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UFOを見た話
大学2年生の秋。
バイト帰りの19時半頃。
日はすでに落ち、辺りは真っ暗だった。
肌寒い中、私は自転車で街灯の少ない山沿いの道を走っていた。見下ろせば、街の綺麗な夜景が見えた。
夜空には星が輝いており、雲はほとんど無かった。
自転車を漕ぎながら、ふと、夜空に浮かんでいる月が目に入った。
今日の月はやけに低いなあ。何気なくそう思った。
大型ショッピングモールのすぐ上に、ぼんやりとした丸い月が輝いていたのである。
それを、ぼーっと眺めていると。
「!?」
信じられないことに、次第にその月が分裂し始めたのである。
私は目を疑った。
月が二重に見える。そして異様にぼやけて見える。
コンタクトが外れたかと思ったが、そんなことはない。目を凝らして見ても、何故か月の輪郭がはっきりしない。眺めている内に、それは二重から三重になった。
わけがわからない。
月かと思われたそれは、ぼんやりとした輪郭のまま横に三つに分裂したのだ。
私は怖すぎて自転車の速度を上げ、自宅へと急いだ。
UFO!? UFOじゃないあれ!?
脳内がUFOという単語で埋め尽くされる。
わけのわからないものを見たのは、この時が初めてだった。
動揺している内に、気付けば空には分厚い雲が広がっており、三つに分裂したそれらは、雲に隠れて見えなくなっていた。
そして、雲が晴れた後も月は現れず、謎の物体達は完全に消失していた。
無事帰宅後、家族に今あった出来事を話すが信じてもらえるはずもなく。
それ以来、UFOらしき物体に出会う機会はまだ訪れていない。
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