〇△■の柄
note への記事の投稿がずいぶんご無沙汰となっておりました。
ありがたいことに投稿していなかったこの間、創作に向き合える時間が幾分か多く取れていたので、いくつか新柄を進めています。
色々と作りためてはいるのですが、なかなか思うように形にならなくて記事にできる段階ではなかったということがあります。
この間の時間の感覚をあえて言葉にするならば、テーマとイメージを無意識鍋の中に入れて、ちょっとした魔法のエッセンスを加えてくるくるとかき回していたような時間だった、とでも表現してみます。
今回ご紹介できそうになってきたのは、タイトルにもあるように、〇△■(まる、さんかく、しかく)の柄。
以前からわたしたちのテーマの柄として、〇△■はありました。
こちらのブルーの布地は、小物類などに使用するために作ったもの。
こちら側から見ると、四角と三角とが主に見えています。
常に見えている四角は、わたしたちの営みの世界。
三角は叡智。
そして、同じ生地を反対側から見てみます。
すると、一面に〇が浮き出てきます。
丸は全てを内包した宇宙を表します。
こちらのブルーとパープルの〇△■柄の織物は、みる角度を変えると、色柄が変わるしかけをほどこした不思議な織物なのですが、詳しいことは、改めて別で書くことにします。
今回は、この〇△■のテーマをこれまでのやり方とは違った、図案や織り工夫で制作しているところです。
ところで、〇△■といえば、禅の僧侶であった仙厓さんの〇△■の絵はとても有名なところです。
ご存じでない方は、こちらのリンクをご参照ください。
↓ ↓ ↓
万物の造形物を作り出している、基本の形であるところの〇△■。
幾何学模様でありながら、とても哲学的でシンボリックな意味合いを帯びている図形たち。
この世界にあふれる図形ですが、私達がとてもお世話になっている図案家の先生に、墨汁とクレヨンとで描いてもらうことにしました。
そしてこんな、図案ができあがりました。
…なかなか攻めてますよね。一応、帯の柄ですこちらも。
こちらの図案自体はとっても気に入っていたのですが、実は2年ほど寝かせていました。
まだ、こちらの制作に取り掛かるには機が熟していなかったといえるかもしれません。
今回の織り物の紋図を作ったり設計する作業に関しては、この図案を出来るだけ忠実に、墨濃淡や色のグラデーションを織物に再現することに注力しました。
そして、図案に忠実な表現でありながら、いかに使用する色糸の種類を少なく絞れるかを徹底的に考え作りました。
(色糸の種類が多ければ多いほど、織りに手間と時間がかかってしまい、より高価なものになってしまうので、それは避けたいという思いからです)
そして、ようやく織りのテストがあがってきました。
こんな感じです。
けっこう忠実に仕上がってきていますね。
今また、本番に向けての数点のテストを取っているところです。
この段階から、より修正をかけているところなので、仕上がりはなかなか期待できそうです。
この仕事をしていて、本当にたのしいなぁと思うのは、織りテストを重ねてよりイメージに近づいてくるこの瞬間かもしれません。
仕上がりが楽しみです。
また本番が織りあがってきたら、こちらの続編も記したいと思います。
フランスからスペインに抜けて進む、サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼旅へいつか出たいと思っています。いただいたサポートは旅の足しにさせていただきます。何か響くものがありましたらサポートお願いします♪