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だから私は霜降りANNが好きだ

はじめに

 毎週金曜の深夜1時から放送される霜降り明星のANNを、毎週どころか毎日楽しみにしている。radikoのタイムフリーで聴いているのだが、土日は土日なだけで楽しみなのに、最新の霜降りANNが聴けるから余計楽しみになる。土日に聴けなくて月曜に持ち越した場合、普段なら憂鬱な月曜日をウキウキしながら迎えることができる。通勤中に霜降りのANNを聴けるだけで、月曜日の憂鬱なんて吹き飛んでしまうのだ。
 火曜から金曜は別のラジオを聴きながら、それはそれで楽しく過ごしているが、木曜あたりになると「そろそろ霜降りANNの日だ」と思って少しワクワクし始める。そして金曜日には明日聴ける霜降りANNに対してワクワクソワソワしながら思いを馳せ、土日を迎える、、、
 というのが、私の1週間、1ヶ月、ひいては1年間の心の動きだ。霜降りのANNがあるからこそ、私の毎日は豊かで楽しいものになっている。
 
 そこで、なぜ私がこんなに霜降りANNを好いているのか、なんで霜降りANNがここまで面白いのかを考えてみた。というより、聴いているうちに自分の中の霜降りANNの好きな部分が漠然と整理されてきたので、それを言語化したくなった。普段聴いている方はそうそう!と共感してくれれば、聴いたことのない方はこれを機に興味を持ってくれれば、これ以上の幸せはない。

 

好きポイント① フリートークが面白い

 とにもかくにもこれに尽きる。とにっっっっかくフリトが面白すぎる!!
 「時刻は午前1時になりました」という時報コールの直後から、毎週あったことをとっかかりにして会話が始まるのだが、なんと45分間一度も途切れることなく、2人の会話のラリーが続く。
 この45分というのは、ANN1部は放送開始後45分以内に提供読みをしないといけない、というニッポン放送の規定に基づいた時間であるらしい。ので、この制限がなかったら2人はいくらでも話し続けているだろう。過去には、提供読みのリミットギリギリまで喋り続けて、作家さんをガチで焦らせるというノリがあったぐらいだ。端緒はたったひとつのエピソードなのに、そこから色々な方向に話が展開していったり、信じられない頭の回転スピードでおもしろワードを引き出し合ったり、過去のノリを持ってきて2人でわちゃわちゃしたり。毎週の2人のトークを聴いていると、お笑い能力の高さに圧倒され、さながらスポーツ観戦をしているかのような高揚感を味わうことができる。
 実際、霜降りが大阪でやっているラジオ(霜降り明星のだましうち!)の中で、「ANNは競技みたいなもの」という発言があった。競技として挑んでいるからこそ毎週頭をフル回転させて面白いことを言っているし、間にCMや曲やメールを入れず、45分間という長時間ノンストップで話し続けているのだなと、当該回のラジオを聴いて非常に納得した記憶がある。
 ちなみに、だましうちはかなり緩やかな雰囲気で放送されるラジオだ。ちゃんと合間に曲がかかるし、トークの内容も仲良しの芸人さんの近況みたいなゆるいものが多い。そして、作家さんも喋る。ANNはあまりのストイックさゆえに作家さんが一切声出しをしないのだが、だましうちでは作家さんも交えてトークが行われる。
 ちなみに私は、ANNが霜降りのラジオの入り口だった。なので、霜降りはラジオで曲を流さないコンビなのだとずっと思っていた。だからこそ、だましうちを初めて聴いた時、あの霜降りが曲を流している!と驚いた記憶がある。


好きポイント② メールテーマを募集しない

 毎週粗品さんが、「今週もいつも通り、番組を聴いての感想を送ってください」と言う。毎週のことなのでとてもさらっと言っているが、「いつも通り」「感想」を送ってください、というのは信じられないくらいすごいことだ。というのも、話が途切れた時に頼れるものがないからだ。
 一般的な生放送のラジオにはメールテーマがあり、そこに寄せられたメールをCM明けのトークのとっかかりにしたり、メールテーマを振った後に関連するトークをしたりすることで、フリートークを成立させている。
 しかし、霜降りのANNではそれが一切ないのだ。CM明けにそのまま冒頭のフリートークの続きをすることもあれば、寄せられた「番組を聴いての感想」から話を展開させることもある。冒頭のフリートークという土台がしっかりしていなかったら、即放送事故だ。しかし私が聴いている限り、フリトがグズグズで放送事故になった回は一度もない。メールテーマを募集しなくても毎週フリトを成り立たせることができて、リスナーから面白いリアクションメールが届く。当たり前のように毎週こなしているけど、よくよく考えたら毎週が奇跡の連続みたいなものだ。深夜ラジオに限らず、生放送のラジオは日本中にわんさかあるが、これを毎週こなしているのは霜降り明星だけなのではないだろうか。
 この奇術を可能にする要因として、霜降りのお笑いに対する地肩の強さがあるのはモちろん、毎週メールを送るハガキ職人のレベルがすこぶる高いことも挙げられる。


好きポイント③ ハガキ職人のレベルが高い

 これですよ、霜降りのANNで声を出して笑ってしまう一番の要因は!前述の通り、トークに対して送られてくるリアクションメールが面白いことはもちろん、さまざまなコーナーに対して送られてくるネタメールもとんでもなく面白い。そのレベルの高さゆえ、毎年春と夏のスペシャルウィークに、ネタメールが一番面白いリスナーを決める「霜降り甲子園」という企画をやっているくらいだ。華の金曜深夜1時〜3時の全国放送、しかも豪華なゲストを呼んで年間トップの聴取率を取れるSPWの枠を、ハガキ職人とはいえ一般の聴取者ために使う。ここに、ANNチームのハガキ職人に対する熱いリスペクトを感じる。

 ここでコーナーの紹介もしたい。22年12月現在、ネタメールを募集しているコーナーには、「霜降り交友録」「野党」「ピリオドチャンピオン」「一行」がある。
 交友録はメールに合わせてせいやさんがモノマネをするというコーナーだが、ハガキ職人のモノマネアンテナの高さにいつも脱帽する。細木数子さんの語尾(〜って言ってんだ!)に着目したりするなど、未だかつて誰も注目したことのない部分に目をつけてメールを送るハガキ職人のセンスが天才的だ。そして来たメールに対して完璧にモノマネをしてしまう、せいやさんのモノマネクオリティの高さにも敬服してしまう。
 野党はボケとツッコミをワンセットで送るコーナーだ。いわば漫才のワンラリーを考えて送るというものだが、たまに霜降りのお二人をして「これ使いたいなぁ」と言わしめるほどの傑作が読まれることがある。現役バリバリの漫才師、しかも最年少M-1王者の霜降りにこう言わせるほどのネタを考えられるハガキ職人、やはりただものではない。
 ピリオドチャンピオンは、言ってしまえばあるあるのコーナーだ。紹介されるメールはどれもあるある!と納得するものだし、当たり前すぎて今まで言語化されていなかったようなものが多い。それが言葉になって掬い上げられることの気持ちよさったらない。また、このコーナーはオールスター感謝祭のあの企画が下敷きになっているのだが、メールを読み始める前に粗品さんが必ず、時事ネタにオールスター感謝祭を入れ込んだ一言を披露する。それもこのコーナーの楽しみのひとつだ。
 最後の一行は、星新一の作品に出てきそうな、前後の内容が気になる一行を送るコーナー。というのが本来の趣旨なのだが、それに沿ったメールは最初に読まれる2,3通だけだ。それ以外のメールは、有名な人名義のラジオネームで変なことを送ったり、霜降りのお二人に下ネタを言わせようとしたりと、とにかくはちゃめちゃだ。深夜2:45ぐらいにやっているコーナーなので、深夜テンションのばかばかしさを感じることもできる。

 このコーナーと言えばこの人というように、それぞれのコーナーに特化したハガキ職人もいれば、さまざまなコーナーでネタメールが読まれる、バケモノオモシロハガキ職人もいる。毎週、今日は誰が読まれるかなとか、どんなオモシロメールが紹介されるかなと、メールを送っていなくてもワクワクすることができる。それが霜降りANNの魅力のひとつだ。

 

 ちなみにいつだかのラジオで、せいやさんが街で出会ったリスナーに「ネタメール送ってよ!」と言ったら、「レベル高すぎて無理ですよ」と言われたエピソードが紹介されていた。各コーナーは、ハガキ職人による珠玉のネタメールの闘技場と形容するのがふさわしいほど、熱気に満ち溢れている。したがって、我々のような一般ラジオリスナーがおいそれとネタメールを送ることなど恐れ多くてとてもできない。それくらいハガキ職人がコーナーにかける思いはガチだ。このガチさは、他のラジオと比べても群を抜いていると思う。

 そんなハガキ職人のガチさを感じる動画がこれだ。

 霜降りANNがお休みの週に、ある常連ハガキ職人がYouTubeにアップした、いつものラジオを完全再現する動画だ。霜降りのお二人の声色や話し方を再現しているのはもちろん、後ろで聞こえる作家さんの笑い声や常連ハガキ職人のネタメールまで再現しているところに、すごいを通り越して引いたまである。
 ここまで聴き込まないと霜降りANNのハガキ職人にはなれないのかと、ある種の絶望すら覚えた。こうしたストイックなリスナーがいるおかげで、毎週クオリティの高いコーナーが出来上がっているのだと痛感した。ハガキ職人へのリスペクトをさらに深めた一本である。


さいごに

 毎週多くの深夜ラジオを聴いているが、トークの面白さ、コーナーのキレ具合、2時間という枠の使い方など、霜降りのANNは深夜ラジオを構成するすべての要素が秀でている。現在日本で聴けるラジオの中で、抜群に面白いことうけあいだ。
 霜降りにはこれからも、華の金曜1部をずっと張っていてほしい。来年も再来年もその先も、私や多くのリスナーに楽しみを与え続けてほしい。

 

番外編:ここまで読んで霜降りANNに興味を持った人におすすめの3本

 ここまで読んできて、霜降りのANNはなんだか面白そう、聴いてみたい、と思った方もいるだろう(いてほしい)。
 ただ、アーカイブが全部残っているSpotifyを開くと、あまりの過去回の多さに圧倒され、どれを聴けばいいか迷ってしまうはずだ。そんな方に聴いてほしい、おすすめの3本をピックアップした。ラジオを聴くときの壁になる「過去回の前提知識」がなくてもついていける3本を選んだので、ここを入口にして霜降りワールドの住人になってほしい。

① 2022.1.14 浅草キッド再現回
 せいやさんが、数回観ただけの浅草キッドを1人で完全再現する回。
 1人で何役ものモノマネをやり切るところや、たった数回観ただけなのに完コピできるくらい内容を覚えていられるところなど、せいやさんのモノマネ力の高さと記憶力の良さに圧倒される。交友録や毎週のエピソードトークの中でもせいやさんの能力の高さはさりげなく披露されているが、ここまでまざまざと見せつけられたのは初めてだろう。モノマネがうますぎて大笑いすると同時に、メタモン力の高さに恐れ入った。
 が、最後の最後でとんでもないミスを犯してしまい、、、。リスナーからのメールでそのミスに気づくというラジオっぽさ、ミスに気づいた後の2人の楽しそうな雰囲気まで含めて印象に残っている。

② 2022.9.23 けつあな確定回
 せいやさんが、誕生日にもらった携帯ウォッシュレットの実況をする回。
 という概略が既にカオスだが、お二人の頭の回転の速さやリスナーからの悪ノリメールによって、展開はさらにカオスな方向に転がっていく。番組終了時には異常な面白さと謎の感動で、感情が意味わからないことになった。
 今年聴いた全てのラジオの中で一番笑ったと言っても過言ではない。深夜テンションっていいなぁ!と思った回でした。この時ほどリアルタイムで聴きたかった回はない。
 ※上記の知識があれば文句なしで楽しめるが、さらに前提知識が欲しい方は、その前の回を聴くことをおすすめする。

2022.10.28 せいやさんの漫談回
 せいやさんが2つエピソードトークを披露するのだが、どちらも「なんで日常でこんなに面白いことが起こるの!?」とびっくりするくらい、内容が濃い。ギャグ漫画みたいなエピソードが日常に降りかかってくるのは、お笑いの神様に愛されてる証拠だと思う。そして、話術を使ってそのエピソードをさらに面白く仕立てる技量に舌を巻く。
 特に、2つ目の話で腹を抱えて笑った。舞台から降りた後のできごとなのに、コントみたいにフリオチが完璧に決まっていて、むちゃくちゃ面白い。この話の決め台詞(?)は、その後もハガキ職人からネタにされているので、そうしたネタメールを聴くたびにこのエピソードを思い出してニヤニヤしてしまう。


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