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a little dough… お金はどのくらい必要か?(完)

▽チャップリンは人生に必要なものは「勇気と想像力と少しばかりのお金」といっていますが、お金にだけは制限を付けました。なぜでしょうか?それはきっと、勇気や想像力は充実した人生を創り出すために欠かせない能力であるのに対し、お金は生きていくため必要なものの代用品にすぎず、これを追いかけてしまうと脇道に逸れてしまうことを実感として知っていたからでしょう。

▽ロビンソンクルーソーのように、無人島に一人で暮らすならお金は必要ありません。当たり前ですが、あっても現代社会のように有効には使えないからです。差し当たって必要なものは食糧と衣類と雨風を凌ぐ家でしょうか。これを日々調達していく必要があります。

▽現代社会に住む私たちにとってもこの事実は変わりません。必要な食糧と衣類と雨風を凌ぐ家があればいいわけで、社会の仕組み上お金を使うにすぎません。では、お金がどれくらい必要かというと、生計を立てるために必要な金額という言い方が適切かもしれません。そしてこのお金は、私たちが社会に出て仕事を持つことによって、得ることができる金額です。生活の水準は様々でしょうが、ここでいう金額は衣食住にかかわる基本的な費用を言いますから、例えば就職したての方の収入程度と考えていいと思います。

▽月収20万円あれば何とか生活していけるでしょう。もちろんあれやこれやというのは無理でしょうが、一人で生活するだけなら十分可能なはずです。あとはどんな人生を選択するかという私たち自身の選択によって変わってくるだけです。結婚したい、という方なら二人で働きましょう。生活水準を変えなければ貯蓄も可能になってきます。

▽チャップリンのいう「a little dough」とは、こういう水準のお金のことを言っているのだと思います。人生は様々なので、子供は?家は?車は?老後資金は?ととめどなく疑問を抱かれる方もいらっしゃると思いますが、それらはすべて、いわばオプションなのです。子供や家はそうかもしれないが、老後資金はオプションか?と突っ込みを頂きそうですが、年を取っても本来働くことが前提です。働かない選択をする場合は、老後資金や年金の準備が必要です。日本という社会を前提にするなら、年金や健康保険は「a little dough」に含まれています。

▽「a little dough」がいくらか、という疑問からこのnoteを始めましたが、「初任給の水準」という答えは、ある程度納得感があると思います。どの企業であっても、新社会人がまともに食べていけないような給料ではまずいと考えますし、実際この水準の収入で私たちは、よほど特別なことがない限り、生活してきたからです。これはある種の割り切りですが、このように考えれば先ほど述べたように、後はオプションになります。子育てやマイホームもそうですが、ポルシェや別荘やプライベートジェットだってすべて私たちが選択したいなら検討すればいいということです。もちろん稼ぎ方次第という条件付きにはなりますが。

▽私たちは社会の中で、他人との比較を前提にしながら生活をしています。また現代社会は価値観が多様化し選択肢もきりがありません。そのため何が必要で何が必要でないか、私たちの判断は非常に困難になっています。少し油断をすると私たちの周りは、不必要なもので溢れかえってしまいます。ひとつの基準として、初任給での暮らしを想定する、その水準を見極めながら、オプションを加える。オプションはできる限りオプションのままにする。いづれ必要なくなる時が来るからです。

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