークスルー感は凄いものがありますが、暴走したときに負う傷も多いことを、三作書いて知りました(暴走すると改稿に大変な労力と時間がかかるのです)

そうは言っても、リアリティーを求めすぎるのは考え物です。「こんなこと、現実にあり得るか」とか「そんな変な人はいない」とか、そういうことを考えると、平凡なストーリーにしかなりません。
「そんなのあり?」と読者を思わせておいて、しっかりと着地するストーリーを作りたいと思います。
しっかりと着地させるためには、原稿を書く前の段階で深く考えることが必要です。それを前提にして、プロットの最初にアイディアを出すときは、否定をしてはいけないのです。
一人ブレインストーミング状態です。

「そんなのあり?」とリアリティーの共存

この二つが成立したときに、読者がお金を払うだけの価値があるエンターテインメントだと納得してくれるのだと思います。
なのでアイディアを考え始めた今は、慎重かつ丁寧に時間をかけようと思っています。面白いと思っても、すぐに飛びつかないこと、これは大事です。

しかし、魅力的なアイディアを思いついたら、簡単には手放さないこと。粘って粘って考え抜く。これも大切です。

矛盾してますね。でも優れた創作物は、矛盾を解決した先にある。そう思うしかないです。

現在位置のご説明

ミステリの4作目を執筆する作業を始めました。これから
プロット⇒執筆⇒推敲
という流れが始まります。まさに今、スタートラインに立ったところ。

アイディアを見つけかけています

初めから「これで書ける」という素晴らしいアイディアなど、そうそうあるわけはありません。(あったら、とっくに書いています)

それでもアイディアの種や、書きたいテーマ、書けそうなネタは漠然とあるのです。
これらは、誰しもが日々の生活の中で抱えているもの、得られるものだと思います。
ただ、小説に使う素材としてかえりみられたことがないだけです。

こうした言わば手つかずで出番を待っていた経験や記憶や思考やこだわりを正面から見つめ直しました。

「異質なものの組み合わせ」をアイディアでやってみる

『小説の書き方』で、異質なもの・関連性のないものを組み合わせることでアイディアを生み出す、という方法を紹介しました。たとえば『日常』と『非日常』を表す言葉を並べて、順番に線を引いて見る、というものです。
(下記の図を参照)

今回はそれを応用しました。ゼロから始めるのではなく、左側には、前述の漠然と使えそうなアイディア、右側にこれまでのアイディアメモから引っ張り出したアイディアを置いて、それを順番に組み合わせてみました(一度考えたアイディアは、ボツや保留にはしても捨てないようにしています)。
じっくりと想像(空想&妄想)したところ、ペアにすると面白い、と思えるものが発見できました。

小説のアイディアは柔道の判定に似ている。

阿刀田高さんの言葉です。

柔道は「一本、技あり、有効」で判定されるが、アイディアもそれ一つで小説を作れるというものだけではなく、二つ、三つと一緒にすることで、合わせ技一本になるものもある。

そういう趣旨だったと思います。

今の私の構想メモには、様々なアイディアの種が雑然と書かれています。それらを頭の中で叩いたり、ふくらませたり、転がしているうちに、少しずつアイディアが形になり始めてきました。

そこに何本かの線が引かれて、アイディア同士が結ばれています。面白い化学反応が生まれそうな気がします。アイディアツリーができかけています。
しかし、まだこれでは足りないと思っています。

もう一つ何かを発見できれば書き始められる

これが今朝の時点です。まだ今の状態では先に進むのは早い。もう一つ、強力なアイディアが欲しい(意外な筋、人物、動機など)。
それがあれば『シーン表』(小説のシーンを書くエクセルのシート)や『登場人物表』に進める。

プロット資料のエクセル

もう一つ何か、その探索に戻ります。そのご報告はあらためて。

今日の話は、この記事を読むとより分かりやすいと思います。お時間があればどうぞ。


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