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エンディングテーマ決定!『Present』

本長編オムニバス映画『突然失礼致します!』のエンディングテーマ『Present』を制作された立教大学 現代心理学部 映像身体学科 3年生の篠田 衛さんにインタビューを行いました。
軽快なサウンドに乗せてボーカル「すっちょ」が歌う『Present』の歌詞は、”コロナ禍”を生きる若者たちの心を、どこか優しく支えてくれるような印象を受けます。制作背景や歌詞に込められた思いなど、今回特別に語っていただきました。

インタビュアー: 製作委員会 坂元祐文 (近畿大学)
文字起こし: 製作委員会 熊谷宏彰 (群馬大学)

立教大学 現代心理学部 映像身体学科篠田 衛

――本日はお忙しい中インタビューにお応え頂きまして、ありがとうございます。

篠田:ありがとうございます。

――まず簡単に自己紹介をお願いします。

篠田:立教大学 現代心理学部 映像身体学科3年生の篠田 衛です。映画制作サークル『cinematographe』(シネマトグラフ)に所属し、副代表を務めております。

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――映像身体学科というと聞き馴染みがありませんが、どのようなことを学ぶ学科なのでしょうか?

篠田:映像だけではなく、舞台やダンスといった身体表現全てを対象としている学科です。私はその中でも映像を専門で学んでいますが、舞台用語はいつでも飛び交っていますね(笑)。 

いまだに『どんな学科ですか』って聞かれてもちゃんと応えられないです(笑)。

――普段「cinematographe」ではどのような活動を行っているのでしょうか?

篠田:主に映画制作を行っていて、学内だけでなく学外での撮影なんかもやっています。他には商業映画に近いところで現場のお手伝いをしたりとかですね。学科の教授に映画監督をされていた方が多いので、その繋がりで現場に呼ばれることもあります。それでも基本は学生による映画制作がメインですね。

――篠田さんは個人でも活動されているのでしょうか?

篠田:基本的にはサークルで活動していて、最新作で言うとリモート映画『オンラインイカサマ』の制作にも関わっています。今回提供した楽曲『Present』は個人で制作しました。

先がどうなるかは分からないけど、この瞬間を必死に、がむしゃらに生きてりゃ悪いことは起こらないだろうと(笑)

――今回ご提供いただきました『Present』ですが、良い意味で飾らない、「今」に響く歌詞が特徴的だと思います。『突然失礼致します!』プロジェクトが立ち上がる以前に作られた楽曲だとお聞きしましたが、楽曲制作に至るきっかけなどはあったのでしょうか?

篠田:僕自身サークルで映画制作を行っていく中で、例えばキャストの方が当日来られないとか、セミが鳴き出して撮影が中止になっちゃったりとか(笑)。色々なことが思い通りにいかない、うまくいかない、失敗が積み重なっていた時期で。映画制作って不安の連続なんですよね。自分の理想を実現したいけれど、実際にはそうはいかないという中で、それでも作品を作り続けていかなければいけなくて。そういったパーソナルな実体験の中から(楽曲が)生まれてきたというのはあります。でも、初めは個人的だった感情も、楽曲にしてみると多くの人に共感してもらえて、どこか普遍的なメッセージでもあるのかなって。

特に昨今では新型コロナの影響もあり、ますます先が見通せなくなってきていますが、未来は壊れちゃったりするかもしれないけれど、「今この瞬間」だけは確かで。先がどうなるかは分からないけど、この瞬間を必死に、がむしゃらに生きてりゃ悪いことは起こらないだろうと(笑)。これは自分への戒めでもあるんですが、『Present』の根底にはそんな思いがありますね。

――お話を聞いた後ではまた違って聴こえるところもありそうですね。ポップスソングの醍醐味は、ひとりの問題だったはずが、みんな共感できるという部分にあると思います。

篠田:個人的なのに普遍性がある歌詞というのはいいなあと、僕も他の方の楽曲を聴いていて思いますね。

――楽曲制作は打ち込み中心でしょうか?それともバンドでのレコーディングをされたのでしょうか?

篠田:『Present』ではクレジットにもある通り「ULTIMATE STUDIO」という外部のレコーディングスタジオでアレンジと打ち込みをやっていただきました。ですので、サウンドとしては全部打ち込みですね。スタジオの方とは何回もメールでやり取りさせてもらって、自分の中のイメージと擦り合わせていきました。僕が頑固だったんで、かなり何回もやり直してもらいましたね(笑)。

――一曲を完成させるまでにどれだけの期間が必要でしたか?

篠田:去年の暮れから作り始めて、完成したのは年始だったと思います。大体1ヶ月くらいで作ったことになりますね。歌詞を何回も書き直したりとか、ボーカルの方とレコーディング日程を調整したりとか、そこに時間がかかった印象です。

――打ち込みをスタジオの方にお願いしたということは、デモの段階では弾き語りのような状態だったのでしょうか?

篠田:僕は楽器が頭の中では鳴っているんですけど、自分で演奏するのは苦手で。この曲は色んな楽器が鳴っていて、それを具現化するのに苦労しました。それで最初はボイパみたいに口で表現して、スタジオの方に送ったりとか。ちょっと恥ずかしかったですけど(笑)。なので、デモの段階では半分ぐらい鼻歌でしたね。それでも、スタジオの方が最終的に自分の意思を完璧に汲み取って具現化してくれたので、すごく助かりました。

すっちょさんしかいないな

――ボーカルはCHABANSの「すっちょ」さんが担当されていますが、どのような繋がりでボーカルを務めてもらうことになったのでしょうか?

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篠田:すっちょさんは『CHABANS』というバンドのボーカルなんですが、彼女は軽音サークルの先輩でして。先輩のライブを観る中で、すっちょさんの歌声を聴いたのが最初のきっかけです。『Present』のインストゥルメンタルが先に出来て、誰の声が合うかと考えたときに、すっちょさんしかいないなと。

実際レコーディングしてみると、本当に良い歌声で。高音はハスキーで伸びるし、肺活量も凄くて。声質は元々(楽曲に)合うと思っていましたけど、レコーディングで確信に変わりましたね。

――楽曲を作る上で大変だったことや、こだわったところなどあれば教えてください。

篠田:大変だったのは作詞ですね。ポップスでは、口ずさみやすくて無駄がなく、それでいて遊び心のある歌詞が求められると思うんですけど、そのために韻を踏む箇所を作っています。Bメロの『次から次へ 困難』と『次から次へ 懇願』は1番の歌詞と2番の歌詞で対応させていて、音としては同じだけど意味が全く変わってきたりとか。他にも『諦めないし』と『頑なな意思』とか、ここにも音の関係性を作っています。なので、サビよりもBメロの方が大変でしたね。ぜひ注目して聴いてもらいたいと思います。

篠田:あと、歌詞という短いものに意味を詰め込む作業はかなり大変でした。僕は普段映画の脚本で1万字の文章を書いているので、400字とか500字ぐらいにまとめるのがとても難しかったです。歌詞を考えている時期はそれこそ、授業中もずっと歌詞を書いては消しで、正直授業は全然聞けてなかったと思います(笑)。

篠田:フルバージョンだと最後に『今しかないからね』というフレーズが出てくるんですが、ここはボーカルのすっちょさんに細かくお願いをして、解放感があって叫ぶような感じで歌ってもらいました。歌詞をよく聴いてもらえば分かるんですが、『今』という言葉は後半になって初めて出てくるんですね。特に最後の『今しかないからね』はレコーディングで聴いたとき本当にもう鳥肌立っちゃって。曲を通しての流れや変化にも注目してもらいたいと思います。

――『Present』は配信などの形でリリースされているのでしょうか?

篠田:今のところ配信していないんですが、せっかくエンディングテーマに選んでいただいたので、これをきっかけにiTunesなどで配信できないか現在検討している最中です。

――これがきっかけでばんと話題になるんじゃないかと期待してしまいます(笑)。

篠田:これほど大規模なプロジェクトに関われたことを本当に嬉しく思っています。ボーカルのすっちょさんにもエンディングテーマとして採用されたことを伝えたのですが、かなり喜んでおられました。

元の平和な世界に戻れることを願って

――今多くの大学生が部活動を自粛している中、この曲の持つ「メッセージ」はきっと多くの方を勇気付ける力があると思います。作品をご覧になる方、今を精一杯生きている大学生の皆さんに何か一言あればお願いします。

篠田:今は皆さん本当に大変な時期で、この先どうなるかは誰にも分からない。このような状況で具体的なアクションを起こせない人もたくさんいると思うんですが、この楽曲を聞いて、まずは不安な人の心が少しでも明るくなってくれればそれだけでいいんじゃないかなと。それだけで心の中での『動き』は生まれてくると思います。いつか元の平和な世界に戻れることを願って、頑張っていきましょう。僕も頑張ります。




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