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🅂3 サンクコストの誀謬2

「A little dough」 第章 自分をどこたで信甚する 🅂3

▜前回に匕き続きサンクコストの誀謬を取り䞊げ、䌁業の投資を䟋にずっお少し理解を深めたいず思いたす。

▜サンクコストの誀謬ずは、「取り返せない費甚を取り返せるず勘違いしおしたう」ずいう堎合ず、「取り返せない費甚に捕らわれお新たな収益機䌚を逃しおしたう」堎合ずが考えられたす。こうした堎合に匕き合いに出されるのが投資案件の継続怜蚎のケヌスです。䟋えばあるプロゞェクトに幎間で億円の投資をした結果、幎目損益が▲千䞇円、幎目損益が▲千䞇円、幎間で郜合▲千䞇円の赀字で終了したずしたす。そしお幎目の事業継続を刀断する際、以䞋のようなケヌスが想定されたず仮定したす。
【】远加投資千䞇円の実斜により、幎目損益予想▲1千䞇円、通算損益▲千䞇円ずなるケヌス
【】远加投資1億円の実斜により、幎目損益予想千䞇円、通算損益千䞇円ずなるケヌス
【】远加投資千䞇円の実斜により、幎目損益予想1千䞇円、通算▲千䞇円ずなるケヌス

▜サンクコストずは「すでに支払っおしたっお取り返せない費甚」ず定矩されたすから、この堎合過去の环損は無芖しお幎目の損益予想を刀断材料にするずいうこずになりたす。
【】のケヌスでは、幎目が千䞇円の単幎床赀字ですから事業から撀退するこずになりたす。【】のケヌスでは単幎床千䞇円の黒字転換、【】のケヌスでも単幎床千䞇円の黒字転換ずなり、いずれも事業継続ずいう刀断になりたす。
さお、䞊蚘䞉぀のケヌスで「取り返せない費甚を取り返せるず勘違いしおしたう」可胜性があるのは【】のケヌス、䞀方で「取り返せない費甚に捕らわれお新たな収益機䌚を逃しおしたう」可胜性があるのは【】のケヌスずいえそうです。これらを順番に芋おいきたす。

▜【】のケヌスは、サンクコストの法則に忠実に埓えば、実行するのはさほど困難ずは思えないような気もしたす。それでも誀謬を起こす可胜性はなぜ生たれるのでしょうか
それでは【】のケヌスの掚進担圓者になった気持ちで私が説明しおみたす。「本事業は幎間で億円を投䞋し幎経過埌の損益は千䞇円の赀字ず今䞀歩ずいう結果になりたした。しかし幎目損益▲千䞇円に察し幎目は▲千䞇円ず赀字幅は匷の倧幅改善ずなり、曎に今期の芋通しも損益こそ▲千䞇円ず赀字ながら改善率はずいう高い氎準です。これは初期投資により䞀定のマヌケットが着実に圢成されおいる蚌で、今埌の展開次第では来幎床以降の単幎床黒字、曎には环損解消も芋蟌める事業ず確信しおいたす」。

▜こうしお「折角億円かけお開拓したマヌケットを今手攟すのは勿䜓ない」ず考えるあたりから、サンクコストの誀謬が始たっおいたす。勿䜓ない→もずを取りたい→損倱にしたくないずいうこずですから、ここにそもそもの原因がありそうです。カヌネマンずトノェルスキヌは、プロスペクト理論においお利益局面ず損倱局面における人間の感じる䟡倀には歪みがあるこずを瀺しおいたす。具䜓的には利益局面における䟡倀の単䜍は、損倱局面においおは.倍にも感じられるずいいたす。これを「損倱回避バむアス」ずいいたすが、芁するに私たちは損倱には過剰反応しやすいずいうこずです。

▜もずもず倱敗を認めたくない私たちが、曎に倚額の損倱を䌎うずいう事実に向き合うこずになれば、圓然のようにこれを回避したいずいう気持ちは匷くなりたす。そんな時に、䟋え赀字であっおもその改善率の高さず、これに基づいた尀もらしいストヌリヌを瀺せば、私たちは぀い぀いこのポゞティブな展開にずび付きかねない、ずいうわけです。
ただこうした誀謬が本圓に無意識に起こっおしたうものなのか、それずも故意犯的にやっおいるものなのかを問われるず、私には埌者が倚いのではないかず思えおしたいたす。その理由は、前提ずしおいる単幎床の損益予枬が、実際にはなかなか圓たらないものだからです。䜕幎も実瞟があるものならずもかく、幎の実瞟しかないような案件では、予枬は恣意的になり易いのです。結局、予枬に限界があるため、「わからないからもう䞀幎やっおみるか」ずなるケヌスを、随分ずみおきたような気がしたす。

▜䞀方【】のケヌスでは、単幎床黒字は達成しおいるものの、环積損倱は䟝然千䞇円ありたすのでそのあたりで議論になる可胜性がありたす。぀たり「黒字転換しおもただ环損は解消しおいないじゃないか」ずいう蚳です。しかしこの䞻匵を通しおしたうず、赀字である限り远加投資ができないこずになりたす。䟋えば、环損で終わった事業はすべお䞀旊撀退するずし、そのうえで新たな䞀幎間で投資を行い利益を芋蟌める事業を掗い出したす。もちろんこの際、過去撀退した案件も含めたす。その結果【】の詊算が正しければ、新たな案件ずしお䞊がっおくるだけの話です。こうした議論が出おくる背景には、䌁業のプロゞェクト評䟡の曖昧さが垣間芋えたす。掚進責任を明確にするこずは重芁ですが、過去の損倱はその期間の評䟡ずずもに手仕舞いにする必芁がありたす。

▜サンクコストの誀謬が起こる原因を考えおいくず、結局のずころ「プロスペクト理論」における「損倱回避バむアス」にたどり着くような気がしたす。サンクコストずは「過去に支払った費甚で、今曎返しおもらえない費甚」ですが、「損倱」は利益を倱うこずです。そしお「損倱」には過倱や䞍運がたずわり぀きたす。正圓な察䟡ずしお支払っおいれば䜕も考えずに枈むのに、過倱や䞍運が絡むず、にわかに「損倱ストヌリヌ」が目を芚たし、私たちの前に立ち塞がりたす。これず向き合うハヌドルは高く、かなりの゚ネルギヌを消耗したす。
 パヌ゜ナル・ファむナンスにおいお、支出・投資ずいった分野では、このサンクコストの誀謬に陥りがちです。そうならないために、私たちは自分が決しお損倱には寛倧ではないこずを、しっかりず蚘憶しおおく必芁がありたす。

この蚘事が気に入ったらサポヌトをしおみたせんか