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児玉光雄『サッカー日本代表を鍛えた監督力』

なぜ、サッカー日本代表監督の言葉は『響く』のか。

私的要約

この書に紹介されている8名の指揮官(ハリルホジッチ氏、オシム氏、ザッケローニ氏、岡田武史氏、ジーコ氏、トルシエ氏、加茂周氏、アギーレ氏)の言葉の中には、これからの時代にあるべきリーダーシップの極意が凝縮されている。それだけでなく、これらの珠玉の言葉には、リーダーシップを超えた『人間力』が満ち溢れている。

教育×読書

8名の指揮官の言葉から、私がそのまま教育哲学にしたい言葉をそれぞれ1つずつ取り上げてみる。
① 『私はハードワークすることを好み、任務の遂行に関して非常に厳格であるということだ。それは選手と自分自身に対してである。また、偶然に頼ることを好まない。』
-ヴァヒド・ハリルホジッチ-
自分のいつもの快適を超える範囲でトレーニングをしないと、タフにはなれない。あるいは、快適な領域でトレーニングをしても、せいぜい現状維持止まりなのだ。
② 『ライオンに追われたウサギが逃げ出すときに、肉離れをしますか?要は準備が足らないのです。』
-イビチャ・オシム-
本番で力を出せない人は、現場での対応の拙さや、肝心な場面で弱い自分を反省するが、実際には本番に挑む前、綿密な準備を怠ったことに失敗の原因があることが多い。
③ 成功は必ずしも約束されていないが、成長は約束されている。』
-アルベルト・ザッケローニ-
多くの人々が成功の定義を見誤っている。多くの人々は成功とは自分の夢を実現することと定義している。しかし、真の成功とは、自分の夢に向かって近づこうとする行為そのもののことを指すのだ。
④ 『チームディレクターやコーチに、「おまえ、選手は育てるんじゃねえぞ、育つ手助けをするんだ」ということがあります。大げさに言うと、「育つ邪魔はするなよ」と。』
-岡田武史-
選手の潜在能力を的確に把握してそれを表に出す手助けをしてやるのが、リーダーの大切な役割なのである。
⑤ 『教えられることでも、教えられないことでも、現状に満足せず、それらをいかに少しずつでも高めていくか、ということは指導者として常に言っていかなくてはいけない。本人に自覚させなくてはいけないことだと思います。』
-ジーコ-
徹底して黒子に徹して、メンバーに彼らの仕事の裁量権を目一杯与えて、自分は精一杯フォローする。これこそ、これからの時代で成功するリーダーなのである。
⑥ 『常に緊張感の中に身を置きながら、チャレンジし続けること。それが私の使命だと思っている。ぬるま湯にひたるのは本意ではない。』
-フィリップ・トルシエ-
チームが順風満帆の時に、リーダーの出番はない。ピンチの時にこそ、リーダーの力量が試される。ピンチに見舞われたとき、リーダーは繰り返し叱咤激励し続けなければならない。またそれだけでなく、ピンチの中で経験した事実の中に潜む、ふだんはなかなか見出すことが難しい、隠れた飛躍のヒントをつかみ取ることも忘れてはならない。
⑦ 『素晴らしい監督はたくさんいたけれど、絶対に自分が一番だと信じていたから。そう思うようにしないと監督はやれないからね。絶対に自分がサッカーのこと、チームのこと、選手のことを一番に考えていると自分に言い聞かせていた。』
-加茂周-
自分が全力でやっていれば、その熱意は黙っていてもメンバーに伝わる。そのときリーダーの本気度が試される。リーダーなら、堂々と自信をもって自らの方針を掲げよう。そしてそれが正しくないと自分で判断したら、潔くその方針を変える。リーダーの仕事とは、その連続なのである。
⑧ 『あの日、私は監督という職業の難しさを知った。トレーニングでやったことが試合でできないことはあるが、やっていないことは絶対にできないのだ。』
-ハビエル・アギーレ-
リーダーなら、地道な実践で確認した作業以外のことを試してはいけないし、メンバーが体験していない業務を突然任せてはいけない。
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アギーレ氏の言葉などは、私は毎年生徒を入試に送り出すときに必ず『試験中にいつもと違うことはできないから絶対にするな』と伝えて送り出すので、よくわかる。そしてその他の方々の言葉も、自分の中にはとてもすっと入ってくるものだ。我々塾講師は、誰よりも生徒のことを真剣に見続ける熱意を忘れてはならないのだ、と改めて感じる。生徒の前に立つ者として、リーダー哲学をしっかりと持っておきたいものだ。

私的感想

岡田監督の、『育つ邪魔はするなよ』は金言だと思います。
手をかけなければ育つ手伝いにはならないけど、手をかけすぎると自ら育っていく邪魔になるというのをハッと気づかされます。この素晴らしい本との出会いに感謝したいと思います。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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