見出し画像

悩ましいこと

 先日、息子が憤りながら学校から帰ってきた。

「今日は堪忍袋の緒が切れそうだったんだよ!」
鼻息を荒めに、そう主張するので、
帰りの坂道で、何があったのか尋ねると

「俺とYちゃんが遊んでたら、
Sちゃんが、Yちゃんの足を踏んづけたんだよ。」

おぉっと。
出たよ、Sちゃん。
私は心の中で、悪態をついた。

背景はこうだった。

下校班で帰るために、
昇降口広場でみんなが揃うのを待っている間、
息子は、1学年下のお友達のYちゃんと
格子状の蓋が付いている排水溝に
足で、落ち葉を入れこんで遊んでいたそう。

そこに、息子と同学年のSちゃんがきて、
Yちゃんの足を踏んづけてきたという。

このSちゃんというのが、
正直ちょっと厄介な子で
昨年後半、我が家は
彼女の言動や、ご家族の対応に
散々悩まされてきた。

私と主人の中では、
”必要以上に関わらない。”
そう決めていたし、

息子にも
”同じ土俵に立つな。”
と諭して、
相当な我慢を強いた。

人間関係における諦めを
まさか、わずか7歳の息子に理解させることになるとは、
思ってもみなかった。



それでも、
この時点での息子の話だけでは分からない。

どうして、SちゃんがYちゃんの足を踏んだのか、
それはわざとだったのか、
それともたまたま、場所が悪くて踏んじゃっただけなのか、
仲間に入りたかったのか、
etc…

ただ、同じ方向に帰る同級生も交えて話を聞いた限り、
SちゃんがYちゃんの足を踏んだこと、
そして謝らなかったことは事実のようだった。

「わざとだったかどうかは、わからない。」
という。
そりゃそうだ、
本人でなきゃ、わからない。

でも、
謝らなかったのは、どうかと思うよね…。

まぁいいや。
Sちゃんのそれは、今に始まったことでもない。

本当に悩ましいと思ったのは、その後だった。


「で、その時あなたはどうしたの?」
私の質問に、息子は目をぱちくりさせて一瞬考えた後に、
ちょっと申し訳なさそうに言った。

「見てただけ・・・。」

・・・そうなるよね。


私が、同じ土俵に立つなと言ったのだ。
それは、もはや
相手にするなというのと同義だ。

そしておそらく、息子は瞬時に考えただろう。
ここで、相手を注意するとどうなるか。

息子は去年1年間で、
散々その場面を経験している。
私ですら容易に想像がつく。

Sちゃんの攻撃の矛先が自分(息子)へと向かい、
Sちゃんは自分がやったことを棚に上げて
全力で息子に対して怒りをぶつけてくる。

そして、先生にも親にも
「〇〇くん(息子)が嫌なこと言った!!」
と全力で主張し、泣き喚くだろう。

それを想像した瞬間、
声をかけられなかったんだろう。

あぁ、分かる。
分かるよ。
私にもわかる。

でも、そこで注意しなくちゃ。
ダメだよって言ってやらなくちゃ。
今度はYちゃんが標的にされてしまうだろう。

そして、”見ているだけ”は
やった側と同じなんだよ。
見て見ぬふりは、
いじめをしている人と何も変わらないんだよ。
と伝えた。

すごく苦しいけれど、
息子の考えは手に取るように分かったのだけど、
それでも、
傍観者はいけないことだということも
分かってほしかった。

じゃあ、どうすればよかったのだろう。
そして、これからそういう場面に遭遇したら、
どうすればいいだろう?

私と息子はその晩、一生懸命考えた。

これが正解!ということは
何も見つからなかったけど、

まず前提として、
一番いいのは、
真っ先にその場で
「それはやっちゃだめだよ」
と注意できるのが一番いいね。
そう伝えたうえで、

それでも、
すぐにそうすることが難しければ、

①近くに先生がいれば、先生に言う
②お迎えの保護者がいれば、その人に言う
 (Yちゃんはお迎えのことが多い)
③物理的に二人を引き離す、距離を取らせる
④それでも周りに言いそびれたら、帰ってきてからママやパパに言う

もし、仮に
またSちゃんの怒りが息子に向かってきたとしても
ママはあなたの話を全面的に信じるし、
必ずあなたのことを守る。

そう約束した。


親としては、
当然ながら我が子を守りたい。
だから、厄介な相手とは
離れていてほしい。

でもそれと同時に、
ダメなことはダメだって
ちゃんと言える人になってほしい。


私は私で、
息子は息子で、
なんとも言えない葛藤を抱えながら、
息子は次の日、また学校へ行った。



しばらくは様子を見ることにしようと思っている。

今は息子の話をメモし、記録に残しつつ、
それが3回に達したら、
学校側に伝えるつもりだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?