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海野敬『「やること」を先取りできる! 習慣手帳術』

私的要約

究極の手帳術とは?・・・それは手帳を持たなくても済むこと!!

手帳は『時間軸』を持つという、他の文房具とは大きく異なる点がある。それ故、手帳は『時間』を管理する道具、というのが一般的な考え方であるが、この書では、『行動』を管理するものであると定義する。
①『シンプルに』②『現実的に』③『完全に』の3原則を意識し、『やりたいこと』ではなく、『やること』を記入していき、持続的かつ効果的に使っていくことで『行動』を『習慣化』する。
この3原則の意味とは、
① 『シンプルに』・・・習慣は継続することが基本である。手帳を長く使うためには、できるだけ手帳を書くことに対する負担をなくすことであり、敢えてやらないといけない事以外は極力省き、必要最低限のルールで扱っていくのが最善策である。
② 『現実的に』・・・『キラキラ』や『ワクワク』の類の手帳ではなく、あくまでも『行動管理』のための『行動ベース』の現実的な手帳にする。
③ 『完全に』・・・必要最小限のルールで現実的な行動をベースにし、『行動すること』は必ず書き、『行動しないこと』は絶対に書かないを基本とする。これは、『失敗したとしても書いたことは必ず実行する』という意味で、『完璧に』『成功する』という意図ではない。
である。
手帳に記入された行動とは、私たち自身が取捨選択し、『行動する』と決めたことである。
そのため、書かれてあることはテンション・モチベーションに関係なくすれば行動すれば良いし、優先順位をつけないし行動のバランスもとらない。(手帳に書かれてあることは全て必要なことだから。)
このように、やるべきことがきちんとできていれば、本来手帳というものは必要ない。手帳に行動を記入するのは私たち自身であり、手帳から指示が出たり、コントロールしてくれたりするわけではないのだから。ただ、その『やるべきことをきちんとする』ことが中々うまくいかないから、『手帳を使う』という方法をとっているのであって、本来の意味では、手帳を使わずとも行動を習慣化できることが、究極の手帳術である。

教育×読書

この書の中には様々な実践的手法が書かれてあるが、私が教育転用する際に注目したいポイントは、大きく2つある。それは、①行動管理のマトリクス、②逆算で計画、積上で実行の2点だ。

①行動管理のマトリクス
よく、アイゼンハワーのマトリクス
第一領域:重要であり、緊急である。
第二領域:重要であるが、緊急でない。
第三領域:重要でないが、緊急である。
第四領域:重要でないし、緊急でもない。
が使われるが、学生にこの分類をさせるにはイメージが沸きにくいように思われる。

この書で定義されてある、
第一領域:(必須)やること
第二領域:(準備)やっておくべきこと
第三領域:(急用)やらなければならないこと
第四領域:(自由)やりたいこと
という表現は、シンプルにわかりやすいと思う。

要は、
第一領域:受験に向けての急所(本人の克服分野など)
第二領域:読書など、目前のものの力にはなりづらいが本来必要なもの
第三領域:的を得ていない宿題など
第四領域:趣味範囲の勉強
だと私はとらえている。第二領域については、受験生になってからではなく、低学年のうちから身につけておきたいものである。また、第三領域については、的を得ていない宿題としたが、私たち塾講師が考え方を間違えると、宿題の出し方や授業一つで第一領域から第四領域のどこに振り分けられるかが変わってしまうので、受験指導をしている身としては、その生徒の第一領域に入ることを常に提示できているかを肝に銘じておきたい。

②逆算で計画、積上で実行
近年では、逆算計画の大切さを訴えるものが増えてきているので、これができる生徒は以前より増えてきていると感じる。
しかし、その逆算が悲しいかな、ギリギリになってしまっている子が多いのも事実である。
この書では、シンプルに積上の大切さを説いてくれている。進捗の評価は基本的に『先行しているか』だとも書いてある。本当にその通りだと思う。
私のやり方は、原則、『本番までに最低3周』を掲げている。
これは、最低3周は同じ問題を繰り返さないと頭に入らないよ、インプットしただけでは意味がないからアウトプットも練習しないといけないよ、という意味で伝えている。
もちろん、『本番までに最低3周』という言葉だけでは通じないのもわかっているので、ちゃんとここまで説明している。
が、3周という数字だけが頭に入るのか、逆算計画を立てたとき、ギリギリ3周で計画を立てる子が多い。
3周でできるようにならなかったら?・・・この視点に乏しいのが悲しい。
ただ単にバッファ(時間的余裕)を作れという意味ではなく、積み上げていくことを意識して、常に予定より先行し、1つでも多くのことをやっていくという気持ちを持ってもらいたいと願っている。
それを表現するのに、逆算で計画、積上で実行という言葉は伝わりやすい言葉だと思う。

以上の2点は、これからすぐにでも使っていきたい。

私的感想

世の中にたくさんある『手帳術の本』とは一味違うテイストの本でした。
いわゆる『地に足ついてる感』のある実践的手法の数々が、現実的なイマドキの子どもたちの指導に転用しやすい印象です。
私はこう言うとエッセンシャルな思考ではないのかもしれませんが、どちらのテイストの手帳術も好きです。だからこそ、お互いの良いところを吸収し活かし、自分なりの必要最低限のルールを作ることが大事だと思いました。
海野師匠、たくさんのことを勉強させていただいてありがとうございました。
大事なのはインプットすること以上にアウトプットすることなので、これからしっかり手帳を使って行動していきたいと思います。



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