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背中の赤いかに

川崎にも、昔から伝わる民話がある。「背中の赤いかに」というのがその中でも有名なものかもしれない。「日本昔ばなし」でも放送されたことがあるようだ。

11月にかわさき民話の会のイベントがあり、この物語を琵琶でやってほしい、という依頼を受けて現在、鋭意制作中である。

私は琵琶の曲にしても、舞台になった所を実際に見ないととイメージが沸かないほうなので、毎回新しい曲をやるときは、可能な限り舞台となった場所を訪ねる。

「背中の赤いかに」の舞台は川崎区にある医王寺というお寺である。川崎宿から少し海側に行ったところにある。川崎大師よりも宿場寄りで、今は周囲に大きな道路が走り、住宅街の中に佇む。足を踏み入れると、すぐに鐘や、池が目に入る。ただし、それらは比較的最近作られたように見えるけれども…。

鐘つき堂よりも、別のお堂のほうが背が高く、そこに上ると、周囲の様子がよく見えた。台風一過の青空のもと。かにたちの背中を焼いた炎がどのようにこの寺に押し寄せたのか、往時に想いを馳せた。

こういう作業が、実はかなり好きなのである。

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