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ルーキーなのに未完の大器?!巨人D5位・松井義弥

巨人三軍戦を3試合も観る事が出来たため、気になった選手について語らせてください。第1回はドラフト5位松井義弥内野手です。

高卒ルーキー、右投左打、体格の良さ、苗字から松井秀喜を連想させる選手で、一部の巨人ファンの間では既に合同自主トレから注目の的になっているようですね。ただ本 note では彼を松井秀喜ではなく、時代や左右は違えど、同じ高卒大型内野手として入団した大田泰示、岡本和真らと比較しながら考察しました。

結論としては、レギュラーの故障に備えてサードで鍛え、打撃が向上するにつれて外野や一塁も練習する、というのが今後のキャリアパスではないかと思われます。

打撃考察がやや長いですが、彼の魅力である打撃の現状を知ってもらう意味で、なるべく難しい言葉は除外して書いています。興味ある方は是非に、無い方も当該目次の冒頭結論と写真だけでも眺めて頂き、チャチャっと次の章に移って頂ければ嬉しいです!

基礎情報

折尾愛真高-巨人 (2019~)
右投左打
191cm/90kg
一年からベンチ入りとスタメンを経験し、三年の夏9球団のスカウトが集まる北福岡大会で結果を残し甲子園(100回大会)に出場

サンプル試合のサマリー

vs青森大
投手の球速帯 (120後半、130中盤、140前半等)
3打数2安打1四球


vs栃木ゴールデンブレーブス
投手の球速帯 (140中盤)
4打数0安打3三振

vsJFE東
投手の球速帯 (130後半)
4打数2安打1三振


※球速帯=ストレートの目安として、変化球はそこから7-10落ちるイメージ

打撃考察

私は以前、彼の打撃を「上半身の強さ」で打っており、上半身の反動を取り入れた打撃を目指すのではとツイートしました。本稿ではその意図を掘り下げますが、結論から言うと、現状は「高校時代のフォームから脚上げを辞めた状態+α」であり未完成だと考えます。

変更点
まずフォームを見比べてみましょう。

高校時代

2019年4月現在

3つの変更点に気づきました。
①脚上げの大きさ
写真が違うフェーズなのでは?と疑われるくらい、現在は脚を上げません (これが最高位)。
②右脚の捻り
高校時代は脚の上げ下げだけだったのが、それをしない代わりに小さめの捻りを取り入れたようです。
③左腕の角度
左肘を肩と並行にし、両腕ごと初めから振り始めの場所(高校時代の二枚目)に置いて待つイメージです。

そこで、これによる現在の良し悪しを考えてみました。

良い点
① バットにボールを当てる再現性
→脚を上げ下げしない事で目線がぶれにくくなりますから、これは間違いなく上がります。現に緩い変化球は、崩されても空振りでなくファールに出来ていました。

② 強い打球が出やすい
→これは単純に、元々彼が持っているスキルとして俗にいう「手首が返る」事があまり無いので、ライナー性の当たりが多く、ゴロになっても強いかイレギュラーになりやすいな、という印象です。

課題点
①難しいボールに手を出す
→原因は2つ考えられ、一つは以前より簡単に当てられるようになった事。もう一つは金属バットで当てただけでヒットになっていた感触を体が覚えている事。試合を観ても、周りの選手はしないような「カットなのか打ちに行ったか不明な弱いスイング」を繰り返す場面が何度かありました。

②バットの出方がスムーズでない
バットのヘッドが投手の方に傾いています。またそのヘッドが振り始めるまで傾いたままなので、ボールに当てるまでの距離が長く余計な時間がかかります。結果、スイングの再現性が低下しミスショットが増える。実際に見ていて、140中盤の直球は空振り、反対に捕らえるべき130前半の甘い変化球はミスショットしているのが目立ちました。

③上半身に反動が無い
僅かですが、高校時代は脚の上げ下げと並行して腕の上げ下げがなされ、それが上半身の反動に繋がってるように見えます。一方現在は、肩と肘のラインを保つ事に意識が行き過ぎ、せっかく下半身にコンパクトな捻りを入れたのに上半身にが固定された結果反動が起きず「下半身の捻りによる力が上半身に伝わっていない」状態になっています。最終的にボールを打つのはバット、バットを持つのは手、手は腕と共に上半身にありますから、力が上半身に伝わり切らないのは、強い打球を打つにおいて極めて勿体無いのです。

まとめ
現状は「高校時代のフォームから脚上げを辞めた状態+α」であり未完成だと考えます。ですが、それでも鋭い当たりの安打は出ていますし、青森大の投手から右中間にツーベースも打っています。ですから体格の通り純粋なパワーはあるのでしょうし、前述の通りバットコントロールはあるわけですから、如何に上半身の反動を取り入れるか、取り入れた後の再現性を高めるか、そういう段階と考えます。今後彼の打撃を見る上で、その点に着目するとより面白いかもしれません。

守備考察

1試合だけサードのノックと守備を観る機会を得ましたが無難そのものでした。体格の先入観で不器用な予測を立てていたのですが、千鳥足になることもなく、ゴロ処理も軽快にこなし、ライン際のファインプレーもありました。また、高校時代にショート→レフト→サードと経験してるだけあってスローイングも悪くありません。

画像が無いので当方の主観を述べると、ファームでサードを守った大田泰示、岡本和真の一年目と比べた場合、大田泰示より動けてるが、岡本和真ほど軽快ではない、という印象を持ちました。身長もあって、守備時の腰の高さは気になるものの、打撃がすぐに一軍レベルというわけではないため、レギュラーの故障に備えてサードで鍛え、打撃が向上するにつれて外野や一塁も練習する、というのが今後のキャリアパスではないかと思われます。

プレー以外の様子

三軍は人入りも少なく選手の動作がよく観察できます:) そこで気付いたのは、DH時は黙々とベンチ前で打席なさがらタイミングを取るのですが、守備時は投手や野手に声をかける積極性が見て取れました。明るいキャラクターというわけではなさそうですが、プロ入りすぐで畏縮する選手も多い中、試合という本番で声が出るのは意識の高さを感じました。

一概に比較できませんが、上記二人と違い、指名順位が高くないかつ三軍というストレスが少ない環境にいる事が好影響をもたらしているのかもしれません。

その他まとめ

三軍でさえ3試合中2試合はDH起用されたのを見ると、球団はまず打撃を磨いて欲しいと考えているようです。ただし、明らかに振るつもりがなかった球を空振るなど、あるいは「見逃し三振を禁止」されているかもしれないと感じました。現に、見逃し三振をした栃木GB戦の次は打順を六番に下げられ、ベンチ前で黙々とバットを振り、打席ではかなり積極的に振っていく姿が印象的でした (結果2安打)。

とはいえ、前述のような明確な弱点があるにもかかわらず、打撃練習で強い指導している様子もなかったため、かつての大田泰示等の失敗から、1年目はある程度自主性を尊重する方針なのかもしれません。その上で、試合や打席ごとに何等かのテーマを与え、具体的な正解は指導しないコーチングを取っている可能性はあると感じました。

私は観る事が出来ませんしたが、玉川大学戦ではホームランも出ていますし、体格含めスケールは感じる選手なので、ふとしたきっかけで一気に打撃が開花する可能性は秘めていると思います。ただ一概に上半身に反動をつけると言っても、アプローチは選手ごとに向き不向きがありますし、ましてや彼は高卒ルーキーですから引き出しも知り合いも少ないでしょう。しかし幸いにも巨人には、左の強打者のロールモデルとして阿部慎之助や丸佳浩がいますから、彼らに師事しつつ自主トレなどで多くの選手に触れあう事で打撃を磨けると素敵だなと思いました。

今後も彼の動向をチェックし、コアの選手と言われるよう成長する事を願いつつ、投稿を締めたいと思います。

#野球 #打撃 #バッティング #巨人 #NPB #プロ野球

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