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夏の終わりに「真夜中の東京」を歩いた

30年来の親友とは、「約束当日の1時間前までドタキャンしてOK」という、暗黙のルールがある。

もちろん、旅行だったりコンサートだったり、予約する時点で大きなお金が発生するイベントごとについては、きちんと約束通りに集合する。ドタキャンはしない。

しかし、たとえば「夜に合流してサクッと飲みに行く」とか、「深夜、東京中をウォーキングする」とか、別にお互いその予定が無くなってもどうにでもなるような約束に関しては、無理はしないと決めている。

本来、社会人としては絶対にアウトな行為だと思うが、これが幼稚園の頃からの幼馴染である彼女との場合は、速やかに成立する。

むしろ互いにとって好都合だ。

急に精神的に不調になったり、なんとなく気分が乗らなかったり、うっかり原稿が捗ってしまい外出どころではなくなってしまった時、私はこの「ドタキャン権」を行使する。

申し訳ない、という気持ちは、あまりない。

彼女も行使する時があるから気負うことはない。

私は薄々気がついていたが、自分は「少し先のイベントごとを約束すること」が実は凄く苦手で、おそらく親友である彼女も、その行為が苦手だ。

なぜかと言えば、「その日は絶対に誰かとコミュニケートして楽しい思い出を作らなければならない」という義務感を持つことが、荷が重すぎるから。

もちろん楽しい約束が未来に待っていることはとても嬉しい。

嬉しいのだけれど、なんだか脳内がずっと「未来の経験」に拘束され、必要以上にシュミレーションしては興奮してしまう。

だから、ライブ当日にチケットを無駄にしてしまったことがこれまでの人生のなかで何度もある。

同じ理由から、誘いたくても誘えなかった人が何人もいる。

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興味を持ってくださり、ありがとうございます。「インターネットの海に文章を書く」ということは、どこで魚拓がとられるか分かりませんが、マガジンで気中内容を口外したり、転載したりすることは絶対禁止♡赤裸々なもんで。このマガジンで書いた内容をベースに、他媒体のエッセイや書籍で原稿を書く可能性もあります。

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