マガジンのカバー画像

序章 "a little dough"

25
「A Little Dough」はこれから社会人になる人、あるいはこれからのライフデザインを考えている人達の参考になるような「パーソナル・ファイナンスの考え方」について記載してい…
運営しているクリエイター

#行動経済学

a little dough… 始める理由

▽”Yes, life can be wonderful, if you're not afraid of it.  All it needs is courage,imagination, and a little dough” そう、人生はすばらしい。恐れてはいけない。必要なものは、勇気と想像力、そして少しばかりのお金。 ▽これはチャップリンの映画、ライムライトの中の言葉です。 最後にa little dough(少しばかりのお金)とありますが、これはいったいどれくらい

地位財を地位財にしないために…

▽引き続き地位財の話です。所得・社会的地位・車・家・高級ブランド品などを地位財の例としてあげていますが、これらはどれも地位財になる可能性があるということにすぎません。所得にも絶対的な価値があり、これなしに私たちの生活は成り立ちません。これを地位財にしてしまうのは、アドラーのいう「不健全な優越性」にあります。 ▽前回、地位財になりうるものの共通性に、比較のし易さを上げました。比較のし易さは、それらが金額・呼称・面積など何らかの同じ符号で格付けされている場合におこります。「不健

地位財を求め続ける…私たち

▽「 地位財」とは、他人との比較優位によって価値の生まれるもの、例えば 所得・社会的地位・車・家・高級ブランド品などをいいます。これは「幸せとお金の経済学」の著者ロバート・H・フランクの考えですが、彼は同著の中で、こんな思考実験をしています。 ▽(実験1)自分は約110坪の家、他の人は約150坪の家に住んでいるAの世界、自分は約80坪の家、他の人は約60坪の家に住んでいるBの世界のどらかを選びます。 (実験2)自分は1年に4週間、他の人は6週間の休暇がとれるCの世界、そして

アリストテレスの時代のオプションとは

▽先日、「プラトンやアリストテレスが恐れたこと」というタイトルの記事の中で、アリストテレスはデリバティブを知らなかったかもしれない、と記載しました。ところが、すでに当時からオプション取引の原型は存在していた、というお話です。勉強不足でごめんなさい。以下、板谷敏彦著「金融の世界史」からの引用です。 ▽ギリシャ人のタレスは、アリストテレス(前384~322年)によって、世界初の哲学者として紹介された人物です。彼はある年のオリーブの作柄を豊作と予想して、手付金を払って村中のオリー

”エール”にみる”ファスト&スロー”

▽ 「あんたという人間を信じとる。頭はダメっていっとるけど、心はいけっ!て叫ぶの。だからしょうがない、許す。私は。」 NHK朝ドラ『エール』第23回、ヒロイン関内音(二階堂ふみ)の母親(薬師丸ひろ子)が、ヒロインに突然プロポーズした主人公古山裕一(窪田正孝)に向かって言うセリフです。 ▽「頭はダメで、心はいけっ!」という言葉を、脇で聴いていた主人公の父親(唐沢寿明)は、支離滅裂と言っています。人間の脳の働きは右脳と左脳で違うといわれていますが、右脳は瞬時に感覚的にイメージを