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レモンとチャチャと白いプードル*海嘯記


レモンは美人のベージュの柴犬

海に近い川沿いのおうちでお留守番

だから おうちと一緒にそのまんまいなくなった

探すことなんて無理無理

だってみ~んな消えてしまったもん

ヨロヨロになってたどりついた 丘の上の病院

五日間もどうやって過ごして どうやってたどりついたの?

ご主人の妹さんが勤めているのを知っていたのかな

それとも玄関先まであふれかえる大勢の人の中に
ご主人を探しにきたのかな

なんでもいいけど本当に良かったね、レモン 


12歳のチャチャはダックスフント

いつも玄関先でお客に吠える

おばあちゃんにたしなめられて ようやく静かになる

おりこうさんだってちゃんとわかってるよ

だっておばあちゃんのナイトなんだもんね?

ぐちゃぐちゃになってつぶれてしまって

大勢で探しても なかなか見つからなかったのに

見慣れた茶色のチャチャの毛皮が教えてくれた

そうか しっかり足元で最後まで守っていたのか

ともかくおばあちゃんと一緒で良かったね  チャチャ


名前の知らない白いプードル

時々散歩している可愛い姿を見かけた

あの日はよその二階の屋根にのっかってしまった

ひとりぼっちで波乗りしてきちゃったの?

お前の少し向こうの瓦礫の中

手首に衣服がからんだだけの

裸んぼうのお母さんの胸に抱かれて

死んでしまえば良かったのに

お前の家族はひとり残らずいなくなったよ

ホケンジョの人に連れられて

コンクリートの部屋で殺されるより

ずっとずっと幸せだったのにね


我が家のデカくて怖がりの愛犬は、この前の年に死んでしまった。
だから、死んでくれて良かったと思う。
もし生きていたら、どんな風に世話をできたのかを
考えた時に、本当に心から思い悩んでしまった。
ペットは家族のひとり。
人間様の生活が優先される命のトリアージに迫られる時に、
タラレバを考えてもしょうがないのだけど、
いつも心に残って、人間としての自分の品性を問うてみたり、
すぐにたどり着いたタラレバの決断を、
(私は冷たい人間なのかも知れない)と想像の世界で時々悩んだ。
感情は数字を並べるようにはスッキリと片付かない。
感情に振り回されないように、言葉や物語があるのだと思う。

2011年にクローズドの掲示板に投稿しつづけた散文を、
もう、空にでも手放してしまいたいと思う。
直したいと思う文章もそのままに。

数え切れない大勢の方に感謝と尊敬を込めて。
今日で毎日note107日目。

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