エイブラハムをかじっただけの男と弟子　その３６　オールを手放す

エス太　：今回は舟の話をしようと思う。

ソ　ラ　：舟の話ですか？

エス太　：もっと簡単に言うと、夢を叶えるために努力や苦労はいらないという話だ。

ソ　ラ　：夢を叶えるために努力や苦労はいらない？でも、多くの成功者が努力をしている話は聞きます。
あの有名な野球選手だってそうです。

エス太　：俺たちはそう教わってきたよな。
なぜなら、夢を実現させる上で努力を描いた方が、話がドラマチックになるから。
「楽してリラックスしていたから成功しました」なんて言葉を多くの人が受け入れられない。
多くの人は、夢を叶えるには努力が必要だと信じているからだ。

ソ　ラ　：確かにそうですね。正直、僕自身もまだ受け入れられません。

エス太　：ソラが言う野球選手は、野球が好きだったと思うか？

ソ　ラ　：好きだと思いますよ。ほぼ毎日野球のことを考えて、ほぼ毎日野球をしていたそうです。

エス太　：じゃぁ、自分がワクワクすることをするために、努力は必要か？
例えば、その野球選手が野球をするなと言われたとして、野球ができなかったり、野球をしないことの方が努力が必要だったんじゃないか？

ソ　ラ　：大好きなことができないことの方が努力が必要・・・その視点では考えたことがありませんでした。

エス太　：それをすること自体を「努力」と思わないくらい夢中になれるものを見つけたら、それは素晴らしいことだよな。
そうしてワクワクすることを夢中でしていたら、きっといつか周りの人はこう言うかもな。
「あの人は努力をしていた」と。
エイブラハムは行動すること自体はいいことだと言っている。でもな、その行動にはパターンがある。このことは次回に話そう。

ソ　ラ　：行動することのパターンですか？

エス太　：まずは舟の話だ。オールでこぐタイプの舟。この舟を川に浮かべる。
多くの人は、川の流れに逆らいオールを頑張ってこいで行った上流にこそ夢が叶う場所があると信じている。
でもな、エイブラハムはオールを手放して、リラックスし、下流に流されて行った先にこそ、最も抵抗なく夢が叶う場所があると教えているんだ。

ソ　ラ　：オールを手放す。つまりは流れに逆らわず、努力や苦労を手放し、リラックスしていると夢が叶うということですか？

エス太　：その通りだ。

ソ　ラ　：なぜ、周りの多くの人がそのことを知らないのでしょう？

エス太　：さっきも言ったように、多くの人が、夢を叶えるには努力が必要だという信念を持っているからだ。
楽をしていたら成功したと言う話を多くの人が受け入れられない。
だから、そんな話は広まらない。
夢を叶えるにはそれなりの努力や苦労を対価として支払わなければならないと多くの人が信じている。
でもな、夢を叶えるために支払うべきは「くつろぐこと」や「気分のよさ」だけでいいんだ。

ソ　ラ　：夢を叶えるために必要なことが「気分のよさ」ですか。

エス太　：そうだ。その人が持つ「信念」とは、その人が「繰り返し考えてきたこと」だ。ソラはこれからどんな人生を歩みたい？

ソ　ラ　：それは、僕も気分よく夢を叶える人生がいいです。

エス太　：そうか。ソラの信念はまた一つ書き換わりそうだな。

つづく