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小澤竹俊『もしあと1年で人生が終わるとしたら?』

人生の意味を探すだけで、人は幸せになれる。

私的要約

もし、あと1年で人生が終わるとしたら、私は何をするだろうか。
この、『もし、あと1年で人生が終わるとしたら何がしたいか。』という問いに対して考えることは、人生に締め切りを設けることで、何がやりたいか、何が大切かを明確にする役割がある。
人生は誰もが満足して終えられるものではないかもしれないが、多くの人が『いい人生だった』『自分なりに頑張った』という思いを抱えて最期を迎える。ただ、中には『そういえば・・・もっとこうしておけばよかった』『そういえば・・・こんなふうに生きればよかった』という後悔の念を抱く人もいる。私たちは後悔も充実感も抱えながら日々を生きている。最期を迎えるときも同じことなのかもしれない。
この世に生きているすべての人に、必ず、何らかのミッションがあり、人はただ生きているだけでミッションを果たしている。ミッションは、他人と比較して価値のあり、なしを評価するものではない。誰の目にも明らかなわかりやすいものもあれば、わかりにくいものもある。しかし、いずれにせよ、誰のどんなミッションも、その人にしかできない『何か』なのである。誰の、どの人生にも必ず意味はある。あなただけの『生きる意味』を探すことで、明日からの日々を強く、幸せに生きられるようになる。つまり、人生の意味を探すだけで幸せになれるのだ。

教育×読書

この書で、著者は人生の最後に『より後悔がない人生だった』『より良い人生だった』と思えるために必要な条件として、
① 自分で自分を否定しないこと
② いくつになっても新しい一歩を踏み出すこと
③ 家族や大切な人に、心からの愛情を示すこと
④ 今日一日を大切に過ごすこと
の4つの結論に至ったと記してある。
家族に心からの愛情を示すのは、反抗期の子どもには難しいかもしれないのでそれはもう少し大きくなってからしてもらうとして、他の3つについては、常に心に留めておいてもらいたいと思う。
『一日一日を大切にしながら、ポジティブに、一歩踏み出す。』
言うは易し、行動し難し、というところか。
なかなかポジティブになれない子が多いのも現状である。また、『やりたいことが特にない』という子が一定数いるのも現状である。
この社会では、『やりたいことは何か』をよく尋ねられる。子どもの頃は、大人たちから将来の夢を訊かれ、就職する際には、その会社で何をしたいかを訊かれ、定年を迎えると、第二の人生で何をしたいかを訊かれる。
また、今の中学生や高校生は、キャリア教育ということで『将来の夢、目標から逆算した志望校選び』というのを私たちの頃よりも強いられている。もちろんそれ自体は良いことだし、否定するつもりはない。『やりたいこと』、つまり夢や目標があるというのはとても素晴らしいことだし、それらがあることで生きる指針ができ、励みになるが、『やりたいことがあるのが当たり前』という価値観は、ときに人を苦しめる。夢や目標が持てないとき、『自分には価値がない』と思ってしまいがちになってしまうからだ。
大事なのは、人それぞれに人生のペースがあり、夢や目標を持っていない子が、自分自身を夢や目標を持っている子と比べる必要はないということだ。人生に、『こう生きるのが正しい』といった正解はない。
ただ、それでも夢や目標を持っていない子の『やりたいことを見つける』ことの手伝いをするのも私の仕事だ。そういう時、これからは『もしあと1年で人生が終わるとしたら?』という視点から共に考えていきたい。それが、生徒が幸せな生き方をするベターな選択につながるだろう。

私的感想

ホスピス医として数々の患者さんの最期に関わってきた小澤竹俊さんの著書でした。
『もしあと1年で人生が終わるとしたら?』
お恥ずかしながら、真剣に考えたことはありませんでした。しかし、死というのはいつも隣り合わせであって、こうやって42年間も生きて来られたのはそれだけで運が良かったんだなと改めて実感します。
もし、あと1年で自分の人生が終わるとしたらどうするだろうか、と考えたとき、私は家族の顔と共に、これまで関わってきた生徒たち、そして今関わっている生徒たち、志を共にして働いている先生方の顔が真っ先に浮かんできました。現場にはいられないかもしれませんが、これまで私は『死ぬまで教育の場に何らかの形で関わり続けたい』と思ってやってきました。やはりその気持ちは変わらないようです。
これが私の『生きる意味』なのだと改めて実感した1冊でした。


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