肋骨のコルセット効果について
1.正しい姿勢って?
さて、下の画像を見ていただきましょう。
右の女の子、絵本のイラストのような可愛らしい姿勢をしてます。でも、正しいのは左の姿勢です。
右の姿勢でも通常の生活を続けることはできますが、重いものを持ったときに、ぎっくり腰になるかもしれません。
また、歩いたときに体がグラグラしてしまうので、頭の上に本をのせて歩くことができません。
目標は左の女の子の姿勢をできるのが目的ですが、何回かに分けて、今回は首もとから肋骨を下部までの背骨を真っ直ぐにすることから始めます。
今回真っ直ぐにする部分
2.コルセットを着たように
両脇を横線で結び、左右の鎖骨の中心から真っ直ぐに縦線を下ろし、その2つの交点の部分に力を入れると、肋骨が1~2cm上がります。
これは、首筋から延びている三種類の斜角筋という筋肉が肋骨を持ち上げることによります。
斜角筋は左右一対で首の骨と肋骨を繋ぐ筋肉です。ちょっとグロいですが、下の図のように首の骨と肋骨を繋いでいます。
斜角筋群と付着する肋骨
前斜角筋、中斜角筋のCGモデル
後斜角筋のCGモデル
斜角筋の役割は、以下の通りです。
斜角筋の役割
A.両側を同時に収縮させると、頭が前に倒れる
B.頭を固定して同時に収縮させると、肋骨が持ち上がる
C.片方だけ収縮させると、頭が横へ倒れる
表題にもある『コルセット効果』は2.の動作で、コルセットで肋骨と内臓を持ち上げたのと同じことを、少し意識をして力をいれるだけで得ることができます。
3.『肩の力を抜く』
次に、『肩の力を抜く』ようにしましょう。
具体的には、普段は鎖骨の内側にある筋肉を使って肩の位置を保っている人が多いと思います。
『肩の力を抜く』ために、背中側の首の付け根から肩に繋がる筋肉にちょっと力を入れて、鎖骨側の筋肉の負担を分散しましょう。
そして、肩を意識的になで肩にします。
これが、『肩の力を抜いた』状態です。
この姿勢をすると、首の付け根から肋骨下部までの背筋が真っ直ぐになります。
また、この『肩の力を抜いた』姿勢には利点があります。
『肩の力を抜く』利点
A.肩を張った状態より腕を5~10cm長く使える
B.肩を張った状態より小指と薬指の握力が強い
ただし、欠点もあります。
『肩を張る』筋肉の使い道
A.重いものを持ち上げる。
B.棒に掴まってぶら下がるとき。
なので、常に肩をなで肩にしていると、生活の所々で不自由が出ます。
以上が、『コルセット効果』と称して説明した回の内容です。
人によって、背筋やお腹の筋肉の強さは違うので、肋骨を持ち上げると、胸が出たみたいに肋骨下部がシャツを持ち上げてしまう人は、少し仰け反ってしまっているので、力加減を考えましょう。
参考文献:『解剖生理及び体育』川瀬元九郎 著
図と写真:『解剖生理及び体育』川瀬元九郎 著より(著作権切れ)
マーキングは久野の手による
版権: Eraxion / 123RF 骨CG
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