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迷嘔星 機関報 秋号

ピース缶の鳩が鳴いた彼岸過ぎ
果てしなく道端に並べられた鈴虫の目玉
いつも貼り付けたような顔で笑う隅田川の人魚  
見つめた夕空はやはりどこかもの悲しくやるせなく
倒錯広場の真ん中でマッチを擦る死に損ないのアルルカン

時々、何もかもぶち壊してしまいたくなる時がある。境界無く自分も他人も全て文字通り黒く塗りつぶしてみたくなる時がある。
実際には何も出来ないのに、心の内側だけで研ぎ澄まされ膨張した見せかけのテロルが
真っ黒に塗りつぶされた世界の誰もいない深夜の公園で。霜月の夜の帳のもとゆっくり吐いた白い息の散るコンマ2秒間の静寂が、暗転が、モノグラムが
きっと僕の探し求めていた星屑であり、アナキズムとニヒリズムの入り交じった何にも形容し難い孤独のリリシズムであるのだろう。
そんな仮説をかれこれ3年近く抱いている。

メリケンサックを買った。壊してみたくなったからだ。
メジコンを30錠飲んだ。ここじゃないどこか心地の良い場所へ連れてってくれる青春の18切符が欲しかったからだ。
結局壊せやしないし、キマりはしない。
壊してしまったら犯罪だし、キマるくらい飲んだら吐き気できっと気絶する。
ただ少し強くなったような気がした。それで少しボーッとするような気がした。
元から体は強い方だし、何かとボーッとしてしまう癖があるので本当に何にも変わっちゃいない。

市ヶ谷の駅を降りて神戸屋の売店横の出口を真っ直ぐに進むと江戸城の外濠にかかる橋がある。名前はとくに知らない。
昨日の仕事帰り、なんだかその日は家に帰りたくなくて、それで中央線に乗り換えるのが嫌で総武線に乗ったまま御茶ノ水を過ぎた。しかし「あっでも晩御飯の買い物しなくちゃな」とすぐに降りた先が、件の外濠にかかるよく分からない橋だったのである。
橋から見下ろす緑の水辺は、水草の呼吸のリズムに合わせてポコポコと泡立っている。
この水泡の下のどこかに、同じくひとりぼっちの半魚人がいるのだろうかと少しの間物思いに耽り、やはり家には帰りたくなくなって誰かを飲みに誘おうかなーなんて思って、でも結局誘えずじまいで、昨日は総武線に乗って少しだけゆっくりと荻窪の方へと帰った。
毎日こんな感じである。
家に帰ると浴びるほど酒を飲み、ポケモンやって、アラームをセットして、いつの間にか寝てしまっていて、生産性の欠片の無いような日々をただ浪費している。

ああもうすっかり秋口だ。辺り一面に彼岸花が咲き乱れていて、どこか浮ついていて、何だかイラついて、悲しくて
物凄い速さで過ぎてった暑く過酷な夏よ、きっとまた物凄い速さで迎えに来るであろう長く冷たい冬よ
来年の今頃僕は少しはマシな場所にいるんでしょうか?少しはマシな人間になれてるのでしょうか?

最後にこれだけ。
俺より才能のあるやつ全員くたばりやがれクソが🖕


ーおしまいー

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