大坪五郎『ある少年の中学受験』
この本に書いてあることは事実である。
私的要約
本書は、新小学6年生の男の子が中学受験に向けて1年間成長していく過程を、父親目線のブログ記事という形で追っている。本書の前書きには、『この本に書いてあることは事実である。ただ様々な事情により意図的に記載を省いた箇所はある。』と書かれてある。ブログ記事の時系列順の羅列のような形態をとっているが、ノンフィクションのブログなのだろうか。ゴリゴリに進学塾で受験勉強するという選択をせず中学受験に立ち向かう息子を見守る父親の心の動きは、参考になる。
教育×読書
本書の中に、
『夏休みが天王山とか言うけどね、それは勿論間違えている訳じゃないけどさ、もっと大切な事があるんだよ。それは「子供がいつ気づくか?」なんだよ。つまり、子供が、このままじゃ受からない!やらないと!と、いつ認識するかが1番大切なんだよ。(引用元:桜日記明日春になぁれ!中学受験桜からのメッセージ)』
という部分があった。
この言葉は、まさにそうだと思う。私は塾講師として、生徒たちに気づきをたくさん与えたいと思っている。それは、受験に対する心構えもそうだ。高校生の『受験生マインド』が育つのはいつか。きちんと受験生になり切れぬまま受験を終える生徒も多いのだというのは感じる。かく言う私も、恥ずかしながらその一人だった。その経験もあり、私は自分の生徒たちには高校2年生の夏から『受験生マインド』に徐々になっていってもらう。個人個人に気づきを与えたり、受験を意識させる行動を私自身がとったりする。そして、秋の保護者懇談では、保護者にも受験生の保護者になってもらう。人間の行動は環境に左右されやすい。受験生になるには、一人でなるよりも周りの環境をまるごと変えてしまうに限るのだ。だから、塾内、家庭内の環境を受験モードに切り替えていくことで『受験生マインド』を育てていくのだ。そうやって、徐々に行動していくと、早くて年明け前後、遅くても学年が変わる時には受験生としてきちんとスタートを切れる体制を整えることができる。昨今の共通テスト改革により、最低もう半年前倒ししないと正直厳しいというのは感じている。これは今後の課題である。私たちだけが躍起になっても仕方がない。受験をするのは当の受験生本人だ。いかに、受験を自分事として早い段階からとらえさせることができるかが、私たち塾講師の腕になってくるのだろう。
私的感想
私は塾講師として長年、受験に携わってきています。こと、中学受験に関しては、半分は保護者のがんばりだな、と脱帽する日々です。私の住んでいるところは地方都市なので、都会の方ではもっとすごいことになっているのでしょう。
これまで、中学受験に対する母親目線の本を読んだり、保護者懇談で直接意見を聞いたりする機会は多かったのですが、この本のように、父親目線の本というのは今までほとんど読んだことなかったので、新たな気づきもありました。
私も父親としてはまだ7歳です。
中学受験に関しては、我が子がしたいと言えばすればいいと思うし、したくないなら普通に公立中学校に上がってくれたらいいかなと思います。
塾講師だったら我が子は是が非でも中学受験とかさせたりするものなんですかね?
数年後には、考えが変わっているのかもしれません。笑
ただ、仮にそうなったとしても、私自身がきちんと受験生の親となり環境はきちんと整えてやりたいなと思います。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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