見出し画像

地域創生DXーーポストコロナのその先へ

現在徳島で開催中のイベント(マチ★アソビ)の中での発表となりましたが、この連載を中心に再構成した本が11月26日に出版されることになりました。現在予約受付中です。

日本経済新聞社の井木康文さん(当時)から声を掛けて頂き、2019年2月からKOL(キーオピニオンリーダー)として日経COMEMOに寄稿を続けてきました。当初は地域と私が専門とするコンテンツ領域の話題が中心になるはずだったのですが、そこに想定外のコロナ禍が起こり、地域におけるDXの課題とその解決のヒントを探っていくことになりました。

コロナ禍はこれまで震災などの災害と異なり、全国がその影響を被りました。結果としてDXの遅れなど社会が抱えてきながらも、何とか「やり過ごしてきた」課題に向き合わざるを得ない状況を生み出しました。そうなって明らかになったのは、その歪みが都市部ではなく地域においてより顕著であるということです。

「地方は前線である」と実感します。賑やかな都会(中央)にいると気付きにくい課題が確実に地域の体力を奪い、未来の可能性を閉ざしつつあるという現実に否応なく向き合わざるを得ません。そして中央からの支援もかつてほど期待出来ず、現場には届いていません。中央、特に補助金頼みではもはや立ちゆかないのです。

そこで武器となるのは地域を支える物語です。地域が自らのリソース(資源)で課題と向き合い、解決していく他なく、その想いや過程を物語として発信・共有していく際にオンラインツールは欠かせない武器となります。地域創生そのものがDXしていく以外に道はないということを、本書の再構成を行いながら確信しました。

本書では様々なデータ、教育現場の実態や実証、そして課題解決に取り組む人々へのインタビューを盛り込みました。インタビューに応じて頂き、書籍編纂にあたっては再度ご協力を頂いた皆様には改めて御礼申し上げます。ヒアリングやプロジェクトに取り組んでくれた学生たち、ご支援を頂いている地域の皆さま、それを支えてくれた大学職員の皆さんにも感謝です。

出版に向けての作業そのものもDXを旗印に進めました。同文館出版の編集担当さんには、はじめてSlackを使ってもらい原稿整理やその催促をしてもらっています(お待たせした時期もありました!)。ゲラのチェックも「もう紙のやり取りは止めましょう!」と無理を言ってPDF注釈で完結させています。

本稿執筆時点ではコロナ禍は一旦の収束を見せつつありますが、地域の課題はそのまま残されています。この2年あまりの経験を活かして課題に対応した形に地域を作り替えることができるのか? ポストコロナとその先に問われているのはその1点です。

DXのXは「トランスフォーメーション」、すなわち変形・変化・変質を意味します。地域のあり方をトランスフォーメーションすることは、本書の中でも述べたように、様々な混乱も引き起こします。混乱のない変化は見せかけのものでしかない、とも言えます。起業家の方々が好む言葉の1つに「Dance with Chaos!(混沌と踊れ)」というものがありますが、日本の課題と変化の最前線である「地域」にぴったりの言葉ではないでしょうか。混沌を楽しみ、物語として紡いでいく――わたしも引き続きそこに身を置き、微力ながら貢献できればと考えています。

※この記事は日経媒体で配信するニュースをキュレーションするCOMEMOキーオピニオンリーダー(KOL)契約のもと寄稿しており日経各誌の記事も紹介します。詳しくはこちらをご参照ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?