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3D CADの展開と利用

3D CADの実践的な利用について業態毎に想定される使い方を書いてみる。職種毎のメリット・デメリットなどについても独断と偏見で書いてみたい。

3Dソフトを売る側や扱っている会社などの宣伝は誇張されている部分もあり(当然だが。)実務では使えない・現実的に選択できない事もある。

中堅以上、商社、OEM/ODM、D2C…等々、業態によって有効な活用方法に違いが出てくると思う。今回は中堅以上(社内に各職種が一定数在籍しておりチームとして機能している)のアパレルが利用する場合を想定した。

生産管理・パタンナーなどの職種名は会社により担当する業務範囲が大きく異なる場合が多々あるので、職種ではなく大きな枠組みで分けた。

製造・・・裁断・縫製など服を作り上げる工程担当
設計・・・縫製使用・付属選定などを担当する
販売・販促 ・・・店舗での販売、マーケティング、EC業務など
企画・・・デザイン決定、年間販売計画決定、予算策定など


製造 △

注:製造が同一会社内であることは少ない

メリット

・仕様や縫製の知識があり生産現場に最も近い為、よりリアルな3Dモデルを作成できる。

・縫製仕様の確認等に使うことが出来る。

・サンプルを作る前・途中等で設計との相違が無いか確認出来る。

デメリット

・生産が決定した段階では変更出来ないことも多い為、製造以外の仕事に転用しないとコスト増になるだけの可能性が高い。

・3Dの料金をどこに乗せる事が出来るかという課題がある。


設計 ○

メリット

・3D操作を覚える期間が短いことが期待できる。服の構造設計者が行っている通常業務との相関性が高い。

・遠隔でのトワルチェック・形状確認を行うことが出来る。リモートでの作業はコロナの影響がある現状で有効に機能する。

・トワル組み(特に中綿入りのものや、両身組み等、時間が掛かるもの)の代用として時間を短縮できる。

デメリット

・細かい布の落ち方や引かれが分からない。キレイに出過ぎる。

・量産化出来ない仕様・設計になる可能性がある。

 → 上記2点はいずれも経験やシステムでカバーすることは可能。

販売・販促 ◎

メリット

・販売員への通達。組み合わせ方の視覚化などをリアルに行う事が出来る。

・VMDへの転用、店舗スタッフへの教育・理解の為に使う事が出来る。

・ECサイトに転用して使う。

・販促に転用できるイメージを持ち3Dデータ作成を行う事が出来る。

デメリット

・マーケターと技術職はポジション的に対極である場合が多く。間で調整する人材が必要

・縫製仕様やパターン等の技術に触れていない人材が多く、技術習得に時間が掛かる可能性が高い。


企画 ◎

メリット

・年間生産計画を、より明確に可視化して判断することが出来る。

・3D CADでは色変更、柄変更をした際の確認が容易であり作成後の手戻り回数を減らすことが出来る。

・平面絵やイメージ画像よりも3Dで確認したほうが認識の違いを少なくすることが出来る。予算・数量決定者とデザイン提案者は同一でないことが多いため、上がってきたサンプルに認識の違いが起こるという事を減らせる。

・素材決定を通常よりも早く行う事で、在庫生地自体を押さえておいたり、生機を先に走らせるなど生産リードタイムを短縮などに貢献できる。

デメリット

・企画側の人間でパターン・縫製等の知識があり3Dを扱う事が出来るとなると人材としての敷居が高くなる。

  → 企画と連動する3D担当を配置する事などで解決は出来る。

・3Dでは綺麗に表現されすぎる点などを考慮する、製品では許容するという意識を持つ必要がある。

・OEM/ODMに仕事を依頼している場合、時間等の圧縮をメリットとして感じにくい。


最後に。

結局のところ会社それぞれで有効な使い方を見つけていくしかないと思う。会社により人材や設備など、様々な条件が異なる為。

図解を付けようとも考えたが、そこまでしたら有料で売れる(かも)と思い簡単な内容だけに留めた。それぞれの会社の現状や目指す方向が決まればもっと深い案が出てくると思う。

いずれにしても検討してみるという価値はあるのではないかと思う。検討する際には、社内業務を幅広く分かる人材・IT分野、システムに知見のある人材・3D/CG分野に詳しい人材などを集めると良いと思う。

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