【MIL】Stearns退任、Burnes&Woodruff WBC不参加など
ブルワーズ担当のあなんです。
今回はStearnsの退任をメインに、フロント内に関するニュースをお話しします。
〇 David Stearns退任
10/27(木)、ブルワーズは、David Stearnsが野球部門最高責任者(President of baseball operations)(以下、PBO)を退任し、今後はMatt Arnoldがトップに就くと発表しました。
◇ Stearnsを振り返る
Stearnsは2015年オフ、それまで13年間にわたってブルワーズのGMを務めたDoug Melvinに代わって就任。当時MLBのGM史上最年少30歳での就任でした。StearnsはそれまでアストロズのアシスタントGMとして働き、ルーノウの下で主に分析・選手育成・スカウティングなどを担っていました。
ブルワーズは、2011年の地区優勝以降振るわず、2015年はシーズン途中に監督が交代するなどでわずか68勝、首位とゲーム差32.0の地区4位に沈んでいました。この低迷したチーム状況でStearnsは常にコンテンドできるチーム作りを掲げます。就任会見では「優秀な若手選手を獲得、育成、維持する。このパイプラインを持続的に生み出すプロセスとシステムを作ることが目標だ」と述べました。
再建は着々と進み、15年の68勝から、16年は73勝(.451)、17年は86勝(.531)を挙げます。そして3シーズン目の2018年。オフにYelichとCainを獲得し、ブルワーズは球団史上最多タイの95勝で7年ぶりの地区優勝を果たしました。以降、21年まで4年連続でプレーオフに進出。Stearnsの言葉通り、常にコンテンドし続ける球団へと変わっていったのでした。
Stearnsはその後2019年春に契約更新し、新たにPBOに就任。20年オフにGM職をArnold(当時アシスタントGM)に譲り、以降PBOの職に専念していました。
◇ Stearnsの今後
Stearnsとの契約は来季まで。球団社長のAttanasioは複数回話し合いの場を設け、23年以降の契約延長オファーも出していましたが、Stearnsは保留としていたそう。
そのなかでの退任発表。Stearnsは会見で、今後はアドバイザーとしてArnoldに助言する役割になると述べたうえで、"I'm not going anywhere(どこにもいかない)"とコメントしています。一方で、他球団のオファーや面接の依頼を断るかどうかについては、はっきりとは明言されていません。ただし2人の間では合意済みと言われています。
退任発表には大変驚きましたが、ひとまずStearnsの引き抜きはなさそうで安心です。スモールマーケットという資金面で大幅に制限されたチームを、Stearnsは巧みなトレードで常勝球団へと仕立てました。感謝しかありません。おつかれさまでした。Haderのトレードは許さんぞ(まだ言うかね)。
◇ Matt Arnoldの紹介
新たにブルワーズのトップになるMatt Arnold(マット = アーノルド)の経歴をさらっとご紹介します。
Arnoldはカリフォルニア大学のサンタバーバラ校を卒業後、2000年LADのフロントにパート職員として入ります。当時は毎日、サンターバラとドジャースタジアム間およそ160kmを祖父のトラックで通勤し、主に選手の送迎を行っていました。
2002年にTEXのフロントへ。その年のオフはGMのJon Danielsとウインターミーティングに参加、ロビーで野球関係者との関係構築に尽力します。当時はホテルの部屋を借りるお金がなく、毎晩Danielsが泊まる部屋の床で寝ていたと語っています。
2003年、正規職員としてCINのプロスカウト部長補佐に就任。5年在籍したのち、2009年レイズのスカウト部長に就任します。ここでフリードマン(現LAD PBO)やシルバーマン(現TB President)らの下で、契約交渉や選手獲得などあらゆるレベルの業務に携わりました。
そして2015年オフ、Stearnsと共にブルワーズのフロント入り。アシスタントGMに就任し、Stearnsの右腕として球団運営に携わり今日に至ります。
※前回の記事でArnoldはStearnsの後継としてPBOに就任したと書きましたが、厳密にはPBOに就かずGMのままでした。
〇 両エース WBC不参加
※既に米国代表のロースターは決定しているため後日談です。
12/6に行われた米国代表監督とTony Reagins米国代表GMによるミーティングで、GMは「BurnesとWoodruffの出場を望んでいたが、2人はパスした(they passed on the event)」と明かしました。正式なアナウンスではないですが、事実上の参加辞退表明です。2人は開幕戦に照準を合わせて調整する方向で、Kershawのように途中から合流というのもないそうです。
ファンとしてはBurnesとWoodruffが投げる姿は見たかっただけに少し残念な気持ちです。ただ、ブルワーズからはDevin Williamsが参加します。日本代表相手に魔球エアベンダーを投げ、プロ野球ファンの驚く姿を観たいです。
ちなみに、かつてブルワーズのクローザーだったJohn Axfordもカナダ代表としてWBC参加の意欲を示しています。
〇 女性COO誕生
12/2、球団はMarti Wronski (マーティー = アロンスキー)のChief Operating Officer (COO)昇進を発表しました。COOに女性が就くのはMLBで初、またフランチャイズ史上、女性として最も高い役職に就任しました。
Wronskiはブルワーズのお膝元ウィスコンシン州生まれ。セントノーバード大学を最上位(summa cum loude)で卒業。法律事務所や大学のロースクールとMBAプログラムの非常勤講師を務めたのち、2004年に顧問弁護士としてブルワーズのフロントに入ります。2017年冬に管理部門の代表補佐に就任。法律、情報技術、人材、ビジネスアナリティクス部門に携わっていました。
ちなみに、女性が取締役に就いている球団はマリナーズとマーリンズ。マーリンズは、20年オフに当時のCEOジーターがKim Ng (キム = アング)をGMに抜擢したというのはよく知られていますが、今年11月にCaroline O'Connor(キャロライン = オコーナー)がビジネス部門最高責任者に就いています。
マリナーズでは昨年夏にCatie Griggs (キャティ = グレイグス)がPBOに就任しています。
これ余談なんですけど・・・
ブルワーズには非公式ながらマスコット犬がいます。その名もHank。由来はHank Aaronです。
Hankは2014年のスプリングトレーニング、アリゾナのキャンプ施設で保護されます。ブルワーズはHankの飼い主を探すためSNSでプロモーションを打つも最後まで現れず。しかしその愛らしい姿がファンの間で大人気になり、多くのメディアでとりあげられます。この年はHankのグッズが飛ぶように売れ、売上の20%を寄付するハンク基金にはシーズン終了時点で15万ドルも集まったそうです。
当時Hankは球団幹部に引き取られたと報じられましたが、その飼い主がWronski。現在もご存命だそうです。
以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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