いっぽ

一歩ずつ、歩んできた。砂漠のような、オアシスのような。それ以来、紙に埋まっている文字を…

いっぽ

一歩ずつ、歩んできた。砂漠のような、オアシスのような。それ以来、紙に埋まっている文字をインクで掘り起こし、ディスプレイの白い部分へ文字を浮かべて遊んだ。そこで培ったものを縦糸に、砂漠やオアシスの経験を横糸に、自分なりの絨毯を織ってみたい。

最近の記事

ペンケースのスゝメ

万年筆を使うときはペンケースに入れるのがおすすめです。 胸ポケットに挿すという手もあると思いますが、個人的にはちょっと怖いですね。 滑り落ちたり、いつの間にかキャップが外れてインクが服にしみることもあるかもしれません。 ペンケースに入れて持ち運べばそういう心配はなくなります。 ペンケースのいいところはまず、万年筆を保護できるということでしょう。 ケースで包むことであらゆる衝撃から保護できます。 衝撃は大敵ですね。 軸に傷がつくならまだしも、インクが飛び出たり、場合によっては

    • 3年半経った赤インクの万年筆

      以前紹介した赤インクの万年筆。 インクを入れてから3年半たちました。 ということで、どんな感じになったのかをご紹介したいと思います。 インクを入れてからずっと使っており、1度も洗浄していません。 万年筆は数週間から数ヶ月に1度、水で洗浄するのが推奨されますが、わたしは個人的に赤インクを入れたペン先の熟成が見たかったこともあり、わざと洗っていません。 最初期に1度ペンドクターの調整を受けており、かなりインクフローが良くなるように調整されたEFニブです。 全体で見ると上の写真よ

      • 万年筆とえんぴつ

        えんぴつ、使ってますか? この筆記具はバカにしちゃダメですよ。 万年筆が筆記具の王者だとすれば、えんぴつはすべての礎というところでしょうか。 今まで万年筆について書いてきたわけですが、わたしはえんぴつも好きですので、そちらにも筆を向けることにしましょう。 えんぴつのメリットを挙げます。 ・機械的に壊れるところがない(耐久性) ・インクが切れない(長さ=書ける残量) ・雨にぬれても書ける(耐水性) まずこの3つを挙げておきましょう。 ひとつずつ解説します。

        • 太字のスゝメ

          万年筆とはいえ、実用の道具。 そういう方が増えているようで、頼もしい限りです。 ところがどっこい、万年筆の魅力は、それが紡ぎ出す豊かなインクの表情ではないでしょうか。 とするならば、実用一点で細字ばかり使っているのはもったいないかもしれません。 インクの表情はインクフローが多く、かつ太字である方が現れやすいでしょう。 太字の万年筆でヌラヌラとはがきを書くのはとても楽しいですよ。 細字でびっしりと手帳に書き込むのもステキですね。 太字もいかがですか? 使いどころ

        ペンケースのスゝメ

          自分の1本を探す旅

          いやあ、まあそもそもそんなものあるのかという問いでもあるのですが、探してみたくなるものです。 あ、万年筆の話ですね。 ここでいう「自分の1本」とは、自分に合っていて、書きやすくて、それで書いただけで自分の文字だと分かってもらえるような万年筆のことをさします。 自分の1本を探す過程で、必然的に万年筆が増えたわたしは、どれも手放すことなく机に置いています。 とはいえ、均等に使うというのは不可能です。 質的にも不可能ですし、自分との相性や筆記の目的で使い分ける以上、使える

          自分の1本を探す旅

          自分色のインクを見つけたい

          万年筆のインクのいいところ、それは多彩な色があることではないでしょうか。 自分の好きな色が見つけられて、そのインクで書いただけで自分の文字だと分かってもらえたら楽しそうです。 わたしはいろんな色を試しました。 それでも、気に入った色というのはなかなか見つかりませんでした。 もちろん、ペンと同じ純製を使うのが一番よいですし、それが原則です。 ただ、わたしの場合は納得できる性能のインクにたどり着くのが難しかったのです。 インクの性能は色合いだけではなく、たとえば乾きや

          自分色のインクを見つけたい

          万年筆がつらくなってきた人への処方箋

          万年筆が大好きだ! いくらでも語ることができる。 あの書き心地がサイコーだ! わたしもかつてはそういう熱い万年筆ファンでした。今はと言いますと、もちろん万年筆は使っていますし、好きな筆記具です。しかし、筆記の中心はえんぴつとボールペンに移っています。 もし、万年筆に関わるのになんだか違和感がある、なんだかさわりたくない。売ってしまおうか、そう思っている方に読んでいただいて、ベストな方法を再考いただければ幸いです。 まず、万年筆が何らかの理由でいやになったら、水で洗い

          万年筆がつらくなってきた人への処方箋

          顔料インクの使い心地

          万年筆にとって、顔料インクとは、使いやすいのでしょうか、メリット、デメリットを使用者の視点から書きたいと思います。 顔料インクのメリットの1つとして、にじみづらいということが挙げられます。これは、先のノートで書いた「紙との相性」を一挙に解決する手段でもあります。 裏抜けしづらい、これも特徴です。薄い紙、水性染料インクでは裏までにじんでしまう場合でも、顔料インクは裏まで染みることは少ないようです。ただ、これも完璧とは言えないでしょう。紙によります。 それから、もっとも強調

          顔料インクの使い心地

          万年筆と紙

          紙は、実はとても重要な要素です。エンピツやボールペンのようには行かないことが多いです。 なぜ紙が大切かと言えば、紙と相性が悪い場合、インクが裏のページまでうつってしまったり(裏抜け)、インクがにじんでしまったりするからです。 それらをコントロールする楽しみという物もあるのですが、仕事や試験など、自分の使わなければならない紙が決まっている場合、対策を考えなければいけません(後述)。 それから、もちろん紙とペン先の相性もあります。 スーッとペン先が滑るような紙もあれば、少

          万年筆と紙

          万年筆とアルコール除菌

          COVID-19でエラいことになってますが、こういうときこそ万年筆でつらつらと書き物をするチャンスかもしれませんね。 COVID-19に対しては手洗いやアルコール除菌が有効です。ただし、万年筆をアルコール除菌するのはやめましょう。 万年筆の素材は基本的には樹脂であり、これらはアルコールに弱いです。吹きかけたりすると、色があせたり、変色したりするほか、軸が割れたりヒビが入ることもあります。 万年筆にアルコール除菌は禁物です。清潔に保ちたい気持ちはよくわかりますが、アルコー

          万年筆とアルコール除菌

          ブルーブラックは、”ブラック”なのか?

          これはわたし自身が答えを出せていないので、できることならどなたかの意見を聞いてみたいと思っていることなんです。 今からだいぶ昔、文学賞へ応募しようと思った頃がありました。万年筆を買って、意気揚々としていた頃でした。ところが、多くの文学賞では手書きで原稿を書く場合「ブラック」もしくは「黒」インクで書かれることが指定されています。ここで、万年筆沼への道を踏み出したわたしは迷いました。 ブルーブラックは、ブラックなんだろうか? この答えは今もわかりません。いくつかの考え方がで

          ブルーブラックは、”ブラック”なのか?

          インクってどれくらい乾きやすいの?

          おそらく、万年筆を使うにあたってこの「乾きやすさ」という点でボールペンとの違いに困惑する人が多いのではないかと思います。 そうでした。今回の乾きやすさという話は、ペン先のことだけにしておきましょう。つまり、ペンのキャップを開けて書いている状態、もしくはキャップをつけてしまっている状態でどうなるのか、について書いてみます。紙に書いたときのインクの乾きやすさはまたの機会に。 万年筆のインクは、基本的に乾きやすいです。油性ボールペンのようにキャップを外し(ノックしてペン先を出す

          インクってどれくらい乾きやすいの?

          赤インクの美しさ

          文章を直したり、なんやかやで赤を使うことがあります。万年筆と赤インクの美しさは格別です。 このペンは、去年(2019年)の4月に赤を入れてからそのまま継ぎ足して使い、もうじき1年になります。ペン先もペン芯も赤に染まり、とてもきれいです。自慢の1本ですね。 万年筆はひと月に一度とか、洗浄する習慣のある人もあるかもしれませんが、同じインクを使い続けて水掃除はしない、という手法もあるのです(もっとも、メーカーが推奨しているかは不明です)。 インクを使い続けるとこういった美しさ

          赤インクの美しさ

          万年筆と季節

          こういう記事はボールペンでは書きようがないのですが、万年筆なら書けますね。(もっとも、昔のボールペンは冬だとインクの出がシブいとかあったようですが)。 万年筆は季節によって若干の使い心地の差が出ることがあります。そのことを少しお話ししようかと。 冬、万年筆はちょっと機嫌を悪くします。インクが乾燥しやすくなるので、使っている我々から見ると気むずかしくなったかのようです。1日おいておくだけでも、乾燥して文字がかすれがちになることもあります。こういう現象は特にパチンとキャップを

          万年筆と季節

          万年筆インクは取り扱い要注意!

          万年筆用インクは、いくつかの面で取り扱いに注意しないと危険です。ペンにとっても、人間にとってもあるいは危険ですので注意してください。 さて、万年筆のインクとはなんだろう。色のついた水? そうじゃありません。あれはむしろ化学薬品と言った方がいいでしょう。考えてみてください。密閉した瓶の中に入れてあるとはいえ、2~3年の間常温で置いておいても腐らないのです。 わたしはメーカーの人ではないので何が入ってるのか詳しいことは分かりませんが、それくらいさまざまな物が入った液体だという

          万年筆インクは取り扱い要注意!

          万年筆って便利?

          では、万年筆って道具としてGood!なのかどうか、考えてみます。 わたしにとって万年筆は相棒ですが、必ずしも便利な道具とは言い切れません。まず、維持に手間がかかる。これは一番やっかいなところです。インクが切れたら入れてやらないといけない。ボールペンのようにリフィルを入れ替えればいいわけじゃないんです。インクの入れ替え時には手が汚れたりもしますし、こういうのが風情だと考えることもできるでしょうが、たくさん使うということになるとちょっと面倒です。手の汚れはあんまり、いい印象を与

          万年筆って便利?