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その恋に、逃げない
近頃、誰と会わない日も、身なりを整えるようにしている。
これまでは、本当にひどい格好をしていた。
もう、誰にも言えないくらいに。
この秘密の有料noteでも流石に描写が憚られるほど、心の底から終わっている格好をして過ごしていた。
具体的に言ってしまうと、いつ洗濯したかわからないようなトレーナーに、ヨレヨレのスパッツ。そんな調子である。
ちなみに、前髪は洗濯バサミでチョンマゲ留め。もちろん、どスッピン。ひとくちに言って、終わっていた。
ちなみにスパッツは、その上から短パンを履かないと、くっきりとお尻の形が丸見える。
それでも「どうせ誰とも会わないのだから」という免罪符から、クロゼットのなかの短パンに手が届かず、くっきりと尻の形をそのまま見せて過ごしていた。
なぜ、そんなに終わっている格好をしていたのかといえば、一応、私にも言い分もある。
それは、小説の締め切りに向けて作品に集中したい時、物語の作者である私が「終わっている格好であればあるほど」、登場人物達にエネルギーが注げる気がしたからだ。
私は、フィクションの小説を描いている時でさえも、地球上のどこかに彼ら(登場人物達)が存在しており、その言葉を必死に聞き出すイタコのような気持ちで臨んでいる。
だから、そんな自分が少しでも洒落っ気づいたら、その途端に物語の登場人物達から「作者であるお前が、なに色気づいてんの?」、「お前が中心じゃねえんだよ」と怒られそうな気がして、文学の神様に逃げられてしまいそうな気がして、とにかく怖くてオシャレができなかった。
しかし、そんな私が、変わった。
毎日、眉毛を書くようになり、薄いファンデーション(BBクリーム)を塗るようになり、近頃は前髪だけでもヘアアイロンで軽く熱を通し、いつ誰かに会ってもまあまあ平気なくらいには身なりを整えている。
さらに、朝に時間に余裕があれば、マスカラさえも塗る。(これまでだったら絶対に信じられない行動なのだが)
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